
第1回、2回担当の瀬川に変わり、今回は粟井が担当します。仕事がら沢山の郷土料理と出会います。このコーナーを通して「ふるさと食の魅力」に関する多様な情報をお届けできたらと思っています。今後よろしくお願いします。
第3回 群馬県の郷土料理「こしね汁」を作ってみた
昨年末、向笠千恵子先生(フードジャーナリスト、農林水産省「郷土料理百選」選定委員)を校長に迎えた「郷土料理伝承学校」に携わったのが今回の旅の入り口。
そこで群馬県の食、とりわけこんにゃくと下仁田ねぎの魅力にふれた。その繋がりから群馬県主催の関係者向け観光PRイベント「フードコミッションぐんま」へお招きいただき参加してきた。
本イベントは群馬県の食を「食べて、見て、作る」というもの。
今回はそのイベントの様子、そこで教わった「こしね汁」をお伝えします。
道の駅「しもにた」で下仁田ねぎを試食。極太の下仁田ねぎを炭火で豪快に焼き、杉の枯葉で燻し、真っ黒になった皮をむいて食す「大名焼き」。下仁田ねぎは生では辛味が強すぎ薬味には向かないが、 熱を加えると一変、食感は柔らかくなり、口に入れるとねぎとは思えない甘みがどっと広がる。
■ 下仁田町役場の方々へ一言クエスチョン
Q:現地オススメの調理法?
A:「天ぷら!」、「やはり味噌汁が一番だね」、「葉を細かく刻み、かき揚げ!」
続いて、下仁田ねぎのほ場を視察。風通しと陽当りを良くするよう斜め45度にずらっと植えられ、地域特有の粘質が強い土で15ヶ月もの期間をかけ育てられる。 栽培期間は通常のねぎの3~5倍。古くは高崎藩主が江戸の殿様に贈答品として送っていた事から別名「殿様ねぎ」とも呼ばれる。
■ 下仁田ねぎ農家「下仁田ファーム小金澤農園」の小金澤さんへ
一言クエスチョン
Q:美味しいねぎの見分け方って?
A:実は短くて太いのが旨い。うどんに入れたら美味しいよ!
お昼、老舗割烹旅館「常盤館」にて「すき焼き」をいただく。上州和牛の旨味と下仁田ねぎの甘みが合わさり、頬が落ちる。 同席した役場の皆さんいわく「美味しくて好物。3日連日来たこともある!」とのこと。参加者一同、納得。
■ 同席した役場の皆さんに一言クエスチョン
Q:群馬県でなぜすき焼き?
A:ねぎ、こんにゃく、和牛が名産品なので必然ですね。豚肉で作ることもありますよ。
続いて「こんにゃく手作り体験道場」でこんにゃくづくりを体験。ぬるま湯と粉を合わせて練り固め、切ったものを茹でて完成。所要時間は駆け足で30分強。 群馬県はこんにゃくの生産量が全国一位。「生芋」を用いて作られる「生芋こんにゃく」は名産品。食感と香りが強いのが特徴。
■ 「こんにゃく手作りの会」桜井さんへ一言クエスチョン
Q:こんにゃくの魅力?
A:料理では脇役。されど食感が他の食べものを引き立てる。美容にも良い!?
以上、群馬県冬の食を駆け足で体験させていただいた。ツアー終了後、お土産として「こしね汁セット」を頂戴したので、追加の材料を揃えていざ調理。
■ レシピ

【材料】(4~5人前)
・こんにゃく適量
・しいたけ4枚
・下仁田ねぎ1本
・ごぼう1本
・にんじん1本
・豆腐1丁
・あぶらあげ3枚
・だいこん1/5本
・里芋10個
・豚ばら肉200g
・地味噌、しょうゆ、みりん、ゆず皮、
昆布(出汁用)を適量
【手順】


2. 材料に火が通ったら味噌を溶きいれ、しょうゆとみりんで味を調える。
3. 豆腐と下仁田ねぎを加え軽く火を通し、ゆず皮で風味をつけて、完成。

■ 「こしね汁」を食べたみた
この日の為に東銀座の群馬県アンテナショップ「ぐんまちゃん家」で購入した群馬の地ビール「オゼノユキドケ」を手に食す。シンプルながら、 こういった料理が郷土料理の原点なんだろうなと思いを馳せながら完食。印象に残る食材はやはり下仁田ねぎ。「とろん」と柔らかく、とても美味。次回は「ねぎだく」にして作りたい。

■ こしね汁って?
「こしね汁」は「こんにゃく」と「しいたけ」と「(下仁田)ねぎ」を用いた汁物で、それぞれの頭文字をとって名付けられた群馬県の郷土料理。主となる三食材の生産量は同県が全国的にトップクラス。