カリッとおいしいカレー風味|津久司蒲鉾“フィッシュカツ”

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 徳島県で“カツ”といえば、トンカツではなくこのフィッシュカツを指すというほど地元で絶大な人気を誇る品。魚のすり身にカレー粉や唐辛子を加え、薄く延ばしてパン粉をつけてカラリと揚げてある。カリッとした衣の食感、ピリ辛のカレー風味、そして何と言っても本格的な魚のすり身のシコシコとした歯応えとうま味が特徴的だ。「カレー味の揚げ物って、ジャンクフード的?」と思われるかもしれないが、とんでもない! 本格的な練り製品を子どもからお年寄りまで幅広い年代に愛される味に仕上げている。昭和30年頃から作られ始め、今や県内約40の蒲鉾会社がこぞって作り、徳島のソウルフードといわれるほど。なかでもやはり一番おいしいと評判なのが小松島市にある元祖、津久司(つくし)蒲鉾のフィッシュカツだ。小松島港を望み、魚市場のすぐ近くに工場が立つ津久司蒲鉾は、新鮮な魚が手に入る。おいしさの秘密はやはり材料にある。
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■味の決め手は紀伊水道に面した小松島の魚

 
 津久司蒲鉾㈲がある小松島市は、徳島市の南東側、紀伊水道の沿岸にあたる。県内有数の港湾地区であり、小松島港はかつては大阪や和歌山からのフェリーも発着して“四国の東の玄関口”といわれていた。

 津久司蒲鉾が立つのは港のすぐそば。目の前に海が広がり、近くには小松島漁業協同組合の魚市場もある。昭和30年頃、ここでフィッシュカツは誕生した。

 「私の祖父が作りました。起源についてよく聞かれるのですが、私が小学校へ上がる前のことなので不明なんです」と、語るのは三代目社長の古川登さんだ。発売当初から“カツ”とよばれ、徳島市や県西部にも流通していたが、注目度はそれほど高くなかったという。小松島市には竹に魚肉のすり身を巻きつけて焼く「竹ちくわ」という名物が古くからあり、その知名度には勝てなかった。

 

薄くて大判なフィッシュカツ。この厚さが絶妙の食感を作り出す
 
 

津久司蒲鉾の三代目社長、古川登さん
 
 注目され始めたのは、14、5年前、日本経済新聞の20代の女性記者が興味を持ち、日曜版で取り上げた頃からだという。その後、テレビ番組などでしばしば紹介されるようになった。徳島県民はマスコミで取り上げられて初めて「ほかの県にはないものだったのか!」と驚いたようだ。フィッシュカツは県内ではそれほど身近になっていた。

 今や多くのメーカーが製造しているフィッシュカツだが、やっぱり津久司蒲鉾が一番!というファンも多い。古川社長においしさの秘密をうかがうと、「やはり材料だと思います」ときっぱり。「うちは港にあって魚市場も近い。漁師さんと提携して近海の魚を仕入れ、材料の6~7割は地元の生の魚を使っています。漁期によって太刀魚やエソ、アジ、イボダイ、カマスなど種類はさまざまです」とのこと。一般的に、魚肉練り製品では冷凍のスケトウダラを解凍して使用するメーカーが多い。津久司のフィッシュカツのおいしさの秘密は材料へのこだわりにあったのだ。

 
 

港のそばに立つ津久司蒲鉾
 

近海の生の魚が材料として使われる
 

■“家族みたいな会社”で作り出される家庭の味

 
 「従業員は地元のベテランばかり。ずっと一緒に仕事をしているから、もうみんな家族みたいなものです」と古川社長。その言葉通り、製造現場の写真からも楽しそうな笑い声が聞こえてきそうだ。工場では、1日約1万枚のフィッシュカツが作られている。

 その製造工程はどのようなものだろう。

 まず、近海で捕れた太刀魚やエソなど、材料となる魚の頭や内臓を取り除く。これはすべて手仕事。包丁さばきも見事なベテラン女性たちの腕の見せ所だ。大きさや種類の違う魚たちを一匹ずつ、内臓などの取り残しがないようにさばいていく。

 次に魚を機械にかけてすり身を作る。この時、魚の魚肉部分と骨を分け、魚肉の脂を取り除くのだという。  魚のうま味たっぷりのすり身に、さらにカレー粉や唐辛子、調味料などを加えて味をつける。ここで玉ねぎやニンニクなどのうま味も加わる。

 

手作業で魚の頭や内臓を取り除く
 
 

小判形に整えられたすり身にパン粉をまぶす

約180℃の油の中へ

包装して、地元のスーパーへ出荷される
 
 厚さ7~8ミリの小判形に成形し、パン粉をまぶして約180℃の油で1~2分揚げるとフィッシュカツができあがる。フィッシュカツのこの厚さも、“衣はカリッ、中身はプリッ”というおいしさを引き立たせる決め手のようだ。油をきって冷ましたら、包装して県内のスーパーやコンビニに出荷される。

 価格はなんと、1枚100円しない! 通信販売用の3枚入りは290円という安さ。

 食べ方はいろいろ。フライパンやオーブントースターで表面を軽くあぶり、そのまま食べるのが一般的。好みで醤油やウスターソース、マヨネーズをかけてもいい。子どものおやつ、ビールのつまみ、ご飯のおかずに。お弁当に入れたり、パンに挟んだり、お好み焼きに入れたり、チーズをのせて焼いたり。うどんのトッピング、野菜いため、卵でとじてフィッシュカツ丼に。まだまだレパートリーは広がりそうだ。子どもからお年寄りまで、好みの食べ方で楽しめる。

 


カラッと揚がったフィッシュカツ
 

■物産の専門家が語る“徳島の食材の魅力”

 
 フィッシュカツがどれほど地元で愛されているか、徳島の物産の専門家にも話をうかがった。

「県内のスーパーなら大抵はフィッシュカツを置いています。おそらく40社ほど作っていて、メーカーによって形や大きさ、厚み、味などが少しずつ違いますね。ご飯のおかずにも、酒のあて(肴)にも、おやつ代わりにも本当に良く食べられています。1枚80円くらいなので気軽に買えるのも魅力でしょう」。そう話すのは、徳島県の物産を東京近郊のイベントなどで販売する“阿波徳島元気堂”の竹本琢実さんだ。

 竹本さんによれば、徳島は食材の宝庫だという。「徳島は紀伊水道から瀬戸内海につながる海、剣山や祖谷渓などの山、そして清流・吉野川と、海、山、川に恵まれ、“リンゴ以外はすべて作れる”といわれるほど農作物の種類が豊富です。鳴門わかめや鱧(はも)、サツマイモの鳴門金時、すだちなどの有名なもの以外でも、シイタケ、春ニンジンなど実は生産量第1位といった知られざる名産品がたくさんあります」。竹本さんは徳島の“食”で感動を味わってもらい、それをきっかけに徳島に足を運んでほしい、と話す。

 吉野川が豊富な栄養分を運び、豊饒な土地が育まれた徳島。フィッシュカツ以外にも、まだまだ徳島の食文化は奥が深いようだ。

 

「フィッシュカツをはじめ、徳島はおいしいものが多いです」と語る“阿波徳島元気堂”の竹本琢実さん
 

■“風土47”の特別価格で取り寄せられます

 
津久司蒲鉾の「フィッシュカツ」を含む“つくしセット”が特別価格で購入できます。じゃこ天や竹輪も入っています。この機会にぜひお試しください。

-お取寄せ・ご注文方法-

 「風土47特別価格 つくしセット」

◆風土47・つくしセット
 3,200円(税込、送料込)

 セット内容
  フィッシュカツ3枚入×2袋
  じゃこ天10枚入×2袋
  竹輪5本入×2袋


・ご注文方法
  • ・TEL:0885-33-2345(8:00~14:00)
  •  (お電話の場合は、「風土47を見た」とお伝えください)
  •  
  • ・FAX:0885-33-2347
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  • ・メール:tukushikamaboko@soliel.ocn.ne.jp
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  • ※FAX、メールでのご注文の場合は
  • 郵便番号、ご住所、お名前、電話番号、商品名「風土47・つくしセット」、数量を明記のうえ、「津久司蒲鉾」宛てにてお願いいたします。
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  • ※お届けに指定日時がある場合は、お知らせください。
・お支払方法
  • 代金引換(代引手数料は無料)になります。
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  • ※ご注文後、3~5日でお届けいたします。

 

フィッシュカツ袋入り

じゃこ天や竹輪も入ったつくしセット

竹輪もおいしい
 


取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)