風土47
~あなたの街の〝ゆかり〟を訪ねて~塩原直美の「あんな古都  こんな古都  京都物語」
巳年だ!金運UPだ!蛇の神様

 新年、明けましておめでとうございます。先月からスタートした「あんな古都、こんな古都 京都物語」。生まれも育ちも東京の私は今から15年前に京都に在住。毎日、社寺仏閣を見聞していたにも関わらず、それだけでは満足出来ず、未だ足繁く京都へ毎月通っています。何度、訪れても新発見や美しい風景に出合い、感激感動をくれる街・京都。今年も歴史と観光を繋ぐ、“~ingのKYOTO”をお伝えしていきたいと思います。


蛇塚古墳

 2013年、早いもので平成も25年となりました。今年の干支は巳年。お手元に届いた年賀状にも“蛇”が描かれていることでしょう。 さて、京都には干支にちなんだ名所が結構あります。鼠、牛、虎…と「ある、ある、ある」しかし、蛇?となると太秦(うずまさ)にある蛇塚古墳(へびづかこふん)と弁天様にお使いする白蛇ぐらいか…と。そんなある日、桜の名所で知られる「哲学の道」から東に逸れた大豊神社(おおとよじんじゃ)に、突然、“蛇”の像が登場。どうやら、巳年に合わせて神社に寄贈した方がおられた様子、「金運招福」との掲示もしてありました。この大豊神社は参拝者が少なく、いつも静か。椿と枝垂れ梅などが咲く隠れた花名所、私は大好きです。

ヘビだけではなく、ネズミにタカ、サルにキツネもおりますの

 蛇が仲間入りした大豊神社には以前から、狛鼠、狛鷹、狛猿、そしてお稲荷さんの狐が鎮座していて、これらが皆、何ともキュート。特にネズミが愛らしく、この撮影時は誰かが椿を花簪に見立てて飾ってくれ、何ともお茶目。この大豊神社には神使(=神の使者・その神に縁故のある鳥動物魚など)が集い、それぞれの神のご利益もさることながら、ちょっとした動物社です。職業柄、時々「子供を連れて京都に行くのですが、どこかお薦めありますか?」と聞かれます。もちろん、映画村やトロッコ列車のようなストレートに子供が喜ぶ場所もありますが、ここ大豊神社は変化球。


藤森神社馬

こうした京都の神社の動物探しも楽しいものです。ちなみに気が早いですが、来年の干支、午(馬)に縁の深い神社は藤森神社(ふじのもりじんじゃ)。境内には神馬像が鎮座。室町時代から走り馬が行われ馬の神様として親しまれ、とりわけ競馬関係者、競馬ファンのお参りも多いです。

東京のシンボルの真下にも、日本三名橋の麓にも「ヘビ」様

東京タワー

蛇塚

 さて、では京都以外の蛇探しに出掛けましょう。東京にも蛇神が鎮座している場所があるのです。東京タワーの足元「芝公園」“もみじ谷”の中に金運が上がるとされている「蛇塚」があり、知る人ぞ知る名所となっています。優しいお顔のお地蔵様の背後の空間を覗くとリアルな蛇の置物が。くぼんでいる奇妙な空間におられる蛇神は少々不気味ではありますが、手を合わせて「金運」UP!


錦帯橋の雪景色 写真提供:岩国市

白蛇(財)岩国白蛇保存会©

 そして、全国的に有名な山口県の「岩国のシロヘビ」。岩国市の錦帯橋に行った時、生きている蛇はどちらかと言えば苦手な私は「岩国のシロヘビ観覧所(横山観覧所)」を消極的に見学。でも怖い!気持ち悪い!というよりも、どこか赤い目をした白蛇が神秘的で意外に楽しめたと記憶。岩国のシロヘビは国の天然記念物にも指定されており、何と現在は約700頭が生息しているらしいです。巳年の元旦から岩国白蛇神社(今津観覧所敷地内)では新社殿にて御参詣できるとのこと。福運金運を願い初詣に是非。

アクセス・問い合わせ

  • 大豊神社(左京区) 市バス「宮の前町」下車徒歩5分  電話:075-771-1351
  • 藤森神社(京都市伏見区) 京阪電鉄墨染駅下車徒歩5分 電話:075-641-1045
  • 芝公園もみじ谷蛇塚(東京都港区) 都営三田線「御成門」駅下車徒歩8分
  • 岩国のシロヘビ観覧所(山口県岩国市)
    JR西岩国駅下車バス4分錦帯橋下車など 電話0827-43-4888(横山観覧所)
    注意:岩国白蛇神社(今津観覧所敷地内)電話0827-22-8634
プロフィール:塩原直美(しおばらなおみ)
東京生まれ、國學院大學卒業後、スポーツ新聞社を経て京都市へ転居。東京に戻り京都市の「京都館」勤務、2012年春退職。現在、首都圏と京都を繋ぐ観光アドバイザーとして活動中。BS朝日「京都1200年の旅」、「京都検定」講師。京都観光文化検定1級取得。