
韓国にもようやく秋が訪れました。今夏の猛烈な暑さと、天に穴が開いたかのような豪雨がいつの出来事だったのかとでもいうように、平穏な天気が続き心が浮き立つような季節となりました。
そのせいなのでしょうか、入口のドアを開いたままお客さんを迎えるお店が目立ちます。
また、屋台で楽しむ人も多く見られます。水原駅の前には、夜になると30軒ほどのさまざまな種類の屋台が集まり盛況を呈しています。

水原駅の前/夜になると屋台街に変身します
屋台は、軽くもう一杯飲みたい時や飲み会の帰りに仲良しの仲間ともう少し話をしたい時などに行くことが多いのです。そういうわけで、屋台は駅周辺を中心にあり、午後8時を過ぎてから開くお店が大半です。
今回はその中の一軒を紹介しましょう。
このお店は普通の屋台とは異なり、屋根がなくて屋台をテーブルのように囲んで座るだけで外との区切りはありません。気持ち良い秋風を楽しむには最適のつくりですね。
ただし、お店の名前もないので、場所で覚えるしかありません。お品書きもなく、店のおばさんに聞くと元気良く教えてくれます。

シンプルな屋台とシンプルなメニュー
メニューはいたってシンプルで、ホンハブタン(홍합탕:ムール貝湯)とゴルベンイタン(골뱅이탕:ツブ貝湯)、それにトッポキ(떡볶이:甘辛く調理したお餅)がすべてです。お値段は、ホンハブタンが5,000ウォン、ゴルベンイタンが15,000ウォン、両方のミックスが10,000ウォンです。
ホンハブタンは、水をいっぱいに張った鍋にムール貝を入れ、料理酎を少々とニンニクスライスを加えて沸騰したら、刻んだ青唐辛子と塩を入れてもう一煮立ちさせます。ゴルベンイタンも同じ方法で作ります。

ホンハブタン(ムール貝湯)/ゴルベンイタン(ツブ貝湯)
私はミックスを頼んでみました。すでに調理されているので、注文するとすぐ器に盛って渡してくれます。あふれそうなほど入れてくれるので最初はびっくりしますが、殻ごと出てくるので量はそれほどではありません。二人で食べるのにちょうどいいくらいです。

器に山盛りのミックス/ツブ貝は串で身を取り出します
ゴルベンイは串を使うと簡単に身が取れるので、これを酢コチュジャンソースにつけて食べます。ムール貝も同じように食べたりするのですが、私は殻の中にスープをいっぱい入れて身と一緒に食べるのが好きです。お店にはスプーンが置いてないこともあって、スープを飲む時はみんなこいう風にして飲みます。また、これが楽しく手が忙しくなります。

ムール貝に酢コチジャンソース/貝殻でスープと一緒に
身もやわらかくておいしいのですが、このスープはさっぱりしていても貝の味がきちんと出ていて本当においしいです。もっとも、こんなにたくさんの貝を入れて作ったスープだから、おいしくないわけがありませんよね。

山盛りの貝殻/気候が良い時は本当に気持ちがいい
このお店の周りに5、6軒まったく同じ感じの屋台がありますが、料理の味はそんなに変わらないと思います。
私も二次会で寄ったのでお腹いっぱいだったのに、あっという間に全部食べてしまい、貝殻だけが山盛りになっていました。
やや肌寒い風を感じながら屋台で食べるホンハブタンとゴルベンイタンは、秋のようにさっぱりとしたお味でした。
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・홍합(ホンハブ):ムール貝
・골뱅이(ゴルベンイ):ツブ貝
・탕(タン):中華料理の「湯」に同じ。スープ仕立て
・가을(ガウル):秋
◆今月のおまけ写真

- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。