ギネス世界記録を超えた甘さ|あかつきネオ


なめらかでとろけるような果肉とみずみずしい果汁、食べた人を幸せにするやさしい香りと上質な甘み。桃は最も人気の高いフルーツの一つだろう。
今月は、その中でもギネス世界記録を上回る糖度を実現した福島市の古山(ふるやま)果樹園の桃をご紹介する。
桃の糖度は通常11~14度で、ギネス世界記録は22.2度だったが、昨年、古山果樹園の桃が食品分析センターによる測定で糖度23.4を記録した。
(*桃の糖度のギネス記録は現在は閉鎖され、申請は受け付けていない)。
エンジニアから家業を継いだという異色の経歴を持つ5代目の古山浩司さんは、あえて小規模家族経営にこだわり、ひと玉ひと玉、すべての果実に自分の手で触れて愛情を込めて育てたいと話す。
丁寧に育てられた古山果樹園の桃は、今年6月、商標登録が認められ、「とろもも」とよばれる。名前の通り、とろりとした果肉と後味の良い甘さが特徴だ。
有名パティシエのスイーツに使用されたり、NHK「あさイチ」などメディアでも紹介されて注目を集める古山果樹園の桃。
8月は、福島を代表する品種「あかつき」や、それをさらに改良した「あかつきネオ」が収穫を迎える。最後にオンラインストアの情報や問合せ先を記載しているので、ぜひ世界基準の桃を味わってください。

■「自分の手で触れて育て、自身をも持ってお客様に届ける」
信条は「自分の手で触れて育てる」。大規模にして人任せにはしたくないと、古山浩司さんは話す。
「お客様に自信を持って食べていただく大切な果物なので、自分で作ったという自信と責任がなければ販売できないと思っています。
なので、すべての果実に最低でも一度は触れることを心がけています」と古山さん。
桃の栽培で特に大切にしているのは、土つくりと水分管理だという。

100年以上続く古山果樹園の5代目、古山浩司さん

剪定(せんてい)や摘蕾(てきらい)などさまざまな作業を経て最高の桃が育つ
桃の実が付きはじめると、園内をめぐって1玉ずつの発育を見て回る。どの桃が良い状態で育つかを見極め、何段階にも分けて摘果を行う。
また、水分管理は、果実が肥大しすぎず、高糖度の桃が育つように、日々、細心の注意を払って行うそうだ。
こうして手塩にかけた古山果樹園の桃は、2016年、出荷用の糖度計で32度という抜群の糖度を計測して話題になった。
なぜ、古山さんは糖度の高い桃を目指すようになったのだろうか。
■「世界最低から世界一へ!」。福島のプライドをかけてギネス世界記録を目指す
「震災と原発の問題があり、福島の作物は世界一評価の低い物になってしまいました。それをどうにか挽回したいと考えた結果、良い方で世界一になるしかないと思い、当時まだ申請を受け付けていた桃の糖度のギネス世界記録を目指そうと考えました」と古山さん。
古山果樹園の放射能測定検査の結果は、震災翌年が100ベクレル以下、2年目からは不検出(ND)だった。けれど、風評被害は付いてまわる。
自分の農園の、そして福島の作物全体の風評被害を払拭したいという想いでギネス世界記録を目指した。
昨年、食品センターの分析で古山果樹園の桃の糖度23.4を計測。これまでの記録22.2を超え、願いをかなえた形になった。

糖度計で32度を記録した「あかつきネオ」

収穫された桃。色素が糖度に負けるため
高糖度の桃は赤みがまだらになるそうだ
例年、8月の1カ月間に収穫されるのが「あかつきネオ」だ。
糖度が高く、果肉がきめ細やかで果汁も豊富。
しかも日持ちがよく、通常の桃は収穫が遅れると5日間で腐ってしまうが、「あかつきネオ」は収穫期が2~3週間と長い。樹上でゆっくりと熟して味がよくなっていくという。
2016年に、最初に糖度32を最初に記録したのも「あかつきネオ」だ。現在は、古山果樹園では、ほかの品種でも糖度の高い桃を生産している。
「福島の桃は、生産量では全国2位ですが、味では全国1位だと思っています。
風評被害なんて関係ない!美味いものはうまい! ぜひ、福島の桃を手に取って、購入して、食べてほしいと思います」と古山さんも力強くPR。
極上の桃を味わってみたいですね。
■「あかつきネオ」の問い合わせ先
購入は「古山果樹園オンラインストア」へ | |
◆ | 問合せ先 |
古山果樹園(http://furukaju.jp/) | |
〒960-0102 福島県福島市鎌田字鶴田26 | |
TEL/FAX:024-553-1609 |
取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)