置賜地方の夏の風物詩|小林豆腐店“薄皮丸なす漬け”

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 パリッという薄皮の心地よい歯触りと、口の中にほとばしるジューシーなナスのうま味。瑠璃色がかった美しい小ぶりのナスは、山形県置賜(おきたま)地方名産の「薄皮丸なす」だ。通常のナスと大きく違うのが薄い皮で、パリッと割れるような食感はこの品種ならでは。ひと口大の大きさは浅漬けにぴったりで、皮に守られた実に新鮮な風味が残り、漬け物ながらナスそのもののようなみずみずしさが味わえる。「薄皮丸なす漬け」は、ナスの収穫期に置賜地方の多くの家庭で作られる夏の風物詩だ。ただ、作る人は多くても、この紺とも紫ともいえる美しい色を出すのは名人技。小林豆腐店の「薄皮丸なす漬け」は、この品種本来の色と味を活かした逸品。ご飯やお酒、ビールにも合い、お茶請けにもぴったり。一度食べたらやみつきになる。
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■生産者は特許を持つお豆腐屋さん!?

 
 この「薄皮丸なす漬け」、なぜかお豆腐屋さんが作っている。
 「置賜地方では多くの家庭で薄皮丸なすの漬け物を作ります。うちもたくさん作ったので近所の人やお客さんに『食べてみてけろ』と配ったら、みなさんが『うまい。これ、売れるんでねぇかぁ』と褒めてくれて」と、ほがらかに飾り気なく話すのは、小林豆腐店の二代目店主、小林照雄さんだ。もともと自家用に作っていた漬け物があまりに評判がよかったので販売するようになったという。
 小林さんは豆腐作り40年の職人だ。奥さんの弘子さんとともに早朝から豆腐を作り、小林豆腐店を夫婦二人で切り盛りしている。機械による大量生産は行わず、1日約150丁を丁寧に作る。「お客さんに『おいしい』って言ってもらえるのが一番です」と小林さん。
 しかし、それだけではない。小林さん夫妻は「冷凍障害の出ない豆腐」、つまり「冷凍できる豆腐」を開発し、平成20年12月に特許を取得。この製法を活かして豆腐ソーセージや豆腐ロールケーキなどオリジナルの商品も開発し、販売している。研究所を持つ大手食品会社の話のように聞こえるが、家族で営む町のお豆腐屋さんの話だ。
 小林さんが作る「薄皮丸なす漬け」がおいしいのも偶然ではないだろう。40年間、豆腐というシンプルでごまかしのきかない食品作りに真摯に取り組んできた姿勢や、「よりおいしいものを」と探究する職人魂、「お客さんに喜んでほしい」というサービス精神が相まって、おいしい物を作るセンスやカン、コツが築かれ、小林さんの中に宿っているのだろう。

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小林豆腐店の看板商品「こだわりもめん」
 
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生産者の小林照雄さんと弘子さん
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色合いも美しい小林豆腐店の「薄皮丸なす漬け」
 
 「この漬け物も特別な作り方はしていないです」と小林さんはいたって謙虚だ。材料となるナスを切って洗い、自家製のタレに漬けて出荷する。このタレの材料も塩と砂糖、ミョウバンなど、他の家庭と同じだという。ただし、配合だけは企業秘密だそうだ。
 薄皮丸なすはややエグミがあるが、漬けて置く日数が長くなると、味がなじんでエグミも無くなる。買ってすぐ、パリッという食感とともに野趣あふれるエグミも楽しむか、よく漬かって皮も実も軟らかくなってから味わうか、好み次第だ。
 4月から7月まではハウス栽培の薄皮丸なすを仕入れて作ることもある。ハウス栽培のナスも皮が薄くておいしいそうだが、材料が少ないため、なかなか安定供給ができない。シーズンは露地物のナスが収穫される7月~10月中旬だという。
 

■置賜地方は“アジアのアルカディア”

 
 「薄皮丸なす漬け」の故郷、そして小林豆腐店がある置賜地方はどんな所だろう。
 置賜地方は、山形県南部の内陸部、米沢市を含む3市5町の総称だ。四方を奥羽山脈や吾妻山地などに囲まれ、そこから流れ出るミネラル豊富で澄んだ水が最上川や荒川となって流れる。寒暖の差が激しく、おいしい米や果物の産地として知られる豊饒な地だ。江戸時代は、上杉氏の米沢藩がほぼ全域を領有していた歴史がある。
 明治時代、北海道や東北、関西を旅したイギリスの女性紀行作家イザベラ・L(ルーシー)・バードは置賜地方をいたく気に入り、著書『日本奥地紀行』の中で“エデンの園”“豊饒にして微笑む大地であり、アジアのアルカディアである”“美しさ、勤勉、安楽に満ちた魅惑的な地域”“どこを見渡しても豊かで美しい農村……”などと絶賛したという(「置賜文化フォーラム」のWebサイトより)。エデンの園は旧約聖書に登場する理想郷の名、アルカディアはギリシャの地名で、ギリシャ神話の神々の故郷の一つであり、牧歌的な理想郷の代名詞だ。
 この地方には古くから栽培されている特色ある野菜があり、17品目が「山形おきたま伝統野菜」に指定されている。「薄皮丸なす」もその一つ。地域一円で栽培されているが、一口大の小さな丸なすは全国的にみればめずらしいという。
 
 
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薄皮丸なすはこの地方に伝わる伝統野菜
 
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のどかな風景が広がる置賜地方(小林豆腐店のHPより)
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南陽市にある小林豆腐店

 発祥は諸説あり、皮の硬い「窪田なす」の改良種が広まったとか、昭和20年代に南陽市の篤農家が新潟の行商人から仕入れた種が広まったなどと伝わる。DNA検査によって新潟県の「巾着なす」に近いことが分かっており、越後から米沢に移封されてきた上杉藩のつながりが垣間見えるという(Webサイト「おきたま食の応援団」より)。
 小林豆腐店は、置賜地方の東部に位置する南陽市にある。米沢盆地の一角にあたり、水のおいしい所。それが豆腐作りに活かされている。
 

■おいしい山形プラザでも大人気の商品

 
 山形は漬け物王国。銀座にある山形県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」の店内にもずらりと漬け物が並ぶ。その中でも小林豆腐店の「薄皮丸なす漬け」は人気商品の一つだ。
 店長の井田洋司さんも置賜地方の出身。小林豆腐店は実家から車で10分ほどの距離だという。
「薄皮丸なすの浅漬けは、置賜の家庭の味で、夏の定番。これを食べると『あぁ、夏だなあ』と感じますね。蝉の声やプールなどと同じように夏の記憶です。私が子どものころは漬け物小屋がある家も多くて、夏は酒樽なんかでナスを漬けて、どの家も互いにおすそ分けをしあっていました。それぞれおいしいけど、ナスの鮮やかな色を出せる名人はめったにいない。そこが腕の見せ所ですね」と語る。
 小林豆腐店の薄皮丸なす漬けについて聞くと、「店の人気商品の一つです。リピーターも多い。決して安くはない商品ですが、お客さんはおいしい物が分かるのだなと思いますね。入荷するのは例年、6、7月から10月中旬くらいまで。ナスの収穫に合わせて多少変動します。最初はハウス栽培のナスを使ったもので、7月中旬くらいから露地栽培のナスに切り替わります」と話してくれた。ちなみに、「小林豆腐店は豆腐ももちろんおいしいですよ。実家に帰ると『お豆腐買ってきて』とよくお遣いに行かされます」とのことだ。
 
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東京・銀座にある「おいしい山形プラザ」でも販売されている。
「人気商品です」と話す井田店長
 

■こだわりの商品たち

 
 小林豆腐店の他の商品もご紹介しよう。
 看板商品は山形県産大豆を使用した「こだわりもめん」。木綿豆腐でありながら、絹ごしのようななめらかな食感が特徴だ。ちょうどよい固さと大豆の味がマッチして、冷奴や湯豆腐にしてもおいしい。豆腐はこのほかに「おぼろ満月」「絹ごし豆腐」「ざる豆腐」などがあり、客の注文に合わせても作るという。
 「油揚げ(俵型)」は、全国ではもちろん、山形県内でも置賜地方の一分のみで作られるめずらしい俵型をしたもの。一つ一つ手捏ねで作り、米油を使って美しい黄金色に揚げている。ふわふわと軟らかく、おつゆが染み込むとお麩のようだ。おいしい。
 「豆腐ソーセージ」は特許製法で作った豆腐を使用し、なんと3分の1が豆腐でできている。通常と比べてカロリー約30%OFFなのに、味はソーセージそのもの。ふわっと軟らかい食感で食べやすい。
 豆腐をふんだんに使ったヘルシーな「豆腐ロールケーキ」は女性に大人気。しっとりふわっとした生地に大豆がほのかに香る甘さ控えめのクリームが絶妙にマッチする。これも美味。
 「山形のだし辛みそ漬け」は山形の伝統食品である「だし」と辛みそを和えたもの。だしの材料はすべて県内産。クセになる辛さで、ご飯のお供に、また揚げ物や野菜に漬けてもいい。
 
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ふわふわしっとりの食感が楽しめる豆腐ロールケーキ(左)とめずらしい俵型の油揚げ(右)
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ヘルシーでしかも食べ応え充分な豆腐ソーセージ
 

■“風土47”の特別価格で取り寄せられます

 
 小林豆腐店の「薄皮丸なす漬け」が特別価格で購入できます。豆腐ソーセージやロールケーキも入った特別セットもご用意しました。この機会にぜひお試しください。

-お取寄せ・ご注文方法-

 「風土47特別価格 薄皮丸なす漬け」

◆風土47・薄皮丸なす漬け(1袋170g 丸なす10個程度)×2袋
 2,500円(税込、送料込)

 ※通常価格は、薄皮丸なす漬け(1袋170g) 1,080円(税込)
  のほか、別途送料がかかります。
 ※薄皮丸なす漬けは、7月~10月中旬ごろまでの季節限定
  商品です。

◆風土47・季節限定こだわりセット
 3,500円(税込、送料込)

 セット内容
 薄皮丸なす漬け(1袋170g)、こだわりもめん豆腐(1丁400g)
 油揚げ(俵型 1袋4枚)、山形のだし 辛みそ漬け(1袋100g)
 豆腐ソーセージ(1袋90g)、豆腐ロールケーキ(1個220g)

 ※薄皮丸なすの時期である7月~10月中旬ごろまでの季節
  限定のセット商品です。

・ご注文方法
  • ・TEL・FAX:0238-43-2615(10:00~18:00)
  •  (お電話の場合は、「風土47を見た」とお伝えください)
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  • ・メール:info@kobayashi-tofu.com
  •  (件名に「風土47・薄皮丸なす漬け」、「風土47・季節限定こだわりセット」とご記入ください)
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  • ※FAX、メールでのご注文の場合は
  •  郵便番号、ご住所、お名前、電話番号、数量を明記のうえ
  •  「小林豆腐店 担当:小林」宛てにてお願いいたします。
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  • ※お届けに指定日時がある場合は、お知らせください。
・お支払方法
  • 代金引換(代引手数料324円がかかります)になります。
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  • ※ご注文後、3~5日でお届けいたします。

 
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セットの商品
上段左が「こだわりもめん豆腐」、右は「油揚げ(俵型)」、中段左は「山形のだし辛みそ漬け」右は「豆腐ソーセージ」、下段左が「豆腐ロールケーキ」
 


取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)