


奥州への押えに重視された小峰城の三重櫓

大正時代のハイカラさ漂う洋風の白河駅舎

松平定信が開いた水と木、花の南湖公園

南湖公園の名物の花月の「南湖だんご」

黒餡を求肥で包んだ老舗玉家の「烏羽玉」

100軒が味を競う菊忠の「白河ラーメン」

白河の名を古くから広めた白河関跡
まずは町のシンボルの「小峰城跡」(0248・22・1111白河市観光課)に行った。城は江戸時代に10万石の白河藩主となった丹羽長重が、南北朝からあった城を天守閣こそ設けなかったが、“奥州の押え”にふさわしく、4年をかけて石垣や櫓などを大改修。城主も榊原、本多、松平、阿部各氏の重臣たちで重きをなしたが、慶応4年の戊辰戦争白河口の戦いの際に焼失する。
今に残る三重櫓は資料に忠実に木造で再現されたもので、石落としや鉄砲狭間の仕掛けなどに往時をしのびながら、急階段で最上階に出ると、吹き抜ける風が涼しく、四周に眺望が開けた。
代々の藩主の中でも特に名高いのは、のちに幕府の老中を務め、寛政の改革を成し遂げた名君、12代藩主の松平定信。茶人で作庭にも優れていた定信は、城の3キロほど南に日本最古の公園といわれる「南湖公園」(☏白河市観光課)を造営。湖畔に桜、楓、松などを植え、17の景勝地を定めて和漢二つの名称を付けた。
眺めのよい茶室の共楽亭、池泉回遊式日本庭園の翆楽苑を設け、身分の差を超えて共に楽しめる“士民共楽”の理念が実践されたという。
湖畔には名物「南湖だんご」の店が4軒。なかで創業100年余の元祖と呼ばれる「花月」(0248・23・3377)で、しこしこの歯ざわりの上新粉のだんごに小豆餡やみたらしがたっぷりのだんごを味おいしく味わった。
城下町の面影は大手町、勘定町、手代町、大工町、馬町、年貢町など今も町名にも残る。旧奥州街道(国道294号)沿いには脇本陣柳屋の蔵座敷をはじめ、木造や蔵に風情のある白河醤油やこしあんを柔らかな求肥で包んだ銘菓「烏羽玉」の文久元年創業の」菓子舗玉家(0248・23・2001)、白河銘酒の千駒酒造(0248・23・3057)の白壁の酒蔵などが点在。20ほどを数える周辺の寺を含めて、城下町と宿場町が折り重なって発展した面影が残っている。
そんな中で今の白河で目に付くのが100店を数える名物「白河ラーメン」。コシのある手打ち麺とコクのある醤油味のスープが評判で、昼時は並んで待つこともしばしば。数ある中でラーメン処菊忠(0248・23・2898)で味わい深く賞味した。
・JR東北本線白河駅下車、またはJR東北新幹線新白河駅下車
〈問合せ〉
・白河市産業部観光課☏0248・22・1111
・白河観光物産協会☏0248・22・1147


3名城の威容を伝える名古屋城大天守

復元工事中だが一部公開の本丸御殿

舟運のため城下と熱田の間に開削の堀川

江戸期から続く両口屋是清の「をちこち」

藩主に献上した美濃忠の「上り羊羹」

“大須の観音さん”で親しまれる宝生院

名古屋名物を代表する「青柳ういろう」
けれど名駅からほど近いビル群や高速道路の谷間に、尾張徳川家の城下町の名残が息づく。なごや観光ルートバス「メーグル」(1DAYチケット500円・月曜運休)が歴史的な名所を巡っているので、城下町の面影を求めて歩いてみた。
名古屋が町として発展するのは慶長13年(1609)、関ケ原の戦いに勝利した徳川家康が豊臣方に備え、加藤清正や福島正則ら西国大名20家に命じて名古屋城を築かせ、9男義直を城主に62万石の尾張徳川家を興したことに始まる。
城の南側に碁盤目の町割りを敷き、老中や武家屋敷を配し、防備と舟運を兼ねた堀川を掘削。周辺に回船問屋や商人、職人を集めて城下町をつくった。その面影を残すのが駅から歩いて10数分の四間道(しけみち)。元禄年間の大火を教訓に四間(約7.2メートル)に広げた通り沿いに建てられた白壁土蔵が趣深い町並みを残している。
ここから五条橋を東へ渡ると、碁盤目の城下の町割り残る丸の内。官庁街やオフィス街の一角に家康を祀る東照宮や那古野神社、そして北側の樹木茂る台地に名古屋城(052・231・1700)がある。伊勢音頭に「♪伊勢は津でもつ、津は伊勢でもつ、尾張名古屋は城でもつ」と謳われた天下の名城には、徳川家の権力・財力を誇示する金鯱が燦然と輝く。7階の天守最上階から近代都市の発展ぶりが実感できた。
名古屋城は明治維新の時、姫路城とともに取り壊されなかった稀な城で、昭和20年の大空襲で焼失するまで名古屋離宮として美しい姿を誇っていた。鉄筋コンクリートで再建されたのが現存の大天守だが、当時のままを新たに再建しようという動きがある。木造で再建中の本丸御殿の玄関や表書院が見学できた。
名古屋には天下の将軍、徳川の御三家の威光や派手好みの風土から遊芸や茶の湯なども盛んで、銘菓も数多く生まれた。その老舗が江戸初期の寛永年間に御用菓子司を賜った、丹波大納言と村雨餡がしっとり甘い「をちこち」で名高い両口屋是清栄店(052・249・5666)や御用菓子司の桔梗屋のあとを次いで、献上の高級蒸し羊羹「上り羊羹」を引き継いだ美濃忠(052・231・3904)などが伝統の味を伝えている。
また慶長17年、徳川家康が美濃から移した大須観音の門前にある青柳総本家大須本店(052・231・0194)の「青柳ういろう」など江戸時代初期に伝わって以来350年余の「ういろう」が名古屋名物として名高い。
きしめん、味噌カツ、味噌煮込みうどん、ひつまぶし、小倉トーストなど多種多様な“名古屋めし”も大きな魅力である。
・JR東海道新幹線、またはJR東海道本線名古屋駅下車
〈問合せ〉
・名古屋観光コンベンションビューロー☏052・202・1143