風土47
~あなたの街の〝ゆかり〟を訪ねて~塩原直美の「あんな古都 こんな古都 京都物語」
2017年、この話題で、あの街と京都へ

 明けましておめでとうございます。
 今年も「風土47」、この「京都物語」をよろしくお願い致します。

 さて年明けの今回の「京都物語」、節目の50回を迎えました。長くご愛読いただき、ありがとうございます。皆様が住まれている市町村と京都を1つのテーマで繋ぎ、双方をご紹介する目的で連載しております。今後も、まだ、ご紹介していない市町村を取り上げていきたいなと思っております。

…とは言え、今回は新年に50回という節目ゆえ、少し視点を変え、今年2017年に京都とともに話題となる地域と、その事柄をご紹介します。「そんな話題があるなら、今年、行ってみよう!」という年間の旅計画の参考にもなるかと思います。またタイミングをみて、それを、より深くこの「京都物語」で取り上げるかもしれませんが…

 題して「2017年、この話題で、あの街と京都へ」。

「大政奉還150周年」で全国の16自治体が団結

大政奉還の舞台となった京都・二条城

松平容保の会津藩の本陣が置かれた京都・金戒光明寺

長州藩邸があった地には現在、京都ホテルオークラ。桂小五郎の銅像もある
 今年の京都は「大政奉還150周年」ということで、各種企画が組まれています。15代将軍・徳川慶喜が朝廷に政権を返上したのが1867年、あれから150年の歳月が経った訳です。武士の時代が終わり、明治維新へと日本の近代化への幕開けの転機だったと言えます。

 これを記念すべき今年、京都では、幕末に京都で活躍した人物とゆかりのある16自治体と連携した観光誘致活動が行われています。10月には大政奉還の舞台となった京都・二条城で16自治体の首長が集まるサミットの開催を予定しています。

 さて、その16自治体とは? 徳川慶喜、江戸城のあった東京都・千代田区、京都守護職となった松平容保の福島県・会津若松市、長州藩の山口県・萩市などのほか、新選組のふるさとである東京都・日野市と調布市なども加盟しています。また、この風土47でも取り上げた坂本龍馬に影響を与えた横井小南が在籍した肥後藩、熊本県・熊本市も加わっており、熊本地震への復興支援も視野にいれています。

 幕末の先人たちゆかりの自治体が結束した1年間のロングプロジェクト、京都を中心にイベントや講演会、特別公開など幕末ファンには目が離せない一年となる事でしょう。詳細は「大政奉還150周年記念プロジェクト」HPにて。

世界記憶遺産登録を目指す「朝鮮通信使」ゆかりの19自治体結束

朝鮮通信使が宿泊した京都・本圀寺は現在山科区へ移転
 次に、ユネスコの世界記憶遺産に関連資料を登録申請した江戸時代の外交使節団「朝鮮通信使」にも注目です。江戸時代の204年間に12回来日している使節団の足跡をたどると、対馬~下関~鞆の浦~兵庫~京都~滋賀~静岡~江戸~日光など、対馬藩が同行して江戸を目指しました。ちなみに日光は江戸から遊覧したとのこと。この朝鮮使節団のゆかりの地である19の自治体がNPO法人朝鮮通信使縁地協議会に加盟し、世界記憶遺産への期待を高めています。

朝鮮通信使の一人と推定される朴徳源の遺墨の扁額が残る亀岡市・金剛寺

朝鮮通信使が宿泊した本能寺

大坂の文人コレクター・木村蒹葭堂も朝鮮通信使と交流があった。写真は大阪市の屋敷跡
 使節団は総勢400~500人で構成され、京都では大徳寺や本圀寺、本能寺に宿泊。半年から1年ほどかけて日本に留まり、外交、文化交流を深めました。特に文人らと書画や詩文を交わし、京都の高僧が通訳兼パイプ役を果たし、京都にも、その痕跡が残っているということです。世界記憶遺産への登録が決まれば、また関係個所での展示企画やシンポジウムなど、江戸時代の朝鮮と日本の国交、当時の朝鮮文化を学び知る機会も増える事と思います。
2017年の様々な話題に「へえ~」

京都・御池大橋のたもとに建つ夏目漱石の歌碑

日本初の駅伝のスタート地点となった京都・三条大橋

三条大橋のたもとには駅伝の記念碑が建っている
 最後に、もうあちらこちらのゆかりの地で様々なイベントが行われていますが、今年は夏目漱石生誕150年です(ちなみに昨年は没後100年だった)。大政奉還の年に、漱石は産まれているということですね。京都では御池大橋のたもとに恋心を詠んだ漱石の歌碑が建っています。

 またスポーツ史でも一つ節目が。今年は日本で最初に駅伝が行われて丁度100年となります。京都・三条大橋をスタートし、東海道を東へ、東京・上野不忍池がゴールでした。その両方のスポットに同じデザインの記念碑が建っています。

 そして、鉄ちゃん鉄子が気になるのは、今年6月17日にデビューするJR西日本の豪華寝台列車「トワイライトエクスプレス 瑞風(みずかぜ)」でしょう。京都駅が発着駅となります。その運行ルートにあたる地域は京都~大阪~岡山~岩国~下関~東萩~松江~鳥取~城崎温泉~京都(途中駅、省略)。観光しながらの豪華鉄道の旅、私には高額で乗れませんが、マスコミの取材や鉄道雑誌などで、その全貌を垣間見ることができるので、それが楽しみです。

・・・ということで今回は、京都を軸に他の地域へ波状する2017年の先取り注目話題を挙げてみました。「今年、こんなことがあるのだなぁ~」とお出かけのヒントにしていただけたらと思います。

プロフィール:塩原直美(しおばらなおみ)
東京在住。京都市観光おもてなし大使・「首都圏と京都を繋ぐ観光アドバイザー」としてフリーで活動中。BS朝日「とっておきの京都」ブレーン、BS11「古地図で謎解き! にっぽん探究」京都担当、京都商工会議所講演会(東京会場)講師、朝日新聞デジタル「京都旅レシピ」コラム連載など。また中学校へ出向き修学旅行事前学習講義も行う。京都観光文化検定1級。京都市観光おもてなし大使ページ