風土47
~あなたの街の〝ゆかり〟を訪ねて~塩原直美の「あんな古都 こんな古都 京都物語」
ふたつの古都を走る仲良し電車

嵐電の座席には姉妹提携のキャラクター「えのん&あらん」がデザイン
 爽やかな初夏の陽気、いかがお過ごしでしょうか?「旅」するには最適な季節となりました。私は東京在住で京都には、毎月足繁く通っているものの、それでも「旅ごころ」がうずき、ふらぁ~とプチ旅行します。行先は京都に絡む場所ばかりですが…。

 そこで今回は関東圏の定番、日帰り観光地「鎌倉」と京都を繋ぐ、電車のお話し。

ザ・京都の桜「醍醐の花見」と「哲学の道」

北野白梅町駅に停車する江ノ電号
 古都と言えば京都・奈良・鎌倉が浮かぶことと思います。そんな古都にあって、地元の人々に親しまれ、観光客も大勢利用する電車といえば、京都では「嵐電」(らんでん・京福電鉄)や「叡電」(えいでん・叡山電鉄)です。鎌倉では「江ノ電」でしょう。

 その嵐電と江ノ電が2009年、姉妹提携を結びました。お互いに、観光都市にあり、幕府が置かれた歴史、また社寺も多いなど共通点も多いこと。そして、それぞれ2010年が節目の年であったこともあり、姉妹提携を結んで、双方の発展にタッグを組んだということです。


姉妹提携イメージキャラクター「えのん&あらん」
 2010年、その姉妹提携のイメージキャラクターを一般公募し、656通の中から12作品に絞られ、そして選ばれたのが「えのん&あらん」。

 「えのん」は男の子で、江の島の「江」を、あらんは、その妹で嵐電の「嵐」という漢字からイメージされた可愛いデザインとなっています。色は「えのん」が江の島の海と島をイメージした青と緑、「あらん」は嵐山の紅葉(桜?)をイメージしたピンクと、京都のカラー、紫となっています。

鎌倉・江ノ電とは?

鎌倉行「嵐電号」
 江ノ電は江ノ島電気鉄道が運営。藤沢駅から鎌倉駅までの15駅。途中の車窓から見える湘南・江の島がウリの素晴らしい路線です。江の島へのアプローチは勿論、途中にはアジサイで有名な極楽寺のほか、長谷寺・鎌倉大仏もあります。また太平洋の海岸線、国道134号線と並走する江ノ電は絵になり、ドラマなどでもお馴染みです。鎌倉高校前駅ではベンチが海に向かってあり、座って潮風を感じる最高のロケーション!鎌倉駅からは鶴岡八幡宮へと向かうことが出来ます。そんな江ノ電の車両の中に、京都の嵐電のパッケージ車両が走行しています。

江ノ電鎌倉駅にあるごみ箱にも「えのん&あらん」がデザイン

鎌倉・鶴岡八幡宮への鳥居
京都・嵐電とは?

嵐電・北野線では桜のトンネルを走行
 一方、京都の嵐電は京福電気鉄道が運営。北野白梅町駅から帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅までの北野線、四条大宮駅から同じく帷子ノ辻駅を経て、そして嵐山駅までの本線からなり、全駅数は21駅。目的地によって帷子ノ辻駅が乗換え駅となります。

 北野線沿線には龍安寺、妙心寺、仁和寺といった名刹がズラリ、本線には太秦映画村、広隆寺、そして渡月橋・天龍寺のある嵐山と人気の観光スポットに連れて行ってくれます。

 また春には鳴滝駅と宇多野駅間の線路脇の桜並木が満開を迎え、ピンクのトンネルの中を電車が走り抜け、絶景お花見スポットとなっています。そんな嵐電の車両の中に、鎌倉の江ノ電パッケージ車両が走行しています。

京都で「えのん・江の島」車両に乗れた!

「えのん」と江ノ電沿線の観光スポットが描かれた嵐電の外装
 京都で乗った嵐電車両の外装は「江ノ電」と大きく書かれ、海、江の島、大仏、カモメなどと共に「えのん&あらん」が描かれています。車内にも、京都の風物詩、名所などの中に「えのん&あらん」が楽しそうに遊んでいる様子が座席シートにデザインされていました。このパッケージ車両を狙って乗車したのではなかったのですが「思わず、可愛い~乗れてラッキー」と写真を撮りまくってしまいました。

 ちなみに余談ですが嵐山駅のホームには足湯があります(一人200円・タオル付)。この足湯はJR九州由布院駅と阪急電鉄箕面駅「もみじの足湯」と姉妹提携しています。


嵐電嵐山駅の足湯

嵐電嵐山駅にはホームに足湯がある
鉄子まるだし、藤沢駅で「嵐電」待ち

藤沢駅を出る鎌倉行の「嵐電号」
 ならば、江ノ電でも!と嵐電パッケージ車両を待ち構えるもなかなか、遭遇せず…藤沢駅で、しばし待つこと30分。「来ました!紫色の嵐電パッケージ」。でも停車時間が短くて、慌てて撮影するも、あっという間に、鎌倉駅へと折り返されてしまった…。あらら…。

 でも姉妹提携で、それぞれの車両パッケージを見られて、楽しい一日でした。鎌倉で出会える京都、京都で出会える鎌倉、仲良く今日も沢山の観光客を乗せて走行していることでしょう。是非、ご利用の際、「えのん&あらん」を見かけたらご注目を。パッケージデザインの特別車両に乗れると良いですね。爽やかな初夏、二つの古都へ、お出かけください。

プロフィール:塩原直美(しおばらなおみ)
東京在住。京都市観光おもてなし大使・「首都圏と京都を繋ぐ観光アドバイザー」としてフリーで活動中。BS朝日「とっておきの京都」ブレーン、BS11「古地図で謎解き! にっぽん探究」京都担当、京都商工会議所講演会(東京会場)講師、朝日新聞デジタル「京都旅レシピ」コラム連載など。また中学校へ出向き修学旅行事前学習講義も行う。京都観光文化検定1級。京都市観光おもてなし大使ページ