風土47
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第7回 東京都の郷土料理を作ってみた

 東京都内のアンテナショップ情報をご覧になる皆さんは各地域の様々な料理をご存知だと思う。たとえば秋田県のきりたんぽ鍋、富山県のます寿し、宮崎県のチキン南蛮などは全国区でもある。

 では東京都の郷土料理と言えば?江戸前寿司、天ぷら、鰻の蒲焼など、魚を使った料理が多く思い浮かぶかと思う。
 江戸時代、東京湾では漁業が盛んだった。日本橋周辺から永代(現:江東区)、東京湾沿いに浦安市、富津市にかけた遠浅の干潟では、アサリやハマグリがよく獲れた。

 今回はアサリを用いた、知られざる?東京都の郷土料理「深川めし」を作ってみようと思う。農林水産省が選定した「郷土料理百選」では「くさや」とともに東京都の郷土料理として選ばれている。レシピは飲食店「深川宿」に教わった。

■ レシピ

【材料】(2人前)
・炊いたご飯  2人分
・あさり    300g(殻付きの状態で)
・長ねぎ    1本
・白みそ    20g
・赤みそ    90g
・砂糖     20g
・酒      20cc
・みりん    25cc
・水      400cc
・きざみのり  適量

【手順】

1. 塩水に1時間ほど浸し砂抜きしたアサリを、浸る程度の湯(分量外)で沸かし、口のあいたものから順に殻を外しむき身にしておく。残った煮汁はアクをすくいとっておく。
長ねぎは縦半分に切ってから1.5cm幅の斜め切りにする。

2. ボウルで砂糖と白みそ、赤みそをあわせ、酒とみりんで伸ばしペースト状にする。

3. 鍋で湯を沸かし、1の煮汁と2のあわせ味噌を混ぜあわせる。軽く煮立て、アルコール分を飛ばす。

4. 3に1のアサリと長ねぎを入れ煮立たせる。長ねぎがしんなりしたら、ご飯をよそった丼にぶっかけ、きざみのりをのせて完成。(よくかき混ぜて食べるのが漁師流!)

■ 食べてみて

 ぷっくりしたアサリは滋味に富み、味噌の塩分が身体にしみわたる。漁師が愛した江戸っ子気質の料理なので、サッと作れ、かきこみやすい。
 薬味を添えるのであれば七味や白ごまが相性が良い。味噌の種類と量を変える事で、好みの味に調整もしやすそうだ。子供向けに牛乳を入れてまろやかにすることもあるとか。
 「アサリ」は鉄分やタウリン、ビタミンBが豊富に含まれ、夏バテ予防にも効果的。味噌汁、ボンゴレパスタ、酒蒸しに加わるバリエーションとして、「深川めし」を楽しんでみては。

■ 深川めしとは?

 アサリやハマグリ、ねぎ、油揚げなどで作った味噌汁をご飯にかけたぶっかけ飯。同じような材料で作られる炊き込みご飯も存在。漁師めしが発祥。
 現在も深川(東京都江東区)では、門前仲町駅や清澄白河駅を中心に深川めしを提供する料理店が多く軒を連ねる。
 日本五大銘飯のひとつにも数えられる。※他には、忠七めし(埼玉県)、かやくめし(大阪府)、さよりめし(岐阜県)、うずめめし(島根県)。

■ 今回お世話になった皆さん(関連リンク)

深川宿(レシピ協力店)

【文・写真 粟井滋彦】

プロフィール:瀬川 雄貴、粟井 滋彦
1993年に中学校で出会い、2007年に2人でロケーションリサーチ株式会社を設立。
現在、地域振興に関わる仕事を行っている。郷土料理教室のプロデュース、雑誌やweb媒体における郷土料理コンテンツ協力(写真やレシピ、蘊蓄)、時には農家のお嫁さん探しにも取り組んでいる。
http://www.location-research.co.jp/