秘伝のタレが決め手|(有)柿太水産|さくら干(梅酢仕込み)あじ・いわし

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今月は、富山湾に面した氷見(ひみ)市からとっておきの逸品の登場だ。
標高3000メートルの立山連峰を望み、すぐ前に富山湾が広がる氷見市は、冬の寒ブリをはじめ、魚介の美味しい町として名高い。鮮魚はもちろん、魚の加工品にも舌の肥えたこの“魚のまち”氷見で、6代、100年以上愛されてきた水産加工品の老舗が柿太(かきた)水産だ。

煮干や丸干、こんか漬など、丁寧な仕事から生まれる味に定評があり、特に看板商品である無添加の煮干は、頭や内臓をそのまま調理しても雑味もアクも出ない極上品。都内の銀座や日本橋にある富山県のアンテナショップでも県が誇る名産品として販売されている。

そして、ぜひ味わっていただきたいのが今回ご紹介するアジやイワシを使った「さくら干(梅酢仕込み)」だ。似た商品は全国にも多くあるだろうが、だからこそ魚の良質さや味の良さが際立つ。魚のうま味とそれを引き立てる秘伝のタレの味わい、さらに梅酢による後味の良さに惹きつけられる。サッとあぶれば香ばしく、骨まで丸ごと食べられる。お酒の供や、お子さんのおやつ、ご飯にもぴったり。最後に購入方法も記載しているので、ぜひご賞味ください。

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■獲れたて新鮮。5代目が目利きして仕入れる極上の魚

 
 「原材料には、100%、氷見漁港の定置網漁で水揚げされたアジやイワシを使っています。仲買歴60年あまりの5代目柿谷正成が目利きした極上ものです」。そう話すのは6代目の柿谷政希子さんだ。

 100年続く柿太水産が、商品を製造するときに最も大切にしていることの一つは「魚の鮮度、魚体の状態」だという。水産加工品も、原料となる魚の良し悪しが味を大きく左右する。

 その点、氷見の魚は抜群の鮮度と良質さを誇る。

 全国に漁港の町は数多いが、氷見の魚は特別だといわれる。その理由は主に3つあり、一つは定置網漁だということ。魚が自由に出入りできる網を設置する漁法なので、魚がストレスを感じず、水揚げ時の傷も少ない。

 

活きのいい氷見産の魚を仕入れる
 
 
 

仲買歴60年。5代目の柿谷正成さん
 
 そして富山湾が沿岸から急激に落ち込むすり鉢状をしているので、近海に網を設置できる。氷見では港から定置網まで船で20分ほどの近さだ。

 そして3番目は大量の氷。氷見の漁師たちは大量の氷を積んで漁に出かけ、魚を船上に揚げると急速に氷で冷やして鮮度を保つ。

 つまり、氷見では富山湾にある天然の生け簀から魚を水揚げしているようなものなのだ。

 その鮮度抜群の魚介の中から、政希子さんの父である正成さんがさらに吟味をして仕入れる。

 こうして極上の魚がそろい、市場の近くにある柿太水産の加工場に運ばれる。

 
 

■一匹一匹、鮮度を逃さず素早く手開き。2日間じっくり漬け込む

 
 「さくら干(梅酢仕込み)」の「あじ」や「いわし」を目にすると、まず姿かたちの美しさに驚く。頭や内臓を取って開いた小ぶりのアジやイワシが、型で抜いたような美しさで並んでいる。魚の質の良さや丁寧な仕事が、見た目からも伝わってくる。

 製造工程をうかがうと、市場から運ばれたアジやイワシは、一匹一匹、魚の鮮度を逃さないよう手際よく、しかも丁寧に手開きされる。

 それを並べたら、5代目が調合する秘伝のタレに漬け込む。このタレが味の決め手だ。

 砂糖や自然塩、海洋深層水を使い、さらに地元産の梅から作った自家製の梅酢を加えるなど、工夫が凝らされている。保存料、甘味料、着色料などは一切使用していない。

 

素早く手で魚を開く
 
 
 

並んだ魚は美しい
 
 2日間かけてじっくりと漬け込んだ後、8時間冷風で乾燥させ、ゴマを振りかけてさらに3時間乾燥させて仕上げる。

 柿太水産の「さくら干」は、あぶって冷えた後でも固くならないが、その秘訣はタレとゆっくり時間をかけて浸透させる製法にあるという。

 柿太水産では、地元で昔から滋養食として食べられてきた糠を使ったこんか漬なども作っている。

 政希子さんは、「魚の美味しさや、加工品を使った伝統食の良さを通じて、富山県氷見の“魚食”(魚を食べる文化)の素晴らしさを多くの方に知っていただきたいと思っています」と話す。

 “魚のまち”氷見から届く本物の味を、ぜひお試しください。

 
 
 

秘伝のタレに漬け込む
 

乾燥して出来上がり
 
 

■「さくら干(梅酢仕込み) あじ・いわし」の問い合わせ先

 
オンラインショップから購入できます。
 
 柿太水産無添加ショップ
 
  有限会社柿太水産
  〒935-0004 富山県氷見市北大町3-37
  TEL:0766-74-0025
(9時~17時/日曜、祝日、年末年始、お盆は休み)
FAX:0766-74-3485
 
 

 
 
 


取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)