厳選素材を丁寧に煮つめる|有限会社エクセル|新倉さんちの手づくりジャム

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 ブロッコリー、大根、ナス、トマト、栗、メロン……。これは全てジャムの素材だ。
 「新倉さんちの手づくりジャム」では果物はもちろん、季節の野菜も使って、常時約50種類のジャムを製造販売している。

 始まりは自家製の夏みかんジャムだったそうだ。家族や知人のために作っていたものがあまりに好評だったので、やがて商品として販売するようになった。

 販売目的で開発される食品は数多くあるが、味を最も信用できるのは「おいしいから商品になった」ものだろう。それを証明するように、「新倉さんちの手づくりジャム」は口コミで評判となり、本店のほかに鎌倉店を出店。鎌倉を訪れる観光客にも大人気となってメディアに取り上げられる注目店となっている。

 種類は増えても、「家族のためにおいしく、安心、安全に」と作っていた想いは受け継がれ、厳選した素材を使って今も無添加(*1)で作られる。

 世の中にはたくさんのジャムがあるが、「新倉さんちの手づくりジャム」を食べると良質な素材で丁寧に作るジャムはこれほど味が違うのかと実感する。
 今回は、その極上ジャムの故郷を訪れた。

*1:無添加は、保存料や香料、着色料、ペクチンなどの食品添加物を使用しないこと

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■果実を丸ごと食べたような豊かな香りと風味。野菜ジャムも驚きのおいしさ

 
 「新倉さんちの手づくりジャム」の本店があるのは、三浦半島西海岸に近い横須賀市秋谷。
 三浦半島は温暖な気候や土壌に恵まれ、良質な野菜や果物が良く育つ。三浦大根に代表されるように特産品も多い土地だ。

 ジャムの製造工房にカフェも併設した本店で、社長の新倉有文さんが会社の始まりを話してくださった。

 「私の母が、庭で採れる夏みかんを使って家族のためにジャムを作っていました。

 家族にも好評でしたが、近所の方や友人に差し上げると『おいしい』と言ってくださるので、母も喜んで梅など3~4種類のジャムを作るようになったのです」
 やがてジャムは地元で評判となり、販売するようになった。

 

横須賀市にある「カフェ 新倉さんちの手づくりジャム」
 
 
 

お話をうかがった社長の新倉有文さん
 
 店内にはさまざまなジャムが並んでいる。

 柑橘系のジャム「マーマレード」は夏みかんをはじめ、柚子やレモン、デコポン、ブラッドオレンジ……。果物はぶどう、苺、ラ・フランス、キウイ、柿、マンゴーなど。

 野菜ジャムも、三浦大根、ブロッコリー、ナス、さつま芋など、驚くような商品が並んでいる。
 そして、販売中の商品はどれも試食ができる。

 「ブロッコリーがジャムになるの!?」と思って食べてみると、おいしい。野菜独特の苦みやえぐみが消えて、ブロッコリーの風味がやさしく口に広がる。

 マーマレードや果物のジャムは、まるで果実そのものを食べているよう。豊かな香りと味わいだ。

 「果物と野菜本来の味と香りを楽しんでいただくために、果実ジャムは糖度50℃未満、野菜ジャムでは糖度30℃未満にしています」と新倉さん。

 特別に、製造工程を見せていただいた。

 
 
 

さまざまなジャムが並ぶ
 

試食すると意外なおいしさに驚く
 
 

■工程のほとんどが手作業。丁寧に下処理をしてじっくりと時間をかけて煮つめる

 
 「新倉さんちの手づくりジャム」のこだわりは、まず素材だという。

 材料である果実や野菜は、地元の三浦半島や神奈川県産、そして国産の上質なものを厳選。できるだけ自然栽培や有機栽培、減農薬栽培などの材料を仕入れるそうだ。

 地元の素材を多く使うのは「三浦半島においしい食材があること皆さんに知っていただきたいから」(新倉さん)との思いがあるそうだ。

 材料は、収穫時期に合わせて仕入れ、丁寧に下処理をする。

 製造工程のほとんどが手作業だ。それだけに「下処理が一番手間がかかるかもしれません」と新倉さんは話す。

 

材料を一つ一つ確認するように下処理を行う
 
 
 

しゃもじでかき混ぜながらじっくり煮つめていく
 
 例えば「ぶどう」ジャムでは山梨県産の種なしピオーネを仕入れ、一粒ずつ皮をむいて種がないことを見て確認する。「栗」ジャムでは、栗を茹でてから二つに割ってスプーンで実をすくい出す。

 下処理を終えた材料を大鍋に入れ、北海道産のビートグラニュー糖などを加え、しゃもじでかき回しながら煮つめる。水分の多いトマトでは、ひと鍋につき約3時間煮るそうだ。

 保存料や香料、着色料、そしてジャムによく使われるペクチンも含め、食品添加物は一切使用しない。

 こうして極上のジャムができあがる。

 
 
 
「新倉さんちの手づくりジャム」では、収穫時期にしか材料の仕入れをしないので、収穫単位で味が違ったり、季節によって品切れの商品もある。それもこだわりのジャムだからこそだ。

 今の季節のおすすめは「湘南ゴールド」のマーマレード。湘南ゴールドは神奈川県農業技術センターが開発した貴重な品種。爽やかな香りと糖度12%ほどの甘さが特徴だ。

 冬が旬の「三浦大根」は、レモンと蜂蜜を入れてさっぱりとした味わい。チーズや生ハムと合わせればワインのおつまみになりそう。

 パンだけでなく、さまざまに活用できる「新倉さんちの手づくりジャム」。

 豊富なラインナップからきっとお気に入りの一品が見つかるはずだ。

 

それぞれ個性があって、どれも欲しくなってしまう
 
 

■「新倉さんちの手づくりジャム」の問い合わせ先

 
ホームページから購入できます
 
 新倉さんちの手づくりジャム
 
カフェ 新倉さんちの手づくりジャム
  横須賀市秋谷2-19-1
  TEL:046-855-5706
  11:00~16:30/水・木曜休
 
新倉さんちの手づくりジャム鎌倉店
  神奈川県鎌倉市御成町2-10(御成通りすぐ)
  TEL:046-855-5706
  10:00~17:00/水曜休
 
 
 
 
 


取材 中元千恵子(トラベルライター、日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)