風土47
~あなたの街の〝ゆかり〟を訪ねて~塩原直美の「あんな古都  こんな古都  京都物語」
京都・鉄道スポットが熱い!3年後には新しい鉄道博物館が出来るぞ!

 皆様、ゴールデンウイークいかがお過ごしでしょうか?お仕事の方、お疲れ様です。帰省、ご旅行、お出かけの皆様は、家族や仲間との楽しい時間を過ごされていることと思います。さて、遠方への移動、車や飛行機、船など手段は色々とありますが、私は「電車派」です。以前、このコラムで47都道府県の旅、制覇!とお伝えしましたが、その移動も9割、電車。スピード社会の中で、移動時間短縮が最優先されがちな昨今。各駅電車や船に乗ってのんびりと景色を楽しみ、地元の人々の日常と交流しながら乗り継ぐ旅は、今の時代に、ある意味で本当の贅沢なのかもしれませんね。

鉄道史を語るスポットに、いざ出発!

写真:電気鉄道発祥地碑
この碑は鉄道開通80周年記念で建てられたもの

写真:稲荷駅ランプ小屋

写真:稲荷ランプ小屋内部の展示品
年期が入ったものばかりが所狭しと置いてある

 さて自称「鉄子」とは言いませんが電車好きには違いないので、京都の鉄道スポットを今回はご紹介します。

 まずは京都駅前烏丸口に建つ「電気鉄道発祥地碑」。この碑が建つ京都駅前から酒づくりで知られる伏見までの約6・7キロ、日本初の路面電車が明治28年開通しました。当時の車両は木製、電力の供給が不安定だったため、電車の前を「先走り」と呼ばれる少年が「電車が来まっせ、危ないでっせ!」と旗(夜は提灯)を振って走って知らせたと言われています。路面電車ならではのエピソードですね。少年は持久力のある足の速い子が採用されたのかな?

 お次はレトロで貴重な鉄道道具が保存されているJR西日本が管理する施設。京都駅からJR奈良線で二駅、稲荷駅構内にある赤煉瓦造りの「稲荷駅ランプ小屋」を紹介します。外観鉄道開通当時、灯具は石油ランプが使用され、ここは信号灯および灯油の収納だった建物なのです。現存する鉄道関係施設としては最古級のもので昭和45年、準鉄道記念物に指定されました。狭い小屋の中には往年使われてきたランプの他、腕木式信号機や合図灯、行先札などが展示されています。初めて見る道具なのに何故か懐かしい。駅員さんが丁寧に説明してくださるので楽しいだけでなく勉強になりました。

話題エリア梅小路に2016年、JR西日本の鉄道博物館オープン!

写真:梅小路蒸気機関車館
旧二条駅舎を再利用、京都市指定有形文化財

写真:SLスチーム号
煙と汽笛を上げ一日3回運行(200円で乗車)

写真:交通科学博物館
2代目京都駅で使用されたシャンデリア

写真:交通科学博物館
0系新幹線などの貴重な鉄道記念物がある

 さらにもう1箇所。京都水族館がオープンで話題を呼んだ梅小路公園エリアにある梅小路蒸気機関車館。ここの建物も何ともノスタルジー。当館の資料展示館は旧二条駅舎を移築復元した純和風の木造で、現存する日本最古の木造駅舎なのです。入館窓口やミュージアムショップも、建物内にあり、昔にタイムスリップしたような感覚に…。展示は蒸気機関車に関する歴史、走る仕組み、道具や出礼事務室など。そして駅舎の外に出ると扇形車庫に機関車がズラリ。さらにSLスチーム号が発車!と、鉄道ファンにとってワクワクの連続。子供たちに紛れて、鉄ちゃん鉄子がカメラを構えます…私もその一人ですけど。そして何とこの場所に梅小路蒸気機関車館と合わせ、JR西日本が国内最大級の鉄道博物館を2016年春に完成予定!で建設するのです。とっても、とっても楽しみです。大阪・弁天町駅前にある交通科学博物館から展示物の移動もあるとのこと。

 ちなみに交通科学博物館には、大正天皇即位大典で建てられた2代目京都駅(檜造り)の貴賓室で使われていた豪華シャンデリアが展示されています。この他にも交通科学博物館には0系新幹線などの鉄道記念物が沢山あるのが魅力。新しい鉄道博物館へ、どの程度展示物を移動させるのか?楽しみです。

子供たちが遊びながら学ぶ、街の公園に残る交通遺産

写真:大宮交通公園
市電とバスの展示、車内には本棚があり、座席で読むことも出来る

 さて旧駅舎のみならず、車両の再利用を見かけることありますよね。皆様の地域にも「交通公園」などの名がついて、もう役目を終えたバスや電車が展示施設として置かれていませんか?車内が図書室に、運転席では子供たちが座って遊べるようになっています。京都にも大宮交通公園(京都市北区)という京都市の公園があります。ここも子供達に遊びながら交通ルールを学んでもらおうと公園全体を都市に見立て、ゴーカートで走行しながら体感できるようになっています。この公園にも引退した市電が展示されています。

臨場感のあるジオラマ電車の運転操作に没頭

写真:ジオラマJAPAN
運転席から見下ろし、ジオラマ内の電車を走らせる

写真:収集している駅のスタンプ
旅の思い出が詰まった私のスタンプ帳

 さて最後にもう一つ。京都の観光スポット嵐山から亀岡まで運行する嵯峨野観光鉄道の「トロッコ電車」、ご存じの方も多いことでしょう。その起終点であるトロッコ嵯峨駅に隣接した「ジオラマ京都JAPAN」も、鉄道スポットとして外せません。ここには日本最大級の鉄道ジオラマがあります。面白いのはEF66系機関車の運転席に座って、眼下のジオラマの中を走る電車を動かす運転体験。これが本番さながらの臨場感があって、上手に運転しないと電車が駅をオーバーランし、ホームのお客様が乗れない…とか、急停車すると車内の乗客が転倒してしまいます…などなど、スタッフの方からのアドバイスを頂きながら操作。初めはハプニング続出でしたが、だんだん上手く操作できるようになり、スケベ根性が芽生え、"より快適に走行させてみせる!"と真剣になって没頭します。この運転体験は入館料と別料金になりますが、楽しいので是非、お試しください。

 京都と大阪の鉄道観光スポットをご紹介しましたが他にも沢山ありますね。さいたま市にある「鉄道博物館」を筆頭に、愛知にある「リニア鉄道館」、東京には「地下鉄博物館」などもあります。ゴールデンウイークも家族連れ、鉄道ファンが沢山詰めかけていることでしょう。ああ、電車に乗って旅に出たい!と時刻表を飽きずに一日中見ていられる私は、やはり鉄子!?

アクセス・問い合わせ

  • 電気鉄道発祥地碑 京都駅烏丸口すぐ
  • JR稲荷駅ランプ小屋 JR奈良線稲荷駅下車すぐ駅構内
    見学は要予約JR西日本 http://www.westjr.co.jp/info/info.html#tel
  • 梅小路蒸気機関車館 JR京都駅烏丸口徒歩20分ほか市バスでも 電話075-314-2996
  • 交通科学博物館 JR・地下鉄中央線弁天町駅下車すぐ 電話06-6581-5771
  • 京都市大宮交通公園 京都市バス大宮交通公園下車すぐ 電話075-491-0202
  • ジオラマ京都JAPAN JR嵯峨嵐山駅下車、トロッコ嵯峨駅隣 電話075-882-7432
プロフィール:塩原直美(しおばらなおみ)
東京生まれ、國學院大學卒業後、スポーツ新聞社を経て京都市へ転居。東京に戻り京都市の「京都館」勤務、2012年春退職。現在、首都圏と京都を繋ぐ観光アドバイザーとして活動中。BS朝日「京都1200年の旅」、「京都検定」講師。京都観光文化検定1級取得。