

公園のあちこちに冬ソナの写真がある
ソウルから春川(チュンチョン)までは車で約1時間、そこから船で5分ほど行くと南怡島(ナミソム)に着きます。韓国ドラマ“冬のソナタ”の撮影地として日本でもよく知られています。広い芝生とおしゃれなカフェなどもいいですが、延々と続く美しい並木道は非常に印象的でした。公園のあちこちに冬のソナタの写真が置かれていますが、冬ソナに興味がなくても、時間を割いて訪れてみるのも良いと思います。最近、ソウル~春川間の地下鉄が開通して日帰りも楽になりました。

南怡島(ナミソム)行きの船 / 美しい並木道が続く
公園を一周したら、結構お腹が空いてきたので、春川の名物「タッカルビ」を食べることにし、タッカルビ・タウンに足を運ぶことにしました。
タッカルビとは、鶏と野菜をヤンニョムで味付けし、鉄板で焼いて食べる料理です。タッカルビには、鶏のカルビ自体ではなく、ぶつ切りにした鶏肉を使います。
作り方は、鶏肉を大きめに切って、塩、コショウ、酒、生姜汁、ゴマ油とよく混ぜて寝かせます。ヤンニョムの材料は、コチュジャン、粉唐辛子、砂糖、醤油、ニンニク、みりん、酒、生姜汁などです。このヤンニョムが味の決め手となるので、どの店でも秘伝の材料を加えたりして最も力を入れています。
熱くなった鉄板に油をひき、寝かせておいた鶏肉にさつま芋、ねぎ、ニンジン、米餅、キャベツ、エゴマの葉、青唐辛子、ゴマ油、コショウ、ゴマを入れてヤンニョムと一緒に炒めます。

これがタッカルビです
昔、春川は鷄の処分が盛んだったことから、鶏肉が他の肉より安く、タッカルビもお値段が安くて量も多く、庶民や大学生、休暇で外出する軍人などに40年以上も愛されてきた代表的な庶民のメニューです。それで、大学生カルビ、庶民カルビとよく呼ばれたそうです。今は老若男女誰もが好きな食べ物で、全国どこでも春川タッカルビという看板のお店が簡単に見つかるほどの人気です。

タッカルビ・タウンはどこまでもタッカルビ屋さんが続く…
さて、タッカルビ・タウンに到着したら、視界に入ってくるお店はすべてタッカルビ専門店で、その中から一つを選ぶのは至難の業です。結局、タクシーの運転手さんが教えてくれた「ウミ」というお店にお邪魔することにしました。
入口からもお店の忙しさが感じられるほど多くの客で満員でした。広い店内には、座式と洋式に分けられてたくさんのテーブルがあり、従業員も大勢で、注文を受ける人、料理を運ぶ人、片付ける人など、非常に分業化と組織化されていることが印象的でした。

タッカルビ専門店「ウミ」の外観 / お客さんで埋まったウミの店内
タッカルビを注文すると、スタッフが熱した鉄板の上に鶏肉と野菜とヤンニョムを素早く置いて行きますが、忙しい中にも頃合いを見計らってやって来ておいしく調理してくれます。何回も混ぜるとサツマイモが崩れたり、野菜が柔らかくなるので注意が必要だからです。

手際よく材料を鉄板に並べて調理してくれる / 手前が葉物と薬味
焼肉を食べる時と同じく、サンチュやエゴマの葉に包んでニンニクやタマネギ、味噌を添えて食べたり、そのまま食べます。なぜタッカルビが韓国人にこんなに人気があるかは、その材料からも分かります。鶏肉、米餅、キャベツやサツマイモなど親しみのある食材と味付けで、いつ食べてもまた食べたくなります。それに、甘みがあるのでそれほど辛く感じないので小学生も好んで食べます。柔らかい鳥肉、米餅、サツマイモの色々な食感も楽しみの一つです。

おいしそうに焼き上がったタッカルビ / エゴマの葉に薬味と一緒にくるむ
最後に欠かせないのがチャーハンです。以前にも書きましたが、ご飯、海苔、ネギ、ゴマ油を、少し残したタッカルビと混ぜて焼くと、ヤンニョムと海苔の香りが絶妙に合わさってメイン料理に劣らない程の美味しいチャーハンが出来上がります。お腹がいっぱいでも鉄板の底が見えるまで手が止まらないくらいです。

鉄板の上で作るチャーハン / うどんを入れてもおいしい
この日もタッカルビに満足してきれいに食べ終わりましたが、タッカルビタウンが観光地化されてから、値段も一人前1万ウォンと少々お高くなり、春川以外でもおいしいタッカルビ専門店がたくさんあるということを考えると、春川旅行のついでタッカルビも試してみるかという程度でいいというのが正直な気持ちです。
◎ハングル単語メモ
- 닭(タッ):鶏
- 갈비(カルビ):あばら骨
- 가로수(ガロス):並木道
- 배(ベ):船
- 지하철(ジハチョル):地下鉄
- 金昭英(キム・ソヨン)1979年江原道江陵市生まれ
東京の語学スクールで日本語を学び、現在は水原市で日本語通訳として働いている。