風土47
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第8回 千葉県の郷土料理「太巻き寿司」を作る!

 第6回を担当させていただいた須藤史恵です。郷土料理に触れることが多くなった今日この頃。群馬県に帰省する際、何か郷土料理を教わりたいなと考え、料理上手な祖母に電話。おばあちゃんっ子であり、これまでにも様々な料理を私に教えてくれた祖母。祖母が幼少期を過ごした千葉県の「太巻き寿司 の作り方を教えてもらうことになりました。

■ 太巻き寿司のレシピは何処から?

 祖母は、私の曾祖父にあたる父親が国鉄に勤めていたために転校が多かったらしい。今回教えてくれる太巻き寿司は祖母が中学生のとき、千葉県市原市五井にある中学校の家庭科の授業で習ったという、60年以上前のレシピをそのまま教えてくれることになりました。5人兄弟の長女として家事や弟たちのおもりを任されていた祖母は、この太巻き寿司をよく、お弁当やお祝い事のあるときのメイン料理として作っていたそうだ。私も幼い頃から馴染みのある料理ではあるけど、改めてその材料やポイントを詳細に訊ねながら楽しく調理♪

■ レシピ(材料&作り方)

【材料】(2本分)
・米      2合
・焼き海苔   4枚
・にんじん   小1本
・しいたけ   小2個
・卵      3個
・桜でんぶ   適量
・菜の葉    小6本
(菜の花になる前の、葉の状態のもの)
・さやえんどう 12房
・すし酢    100ml
・砂糖     適量
・塩      適量
・しょうゆ   小さじ2
・みりん    小さじ2
・料理酒    大さじ2

【準備する物】(あると良いもの)
・寿司すだれ
・飯台(無ければボウルでも可)
・よく研いだ包丁
・うちわ

【手順】

1. 米2合に対し、水は少し控え、酒大さじ2を入れて炊く。炊きあがったら飯台に移し、すし酢100mlに砂糖をお好みで少々加えてよく溶いたものを少しずつ加え、うちわで扇ぎながらしゃもじで切るように混ぜ合わせる。

2. さやえんどう、菜の葉はそれぞれ塩少々を入れた湯で柔らかくなるまで茹でる。にんじんは細切りに、しいたけは石づきを取って薄切りにして茹で、火が通ったらみりんとしょうゆで味付けをしておく。

3. 卵は砂糖大さじ1、塩少々を加えて溶き、薄焼き卵を2枚分作る。1枚は細切りにしておく。焼き海苔は巻く直前に炙っておく。

4. 寿司すだれを横に置く。その上に焼き海苔の裏(ざらざらする面)を表にし、手順1を焼き海苔の上部1cmを残して全体に敷く。高さ約4cm、幅約2cmの土手を2本、ご飯を3等分するように作って下駄の裏側のようにする。同じ要領で、もうひとつ作る。

5. 手順4で作った土手の中央に、手順3の細切りにしていない卵をのせ、桜でんぶを包むようにする。土手の両端にさやえんどうを6房ずつ、その外側にしいたけを並べてのせる。4.で作ったもうひとつの土手の中央に、にんじんを並べ、その上に細切りにした卵、そのまた上にしいたけを並べる。土手の両端に菜の葉を3本ずつ並べる。

6. 手順5のそれぞれに焼き海苔を重ね、よく押さえつける。土手と土手が合わさるように手で押さえながらすだれを持ち上げて巻いていく。太巻きの両端に手順1を少し詰めて形を整えて切り分ければできあがり。

■ おばあちゃんからのアドバイス!

1) 花となるものは、ハムやソーセージなど、葉となるものはほうれん草やシソなど、どんな物でも代用可。その季節の旬な食材を使うとなお良い。

2) 手順4の際には、ご飯が手にくっつくので、水に酢を加えたものを用意しておき、手を湿らせながら作業をするとよい。清潔な布巾を用意しておくと便利。

3) 手順6のとき、握るのではなく、長方形の箱を作るようなイメージで均等に力を加える。

4) 包丁で切る際は、1回1回布巾で包丁を拭き、ご飯の粘りを取っておく。押すのではなく、引くイメージで。最後の一引きには、「グイッ」と力を入れて、切り離す。

■ 太巻き寿司を食べてみた。

 今回は2種類の太巻きを作り、それぞれ春らしいお花にすることができた。桜でんぶを使用したものは見た目通り春らしい甘みのある味に。また、さやえんどうの食感が楽しめた。にんじんを使用したものは、素材の味がよく出ていて、食べ応えのある味になった。祖母も、近所に住む祖母の末弟のおじさんも、「なつかしい、変わらない味だね」と笑顔で食べてくれた。今回は60年以上前のレシピで作ってみたが、キャラ弁が流行っている今日、太巻き寿司のレシピを紹介しているウェブサイトは無いだろうかと調べていたところ、「日本デコずし協会」なるものを見つけた。あらゆる世代が楽しめる“デコ巻き寿司”の図柄およびレシピの開発・流通、そしてインストラクターの養成につとめているらしい。デコ巻きずし協会が紹介しているものは、祖母に教わったものよりも中に入れる具材が少なく、ご飯自体に色を付けるものが多いことから、様々な形に形成することができると感じた。高度な技術を要すると思われる見た目だが、わかりやすく手順を記したレシピを使えば、誰でも巻くことができそうだ。私もこれから、ホームパーティーやお祝いの卓に、目でも舌でも味わえる様々なデコ巻き寿司に挑戦してみたいと思う。

■ 太巻き寿司って?

 季節の野菜や魚を巻いて作られる太巻き寿司。花や動物など、様々な絵柄を色鮮やかに描き出すのが特徴。古くは「江戸の台所」と言われた千葉県の豊かな食を祝うごちそうとして生まれ、現在も冠婚葬祭やもてなしの席などで食されている。鮮やかな絵柄と栄養価の高さから、子供たちのお弁当としても大人気である。

■ 今回お世話になった皆さん(関連リンク)

日本デコずし協会

松本美知子(祖母)、須藤鈴枝(母)

【文・写真 須藤史恵】

プロフィール:瀬川 雄貴、粟井 滋彦
1993年に中学校で出会い、2007年に2人でロケーションリサーチ株式会社を設立。
現在、地域振興に関わる仕事を行っている。郷土料理教室のプロデュース、雑誌やweb媒体における郷土料理コンテンツ協力(写真やレシピ、蘊蓄)、時には農家のお嫁さん探しにも取り組んでいる。
http://www.location-research.co.jp/