



2月は冬と春のつづれ織り。沖縄では寒緋桜が咲き、伊豆の河津では河津桜の花盛り。なのに北海道では札幌の雪まつりをはじめ、支笏湖の氷濤まつり、旭川の冬まつりなど雪と氷の祭典が繰り広げられ、オホーツク海は流氷に閉ざされます。気候も行きつ戻りつを繰り返します。
宿も乗物も比較的空いていて料金も低めなので、暖かさと花を求めて南国へ、雪と温泉を訪ねて北国など各地に旅をするにはいい時期です。また近年は商家や一般民家では昔のお雛様を店内や玄関、座敷などに飾って見せてくれる“雛めぐり”が、この時期、全国各地で催され、人気を集めています。卒業旅行の小グループの女子学生たちもしばしば見掛けます。のびやかな笑顔や楽しげな笑い声に「春近し」を感じる季節でもあります。


好評だった『篤姫』の余韻を引き継いでか、越後、新潟県を舞台にした『天地人』は好調な滑り出し。いつもは雪の中にひっそりの南魚沼、上越、長岡などゆかりの地には人が訪れて、早くも“旅の町”になっています。
それにつられて、主人公・直江兼続の生誕地、長尾政景が築いた坂戸城の城下の六日町に行ってきました。城主政景の奥方は上杉謙信の姉(仙桃院)。その間に生まれた長尾顕景(謙信の後継者となる後の上杉景勝)の5歳下ながら、幼少にして才を認められた直江兼続(幼名・樋口与六)が側近と見込まれて共に文武に励み、成長します。謙信に呼び寄せられた景勝とともに兼続も春日山城のある高田(上越市)へ移り、与板城主となった長岡など、会津移封までの40年間を越後に足跡を残すのです。戦国戦乱の世、謙信の教えの「義」と「愛」を守り、秀吉に見込まれ、家康を恐れさせる知勇兼備の武将として終生、上杉家を支え続けたのです。

「義」も「愛」も欠ける今の時代に、雪に耐え忍んで育った越後人・直江兼続の生きざまが問いかけるものは大きいはずです。

