

芸術の秋、食欲の秋、スポーツの秋、旅する秋ですね。外出するにも陽気が良く、また夜長には映画鑑賞や読書もいいものです。この秋、お薦めは東京上野にあります東京国立博物館で開催中の「特別展 京都 洛中洛外図と障壁画の美」です。この展覧会は全国巡回がなく、東京のみ。「京都」と銘打っているのにも関わらず、京都でも開催しないという「特別」な内容になっております。
室町時代から江戸時代までの京都を描いた風俗画「洛中洛外図屏風」の国宝・重文合わせた全7件を始め、明治の廃仏毀釈で龍安寺からアメリカに流失した襖絵が初めて里帰りするなど、見どころ満載。是非、上野へお出かけください。12月1日まで。という事で「芸術の秋」。皆様が一番身近に触れる芸術って何でしょうか?映画ですか、読書ですか、音楽でしょうか…という訳で今回は「芸術」をテーマに京都を巡ってみましょう。


公園の中にひっそりと建つ、尾上松之助「目玉のまっちゃん」胸像
私は撮影に立ち合った訳ではありませんが、久しぶりの“ザ・東映・時代劇”的な熱気、空気感をスクリーンから感じられるであろうと…しかも、モントリオール世界映画祭で、芸術貢献賞を受賞。封切が楽しみです。そんな、映画の本場、京都ですが、以前、「日本映画の父」として牧野省三を紹介しました。その牧野が育てた映画俳優の中で、「目玉のまっちゃん」と呼ばれ愛された尾上松之助、大スターですね。「目玉のまっちゃん」が生涯出演した作品は約1000本とも言われています。京都の京阪電鉄・出町柳駅を下車し、高野川と賀茂川が合流するVの字の広場(鴨川公園の一部)に、尾上松之助の胸像があります。

二条城撮影所跡 現在は中京中学校。校庭の端にひっそりと建つ映画ゆかりの碑
二条城の西南角に1910年(明治43年)、300坪、板敷の舞台、日本で初めての撮影所がここに置かれました。それから太秦を中心に次々と撮影所が誕生、映画都市として京都は歩んできました。その歴史を想うと今回の東映京都撮影所が企画製作した「利休にたずねよ」まで、脈々と続く“京都映画人の誇り”を尊く思います。時代劇大好きな私の余生の楽しみの一つは「一日中、時代劇チャンネル」を見て過ごす、これに尽きます。頑張れ、時代劇。


圓光寺入り口 紅葉の名所で秋は沢山の人が訪れる
ご存じかもしれませんが、徳川家康は大の読書家でした。12年間、今川家の人質だった時に沢山の書物を読んだと言われています。その読書好きは、文庫を開設する、さらには晩年に印刷、出版事業も手掛けるまでに至ります。京都の洛北・修学院離宮の近くに「圓光寺」という臨済宗のお寺があります。

圓光寺の敷地の高台、見晴らしが良い場所に建つ東照宮

圓光寺にある木活字。カタカナもあり。これで印刷された書物が「伏見版」と呼ばれます。

東京・文京区にある「印刷博物館」銅活字や「駿河版」書物、「伏見版」書物が展示されています。写真提供:印刷博物館


伏見稲荷大社・千本鳥居「お山めぐり」は1周1時間半~2時間程度
時々、講演会で講師を務めるのですが、人前で長く話すので、出掛ける直前に、緊張を解く&発声練習を兼ね、1曲大声で歌います。私はまだしも、声を商売にしている歌手や役者、アナウンサーなどは喉を一番ケアしていることでしょう。京都には喉の病気平癒の神、声の神様がおられます。一つは伏見稲荷大社の背後の稲荷山中の「おせき社」。千本鳥居を潜りながらの「お山めぐり」。

北野天満宮 この本殿の裏や周辺には51もの摂社・末社がある

出町柳にある妙音弁財天 京洛七福神や京都七福神の弁財天にもなっている(都七福神の弁財天は六波羅蜜寺)
さて、今回は「芸術」の秋。コラムを書き終えたことだし、1曲かけて歌おうっと…♪♪♪♪
アクセス
- 尾上松之助胸像 京阪電鉄「出町柳駅」下車、河合橋を渡り、北側すぐ鴨川公園内
- 二条城撮影所跡 地下鉄東西線「二条駅」下車、御池通を東へ二条城方面 徒歩5分
- 圓光寺 市バスまたは京都バス「一乗寺下がり松」バス停下車 西へ徒歩15分
- 印刷博物館 東京メトロ有楽町線「江戸川橋駅」下車4番出口を右へ 徒歩8分
- 伏見稲荷大社 JR奈良線「稲荷駅」または 京阪電鉄「伏見稲荷駅」下車 徒歩すぐ参道
- 北野天満宮 市バス「北野天満宮」下車 徒歩すぐ
- 妙音弁財天 市バス「河原町今出川」下車 または 京阪電鉄「出町柳」下車徒歩3~5分