風土47
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春から初夏への移り変わりを告げる藤の花(熱海・起雲閣庭園にて)
 4月29日に始まった今年の大型連休。勤め人なら2日・6日を振り替え休日にできれば10日間連続になる…まさにゴールデンウイークです。

 ところが3月11日の地震・津波に見舞われた被災地では、復興の第一歩が始まっていますが、福島原発の放射能漏れは終息が見えず、日本列島は風評被害、自粛ムードに覆われています。

 行事や会合等の軒並みの中止とともに出控え気分がはびこり、各地の旅館・ホテルへのキャンセルが続出。全国の観光地からため息が聞こえてきます。

 5月は青葉若葉の萌える自然の息吹きが旺盛な季節。気持ちを縮こまらせず旅に出ましょう。ふだん通りが東北・関東を、さらに日本列島を元気にします。バラも藤もツツジも咲いていますし、北国では桜の盛りです。

 五月晴れ五臓六腑も開帳す(中条角次郎)

美味豊かな心安らぐなまこ壁の町・松崎(静岡県)


伊豆半島南西海岸に臨む港町・松崎の中心街

白と黒が印象的なシンボルロードのなまこ壁通り

「伊豆まつざき荘」オリジナルの燻りきびなご。そのままでもマヨネーズで食べてもおいしい

「蔵ら」のこの日の日替わりの天ぷらのランチ
 伊豆半島西南部、かつて遠洋漁業や繭で栄えた松崎は、江戸時代、左官技術を鏝(こて)絵芸術にまで高めた入江長八のふるさとやナマコ壁の蔵の町並みで観光地として名を馳せた町です。

 花といで湯と美味に誘われて、その松崎に行ってきました。東日本大震災や原発の放射能漏れによる自粛ムードもあって、さずがに観光客はまばらでした。

 泊まった国民宿舎「伊豆まつざき荘」では食膳に「燻りきびなご」が上りました。きびなごは体側に光る銀青色の縦帯の入った全長10センチほどの小魚で、薩摩料理には欠かせませんが、松崎の特産物でもあります。

 新鮮なのは刺身で食べますが、桜葉を採った後に廃棄される大島桜の枝部をチップにし燻したきびなごを昨年秋から出し始めたそうです。燻されてやや締まった身からはスモーキーな香ばしさと美味しさが舌に広がります。支配人の山地敏彦さんによると「お陰さまでお客さんに好評」とのこと。

 幸い薫煙材としてベストの桜の木は、桜葉生産日本一の松崎の特産品。地元産のコラボレーションで生まれたこの一品は新名物になりそうです。

 1皿500円。まつざき荘では数量限定の追加料理の1つです。

 もう1つ、町役場そばの那珂川沿いの築150年の古民家を改修、地元の主婦たち15人が共同出資して昨年10月10日にオープンした「蔵ら」にも惹かれて立ち寄りました。代表理事の青森千枝美さんの「町おこし、生きがい作り、交流の場づくり」の言葉通り、スタッフはイキイキした笑顔。町民の手作り品や町外アーティストの作品などの展示販売の他に、日替わりのワンコインランチの食事処もありました。

 ランチはさんま寿司、レンコンのはさみ揚げなどそれぞれの得意料理が日替わりで出てきます。この日は天ぷらにご飯、味噌汁、漬物など。美味しいこれらがワンコイン(500円)で食べられることあってもいつも満席状態です。

 間近に波静かな青い海やのどかな田畑、街を歩けば「民芸茶房」の海鮮料理、「梅月園」のさくら葉餅、「はやま」のさつまあげなど心も手もおみやげでいっぱいになる町なのです。

<問合せ>
・松崎町観光協会 ☎0558-42-0745
・伊豆まつざき荘 ☎0558-42-0450
・蔵ら ☎0558-42-0100

話題の8店が結集した東京駅ラーメンストリート(東京都)

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8店舗が集まる東京駅ラーメンストリート

北海道の月形町で創業。全国に名が広まった「むつみ屋」の店主・竹麓輔さん

「むつみ屋」の赤みそラーメン850円
 何軒か食べ物屋がある町にはそば屋はなくてもたいていラーメン屋があるように、ラーメンは日本の“国民食”です。そのおいしさはルーツである中国人にも評価されています。

 そればかりか観光庁の調査によると、日本に観光に来る欧米など外国人の間でも、日本食で人気なのが“すし”の次が“ラーメン”だそうです。

 そんな背景も見据えて東京駅八重洲南口地下1階に、今年4月8日、全国的にも評判の高い8軒のラーメン店が集まる「東京ラーメンストリート」がグランドオープンしました。

 この日に先立って2009年に4店舗が開店。これに4店が加わって文字通りラーメンストリートが生まれたのです。さっそく行ってみると、それぞれ特徴のある味わいを競い合ってそれぞれの店は行列ができる盛況ぶりでした。

 “東京で、真っ先に食べたい”をコンセプトに先行開店したのは、濃厚スープに超極太麺のつけめん界をリードする「東京六厘舎」、蟹をベースとした味噌、醤油、塩を創作したラーメン界の革命児と称される「蟹専門けいすけ北の章」、魚ダシの醤油魚介らーめんで環七で一番の行列店を成功させたオーナーが出店する塩専門の「ひるがお」、北海道の水にこだわり、濃厚にしてあっさりながらコクのあるスープの「むつみ屋」の4店舗。

 これに今回加わったのが、動物系と魚介系のスープをバランスよくブレンドした「東京駅斑鳩」、24歳の新進気鋭の店主が作る行列店の「麺処ほん田」、麺の美味しさを最大限に引き出す、昼夜(醤油・味噌)異なる味わいを出す「麺や七彩」、旨味凝縮のスープと超極太麺を混ぜながら食べる新感覚の“まぜそば”を確立した「ジャンクガレッジ」の4店舗です。

 いずれも個性と独創性豊かな行列店ばかりで、多くは本店以外の初出店。東京駅の新名所になるのか、注目の味のストリートです。

 750円~1000円。20~32席。営業時間は概ね11時~22時30分ですが、各店異なります。「六厘舎」「麺や七彩」は7時30分から営業。

<問合せ>
東京駅一番街 http://www.tokyo-1bangai.co.jp
・各店には電話はありません。

中尾隆之
中尾 隆之(旅行作家)高校教師、出版社を経てフリーランスライターに。月に10日は取材旅行の現場主義で、町並み、鉄道、温泉、味覚等の紀行コラム、エッセイ、ガイド文を執筆。とくにお菓子好きで、新聞、雑誌にコラム連載のほか、『全国和菓子風土記』の著書もある。2007年8月に「全国土産銘菓選手権初代TVチャンピオン」(テレビ東京系)に。