風土47
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第2回 日の出トマトで、もんじゃを作る

 東京都日の出町。ご存知の方はいらっしゃるだろうか。新宿から車で約1時間。日米首脳会談が行われた「日の出山荘」。採れたて野菜がたくさん並ぶ直売所。自然に囲まれてバーベキューができる清流沿いの河原地帯。私事だが上記特徴を持つこの町を舞台に、昨年から町おこしに取り組んでいる。

 先日、農地視察をした際に入手困難な「日の出トマト」を農家さんから頂戴した。甘さとアクが凝縮された東京産トマトを見て、東京の郷土料理といえばなんだろうと考えた時、あることを思い出した。郷土料理をテーマにした料理教室を企画監修した際、老舗もんじゃ店の女将からレシピを教えてもらったことを!

 教えてくれた方は「もち明太子もんじゃ」発祥店として名高い老舗の女将。よし、今回はもんじゃにしようと思い立ち、頂戴したトマトを片手にレシピを考える。思い浮かんだのは、炭水化物つながりのペスカトーレ。トマトとシーフードの相性は抜群。「日の出トマトの海鮮もんじゃ」、それに加えもうひともんじゃ、女将直伝「もち明太子もんじゃ」を作ることに決め、いざ準備。

■ レシピ

【材料】(2人前)
・キャベツ 1/4個(44円)
・揚げ玉 1/2袋(51円)
・焼きそば 1/2袋(55円)
・農家さんからもらった日の出 トマト1個(0円)
・シーフードミックス 1袋(298円)
・味の素 適量
・サラダ油 適量
・薄力粉 32g
・水 350cc
・ウスターソース 30cc
・液体かつおだし 小さじ1/2

【手順】

1. 薄力粉と水、ウスターソース、液体かつおだしをよくまぜ合わせて、もんじゃ汁を作る。

2. キャベツを刻む(千切りより太めに)。袋に入った状態の揚げ玉を手でつぶす。1のもんじゃ汁に、キャベツと揚げ玉を入れ、その上に焼きそばとトマト、シーフードミックスをのせる。

3. 2.からもんじゃ汁を含んだ全ての食材を取り出して、サラダ油をひいたホットプレート(高温)で炒める。炒めた食材でもんじゃの土手を作る。

4. キャベツがしんなりしたら、もんじゃ汁を土手の内側に流し入れ、ぐつぐつしてきたらよくまぜる。味の素とウスターソースで味を調えて完成。お好みで海苔を振り掛けるのもおすすめ。

※「もち明太子もんじゃ」版

2.の手順でトマトとシーフードミックスの代わりに、約1cm幅に切った餅と明太子を焼きそばの上にのせる。他は同じ手順。
材料は日の出トマトとシーフードミックスの代わりに、餅2個(50円)と明太子(298円)を使う。他は同じ。

2.からもんじゃ汁を含んだ全ての食材を取り出して、サラダ油をひいたホットプレート(高温)で炒める。炒めた食材でもんじゃの土手を作る。

キャベツがしんなりしたら、もんじゃ汁を土手の内側に流し入れ、ぐつぐつしてきたらよくまぜる。味の素とウスターソースで味を調えて完成。

■ 所感、こうすればもっと美味しく!

「日の出トマトの海鮮もんじゃ」、トマトの旨みがシーフードと相性抜群。2人前の原価は約450円。満足度◎。途中でチーズを入れて味の変化を楽しむのもありだと思う。
女将直伝「もち明太子もんじゃ」、やはり美味しい。2人前の原価、約500円。満足度◎。今となっては定番もんじゃだが、考案者である女将曰く「食事の度に、"これ、もんじゃに合うかも!"といつも考えている自分がいます(笑)」。日々の試行錯誤、創作意欲に脱帽。

※原価には下記を含んでいません。
(味の素、サラダ油、薄力粉、ウスターソース、液体かつおだし)

■ 「もんじゃ焼き」って?

 小麦粉をメインにした具材を鉄板で調理する料理。元々はおやつとして食べられてきたもので、ゆるい生地で鉄板に文字を書きながら焼いていたその様子から文字焼きと言われ、それがいつしかもんじゃと呼ばれるようになったとされる。東京の浅草や月島を中心に、多くのもんじゃ店が軒を連ねている。

【文・写真 瀬川雄貴】

プロフィール:瀬川 雄貴、粟井 滋彦
1993年に中学校で出会い、2007年に2人でロケーションリサーチ株式会社を設立。
現在、地域振興に関わる仕事を行っている。郷土料理教室のプロデュース、雑誌やweb媒体における郷土料理コンテンツ協力(写真やレシピ、蘊蓄)、時には農家のお嫁さん探しにも取り組んでいる。
http://www.location-research.co.jp/