風土47
 
オムック


 韓国でもここのところ熱帯夜が続き、寝不足で朝起きると体が重く感じられます。

 韓国では今年から「エネルギー利用合理化法」によって、一般建物の冷房温度を26℃以上にすることが定められ、違反した場合は罰金をとられることもあるそうです。そのおかげで、銀行やデパートへ行っても以前のような凉しさは感じられなくなりましたが、それでもこの暑さではデパートや銀行の涼しさがありがたくうれしく思われます。

 そんなことで、今回はデパ地下なら必ず見つかる韓国式かまぼこ「オムック」を紹介したいと思います。


デパ地下のオムック専門店。その場で作って販売している

 オムックの原型であるかまぼこは、日本の統治時代におでんなどとともに韓国に伝わりました。25年ほど前から工場で大量生産が可能になって家庭の食卓や子供たちのお弁当のおかずなどに愛用され、市場には必ず小さなオムック工場がある位その人気は高かったようです。

 そして、7、8年前からは「手作りオムック」が登場し、注目が集まるようになりました。暮らしが豊かになるとともに多少値段が高くても質のよい食品を求める人が増えたからです。


店頭に並ぶさまざまなオムック

 以前とは少し異なり、食べやすく棒状にして、揚げたてがすぐ食べられるように串を刺してケチャップやマスダードソースをつけて楽しむようになりました。それで、オムックはハッバー(Hot bar)とも呼ばれるようになりました。

 5、6年前から姿かたちと使われる材料が多様化されたのが今のオムックです。現在は全国にオムック専門店がある位で、小腹が空いた時や、夏バテで食欲のない時、学生の間食などに最適です。

 水原AKデパートの地下にある「KAMABOKO」店は、30年間の経験を持つ達人がその場で作っています。今回の取材でいろいろお話しを聞きましたが、腕前だけではなくオムックに関しての詳しい知識に驚きました。

店長さんの熟練した手さばきについ見とれてしまう/かたちができるとどんどん揚げていきます

オムックには、基本的に玉ねぎ、なが葱、にんじん、
ごまの葉、にらの中から3種類以上の刻んだ野菜が入ります。
原料のすりみはタイやタラ、雑魚等が使われていますが、
現在はほとんどが輸入されたものだそうです

 オムックは日本から伝わって来たものですし、最近は日本食のブームということもあってお店の名前も日本語そのままに「KAMABOKO」とつけたそうです。こちらは他の店より種類が多く、約15種類もあります。

 今回はその中のいくつかを紹介して見ましょう。


    ①ワンセウオムック〜大きい海老が丸ごとに入っています。
    ②ヤチェオムック〜色々な野菜が入っています。えごまの葉とのりで巻いてあり、えごまの葉の香が印象的です。
    ③ナルチアルオムック〜トビウオの卵がたっぷりと入っています。味も良いが食感もすばらしい。
    ④ムンオオムック〜刻んだタコが入っています。
    ⑤ゴチュオムック〜野菜と辛い青唐辛子が入って辛党にはおすすめ。
    ⑥ヘサンムルオムック〜2〜3種類の海産物が少しずつ入っています。
    ⑦ギムマリオムック〜のり巻きの中に韓国式春雨(チャプチェ)が入っています。店長のおすすめ。
    ⑧ワンゴチュオムック〜辛くない大きい青唐辛子が丸ごと入っています。他のオムックよりさっぱりしていておいしいです。
    ⑨トックオムック〜お餅(トック)が入っています。もちもちした食感が楽しめます。

 食べやすく切ってもらうか串を刺さしてもらえます。辛いのが好きな人は甘辛いコチュジャンソースをつけると良いでしょう。お値段は、2,000ウォンから3,000ウォン(約150円〜225円)。かなり量が多くて食事代わりにもなりますので、暑い日など私は昼食の代わりに良く食べます。


  ◎ハングル単語メモ
    ・어묵(オムック):かまぼこ
    ・핫바(ハッバー):ホットバー、かまぼこ
    ・왕새우(ワンセウ):大えび
    ・야채(ヤチェ):野菜
    ・날치알(ナルチアル):飛び魚の卵
    ・문어(ムンオ):タコ
    ・고추(ゴチュ):唐辛子
    ・해산물(ヘサンムル):海産物
    ・김말이(ギムマリ):のり巻き
    ・왕고추(ワンゴチュ):大きい唐辛子
    ・떡(トック):お餅
  • 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
    東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。