風土47
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第4回 新潟県の郷土料理「のっぺ」を作ってみた

 「郷土料理」がテーマの本コーナー。初心に帰り自身の「郷土料理」について改めて考えてみた。東京都でうまれ、埼玉県、千葉県で育ち、海、山、川、畑に縁をもたなかった為か特定料理への意識は薄いが、ふた料理程ある。 父方大阪府の「白みその雑煮」と母方新潟県の「のっぺ」。どちらも正月に食していたもの。

 今年の正月は母方で過ごしたことを思い起こし、「のっぺ」を改めて学び、作ってみようと思い立った。

■ 「のっぺ」を祖母に聞いてみた

「あなたが食べているのっぺは新潟県村上市のものよ」。
細かく聞くとこうなる。村上市出身の曽祖父の為に福岡うまれの曾祖母が作っていた。祖父がよく食べていたそれを、祖母に伝えたものだ。 少しややこしいが、代々伝わってきた郷土料理なのだと実感。自身がうまれる以前の家族の話はいつ聞いても興味がわく。

「自分でも作りたい」とレシピを訊ねた。

「アレをソレしてコレをバーっとやって・・(略)分量はぜんぶ、だいたいだよ。しいたけは少なめにね。」

・・作り方がまとまった。はず。分量は自身で決めるしかない。

■ 「のっぺ」を表参道の新潟県アンテナショップ「ネスパス」で聞いてみた

 他のお客さんが居ない頃を見計らい話を聞いた。「僕は新潟県へ帰郷した際、必ず食べます。冬場に食べると、とても身体があたたまる。大げさな言い方をすると、 食卓に無いと機嫌が悪くなる人もいるぐらい。煮菜(にな)※と並んで新潟県の代表料理。皆大好き!銀杏や鮭を入れることもあり、片栗粉の有無も分かれますね」。

※煮菜(にな)
秋に大量に漬けておいた漬け菜を塩出しして再利用したもの。山間地では野沢菜、平場地域では大根菜やたい菜を利用する。冬場の栄養補給として最高の料理である。(新潟県ウェブサイトより抜粋)

■ 「のっぺ」を新潟県村上市に聞いてみた

 こちらは仕事として電話。郷土料理を伝えるべく「定義」を訊ねてみた。「家庭にあるもので作る地域性が豊かに出る煮物料理。呼び名は様々」。『大海』と呼ぶこともあるそうだ。
こちらは鶏出汁で糸こんにゃく、しいたけ、たけのこ、鶏肉を煮込みしょうゆで味を調えたもの。と定義しているとの話。

 各種情報を見聞きし、その気になったところで、いざ調理。

■ レシピ

【材料】(2人前)
・にんじん1/2本
・ごぼう1/2本
・さといも3個
(新潟県五泉市「大和早生」。アンテナショップ「ネスパス」で購入)
・ごれんこん1節
・鶏もも肉180g
・こんにゃく1/2枚
・椎茸2枚
・三つ葉適量
・鶏ガラスープ、水、砂糖、塩、しょうゆ、みりん、片栗粉を適量

【手順】

1. 材料をひとくち大に切り鍋に入れる。

2. 鶏ガラスープを鍋に入れ、しいたけの戻し汁とあわせて30分程火にかける。

3. 材料に火が通ったら調味料で味を調え、水溶き片栗粉でとろみを付けて完成。

■ 「のっぺ」を食べてみた

 あらためて食べると「おいしい」。材料の味を実感できる。形が無くなりかけているさといもの旨味もたまらず、あっという間に完食。
ともに並べたのは「ネスパス」で購入した同県の品々。佐渡市の日本酒「真野鶴」(ワンカップ風!)と長岡市の身の厚さが特徴の「栃尾の油揚げ」。 レジ先で「大人気の限定品。残り4個!」の掛け声に思わず手に取ってしまった加茂市の「かりんとう饅頭 鬼の金棒」(都内での取り扱いは同店のみ。日々入荷する100個以上は殆ど売切れの人気商品とのこと。美味!)を甘味とした。
新潟県産を揃えちょっとした旅気分で、食べ合わせも良く感じる。

 ちょい足し材料としてすすめられた調味料「かんずり」(妙高市産の唐辛子を雪にさらした後、糀、柚子、塩と混合し3年間熟成発酵させた香辛料)は相性抜群。トロみの冷めにくさと調味料の辛味があわさり、身体があたたまる。 雪国の知恵を感じた。

 今回あらためて学んだ「のっぺ」。自身のルーツと呼ぶのは大げさだが、家族に想いを寄せながら作った為か、これから自身の身近な人に食べさせたいと不思議な感情を抱いた。

■ 「のっぺ」って?

 新潟県の季節の具材を鍋で煮込んだ煮物料理で里芋のとろみが特徴とされる。冷ましてから食しても美味しい。県内のバリエーションは多彩で豊かな食文化を背景とした新潟県家庭料理の代表作。 主に正月やお盆などの年中行事の際に作られる。地域により様々な呼称がある。(のっぺい汁、のっぺい、のっぺい煮など)

■ 今回お世話になった皆さん(関連リンク)

アンテナショップネスパス
新潟県
新潟県村上市

【文・写真 粟井滋彦】

プロフィール:瀬川 雄貴、粟井 滋彦
1993年に中学校で出会い、2007年に2人でロケーションリサーチ株式会社を設立。
現在、地域振興に関わる仕事を行っている。郷土料理教室のプロデュース、雑誌やweb媒体における郷土料理コンテンツ協力(写真やレシピ、蘊蓄)、時には農家のお嫁さん探しにも取り組んでいる。
http://www.location-research.co.jp/