風土47
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ウロングサムパプ(우렁 쌈밥)

 タニシは日本ではほとんど食べないそうですが、韓国では食用に栽培されるほど人気がある食材です。

 今月は、そのタニシ(ウロング)を入れて作った味噌を、ご飯と一緒にレタスなどの野菜に包んで食べる料理、ウロングサムパプをご紹介します。

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テーブルに並んだタニシ味噌やバンチャン

 タ​​ニシ入り味噌の作り方は家によって色々とありますが、その中の一つをご紹介しましょう。

 タニシは塩と小麦粉などを使ってきれいに洗い、ぬめりや匂いを取ります。

 土鍋にゴマ油を入れ、スライスしたニンニクを炒めて香りを付けた後、サイコロに切ったタマネギ、ズッキーニ、シイタケなどを加えて炒めます。そこへ煮干と昆布で取ったスープを普通の味噌チゲよりも少なめに注ぎ入れ、タニシ、味噌、粉唐辛子を入れて汁が少なくなるまで煮詰めます。

 最後に、青唐辛子、赤唐辛子、長ネギの千切りとニンニクのみじん切りを加え、ゴマとゴマ油、塩、砂糖などで味を調えると完成です。

 家庭でも手軽に作ることができますが、味の決め手は味噌にあるといって良いでしょう。

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ウロングサムバブが美味しいモグルトの入口 / 店内のようす

 今回は、水原(수원:スウォン)にある「モグルト」というウロングサムバブの味に定評があるお店にお邪魔してみました。久しぶりに行ったのですが、リニューアルでがらっと変わってしまっており、もしかしたらお店を間違えたのではないかと思ってお店の人に何度も確かめました。

 以前は狭くてちょっと不便な点もありましたが、人であふれるお店で隣に座っている同士がぶつかったりしながら食べる方が、変ですがなぜかもっと美味しく感じさせるし、一つの楽しみでした。

 そのようなお店がだんだん少なくなっているのはとても残念だと思います。

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中央にタニシ味噌が入った土鍋、茹でたタニシやバンチャン、ご飯が並べられました

 さて、席に着き、看板メニューのウロングサムバブを2人前を注文しました。1人前7,000ウォンで2人前から注文可能です。5,000ウォンでタニシのみを追加で注文することもできます。

 タニシがたっぷり入った味噌のほかに、なんと、茹でたタニシも一皿、コチュジャンソースと一緒に出てきます。パンチャンは、白菜キムチ、大根の千切りキムチ、もやしの和えもの、セリの和え物、タマネギの醤油酢付け、チヂミ、わかめスープ、豆腐、レタスなどです。

 素朴な材料で美味しい味を出すのがこの店の特徴で、一般家庭でもよく出てくるような定番のおかずばかりです。

バンチャン(おかず)を並べてみました
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茹でたタニシ / 大根の千切りキムチ / セリの和えもの  photo05
もやしの和えもの / タマネギの醤油酢付け / わかめスープ

 このお店では隠し味として、ヒマワリの種やカボチャの種、松の実、クルミなど10種類以上のナッツと、エゴマの粉やきな粉を一緒にミキサーにかけ、味噌と混ぜて使用しています。そのためか、香ばしさが深くマイルドでありながら味噌の味もしっかりとしています。

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土鍋のままで出てくるタニシ味噌 photo07
これを良くかき混ぜて… / スプーンで取り… / ご飯にのせます… photo08
レタスで包んで食べます
 レタスにご飯と味噌、タニシをたっぷり包んで口を大きく開けて食べると、柔らかなタニシの味と香ばしい味噌とナッツの甘さに、唐辛子がちょうどいい具合に辛味のアクセントを付けてくれます。

 本当のことをいうと、タニシ味噌さえあれば他のおかずは要らないと思えるくらいのおいしさなのです。


  ◎ハングル単語メモ

  • 우렁(ウロング):タニシ
  • 쌈밥(サムパプ):野菜などで巻いて食べるご飯
  • 뚝배기(トゥぺギ):土鍋
  • 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
    東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。