風土47
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第9回「せんべいを使う鍋料理」

 発祥は江戸時代?!、せんべいを入れる鍋料理。そんな異色の郷土料理、青森県のせんべい汁をご存じでしょうか。

 「B-1グランプリ」でゴールドグランプリを受賞。飲食店で大人気、お土産としても大人気。そんなせんべい汁についてのお問い合わせ、私たちにも多く届きます。特に最近多い声が、「せんべい汁の作り方を教えて欲しい」。ご期待に応えるべく、せんべい汁発祥地の青森県を含めた、6都道府県がお題の郷土料理教室の開催決定。ご興味ある方はお気軽に瀬川までご連絡ください!

 話がそれましたが、せんべい汁。東京新橋で青森の味を伝えて30余年、郷土料理店を営んでいる女将さんに話を聞いたことがあります。「子供の頃、食糧不足時によく食べていましたよ。大きな鉄鍋が食卓に置かれ、家族みんなで取り分けて。昔はあまり好きじゃなかったなぁ」地元にまつわる濃い話を拝聴した後、女将さんから「サバ缶せんべい汁レシピ」と「地鶏せんべい汁レシピ」を教わり、既に調理済。なので今回は、お土産セットを活用した調理に定め、いざ青森県のアンテナショップ「あおもり北彩館東京店」へ。

 せんべい汁用に焼き上げられたおつゆせんべいとスープが付いたセット(4人分)を購入。具材として、下記材料を入手し調理。

■ 材料(4人前)

・キャベツ 1/4個
・ねぎ 2本
・椎茸 1袋
・しめじ 2袋
・豚肉 50g
・鶏肉 80g
・糸こんにゃく 1袋
・にんじん 1本
・ごぼう 1本

お土産セット、手軽に作れ、アレンジしやすいことに驚く。このセットに、プロから教わったワンポイントアドバイスを活かしたら、より満足度が高いと思うので、前述の女将からの調理アドバイスをご紹介します!

■ 女将から教わった美味しく作るコツ

「野菜と鶏肉を予め油で炒めてから、だしを張った鍋に入れて作るとコクが出ます。炒める際、菜種油を使うとより味に深みが出ます」
「出汁、八戸では煮干し出汁を使うことが多いですね。煮干し出汁と菜種油の相性は抜群」

■ 改めて、せんべい汁とは?

 鶏肉などでだしを取ったスープににんじんやごぼう、きのこなどの旬の具材を入れ、しょうゆで煮立てたものに南部せんべいを割り入れた鍋料理。せんべいは鍋専用の溶けにくいものを用います。だしの色とうまみがたっぷりと染み入った南部煎餅の麸のような食感と歯ごたえが人気。発祥は諸説様々であるが、江戸時代から作られているものだといわれます。現在では料理用の南部せんべいをすき焼きなどの鍋料理に用いる事もあり、幅広い食べ方で愛され続けているようです。

■ 今回お世話になった皆さん(関連リンク)

あおもり北彩館東京店

プロフィール:瀬川 雄貴、粟井 滋彦
1993年に中学校で出会い、2007年に2人でロケーションリサーチ株式会社を設立。
現在、地域振興に関わる仕事を行っている。郷土料理教室のプロデュース、雑誌やweb媒体における郷土料理コンテンツ協力(写真やレシピ、蘊蓄)、時には農家のお嫁さん探しにも取り組んでいる。
http://www.location-research.co.jp/