

先日バーで、一人で飲んでいると、隣のテーブルに座っていた30代サラリーマンのグループの一人がこんな話をしていました。経緯の程は分からないのですが、上司から“郷土をPRしなさい”という課題が突然、出されたそうです。そのサラリーマンは、たまたま京都府出身。すると「俺、地元、知らなくてさ~困ったよ」と。彼がその場をどう乗り切ったか?乗り切れなかったか?は知る由もありません。京都観光を推進する私の立場上、酔った勢いで「京都出身なら是非、京都検定受けて下さい」と隣のテーブルに乱入しようかとも思いましたが、ただの酔っ払いなので、思いとどまりました。
カナダにホームステイした我が妹も「日本の紹介、日本の良さを聞かれても、ちゃんと話せなかった」とかなり反省していたことを、その時、思い出しました。妹は帰国後、ホームステイ先に英語解説付きの日本の風景写真集を御礼の手紙に添えて送った、という有様。私は仕事柄かろうじて、何とか京都や日本の説明を日本語では出来ると思いますが、英語が話せないから、人の事は言えません。ただ言語の問題はさておき、そのサラリーマンや妹のような「日本の紹介、故郷の自慢」が出来ない若者は少なくないでしょうね。そう考えると一時期大ブームとなった「ご当地検定」は、まず地元への知識を深め、郷土愛を育むことには一役担っているのかもしれません。

写真:京都検定チラシ
先ほどの我が妹もカナダでは「特に京都のお寺の事を聞かれた」とも話していました。海外の方に日本を紹介するとき、東京も凄い大都市ですが、情報が行き届いているせいか、イメージできるみたいです。特長的な日本らしさを強調するには「京都」を語ることで「日本」の良さを伝えられるのかもしれません。そんなシーンに慌てないよう、日本人として将来、海外で働き、活躍したいと望む若者、大学生には、是非とも「京都」を知ってもらいたいと願うばかりです。京都検定を受験せずとも、その魅力を伝えられる程度の現地見聞をして、世界へ飛び出してもらいたいです。せめて世界遺産に登録されている文化財には一度は訪れていただきたい!と現役の大学生にはアドバイスしたいです。


写真:二条城二の丸
問題1、平成6年(1994)に「古都京都の文化財」として世界遺産に登録された文化財は、( )と16の神社・寺院である。
• ア、京都御苑 イ、御土居 ウ、二条城 エ、琵琶湖疏水
問題2、藤原頼通が父・道長の別荘であった宇治殿を寺としたのが始まりである寺院はどこか?
• ア、鞍馬寺 イ、酬恩庵 ウ、平等院 エ、三室戸寺
問題3、東京の神田祭、大阪の天神祭とともに日本三大祭の一つに数えられている祭はどれか?
• ア、葵祭 イ、祇園祭 ウ、時代祭 エ、鞍馬の火祭
問題4、建仁寺に伝わる( )は俵屋宗達の代表作として国宝に指定されている。
• ア、風神雷神図 イ、桜楓図 ウ、洛中洛外図 エ、観音猿鶴図
いかがですか?4択だから「これかな~」で正解を導けると思います。2級は同じく4択ですが、問題レベルも少し上がり、さらに正解以外の3つに迷わす意図のある語句が入ってくるので、悩ましくなります。3級と2級は、上記のような問題が100問出題され、70点以上で合格。1級は、全て記述式で、正確に回答を書くことが基本です。
上記の4問の回答は以下の通り。
問題1=ウ、問題2=ウ、問題3=イ、問題4=ア
京都検定の今年の受験日は12月8日(日)、申込み期間は10月1日スタート(11月10日まで)。受験会場は京都と東京です。


写真:京都文化博物館
問題、現在の京都文化博物館別館(旧日銀京都支店)を設計した明治・大正期の建築家は( )である。
• ア、片山東熊 イ、武田五一 ウ、村野藤吾 エ、辰野金吾

写真:八重洲口「グランルーフ」

写真:東京駅丸の内

写真:辰野金吾が設計した武雄温泉の楼門(写真提供:武雄市観光課)
現在と過去、一人の建築家を通じて東京と佐賀、繋がっているのですね。地元の歴史や文化を知ることは、紐解いて行くと、その時間軸や距離を越えて、どこかと、誰かに、何かに、必ず繋がっているのかもしれません。
アクセス
- 京都文化博物館 京都市営地下鉄烏丸線「烏丸御池」下車 徒歩3分
- 佐賀県武雄温泉 JR長崎本線 佐世保線「武雄温泉」下車 徒歩10分