風土47
今月の特集『「懐かしいな~」と思わずつぶやく ふるさとを感じるこの一品』
ふるさとを感じるこの一品 ご飯を炊こうPart II 冬の食卓を彩る逸品 元気の素 朝食の友 お弁当の友 Part II 行楽のお供 Part II
ミレービスケットってご存知ですか?
高知県で販売されているビスケットで、高知の人なら一度は食べたことがある有名なお菓子だそうです。
では「パパ好み」は? これは宮城県のあられ。コマーシャルソングは誰でも歌えるそうです。
今回の取材で、「その地域だけでとても有名」という食品に数々出会いました。
懐かしくて、おいしい。今回はそんな商品のご紹介です。
ふるさと自慢の一品を、地元以外の人もぜひ味わってください。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
アンテナショップおすすめ「ふるさとを感じるこの一品」
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大崎市・狩野食品
しそ巻くるみ揚げ(9本 388円)
 「宮城県の人なら、おそらく誰でも知っているでしょう」と店長さんに紹介されたのがこれ。少し甘い味噌にくるみを入れ、シソで巻いて揚げてある。県内全域で食べられているそうだが、地域や家庭によって少しずつ味が違うそうだ。店内にもいろいろな種類が並んでいた。
 味噌の甘さもほどよく、クルミの食感がよいアクセントになっている。揚げてあるのだが、油っぽさはまったく感じない。ただ、揚げることによってコクが加わり、保存性も増すのだろう。すごくおいしい、というわけではないけれど、お弁当のおかずにもいいし、食卓にあったら箸休めやお茶うけとしてつい食べてしまいそうだ。
しそ巻くるみ揚げ
三角油揚
阿賀野市・金子食品本舗
三角油揚(2枚 360円)
 創業110年の老舗豆腐店が作る大ぶりの三角油揚は、地元でも大人気の品。地元の良質な水と丸大豆100%を使っているという。
 トースターで軽く焼いて、しょう油をつけて食べてみたが、おいしい! 表面はパリッと焼いても、肉厚なので中はしっとりして豆腐の味わいが残る。やさしい味なのは、油もいい物を使っているからだろう。これを食べてしまうと、スーパーの普通の油揚げは食べられなくなってしまうかも。ネギやショウガなど好みの薬味を合わせたり、チーズや納豆を挟んで焼いてもおいしく食べられる。
 この三角油揚をはじめ、新潟館ネスパスの品ぞろえは“地元の本当においしい物”が厳選されていると感じる。美人ママさん店長のNさんが、地元に何度も足を運んで口説き落として入荷した品もあるそうだ。そんな熱意が店に現れているのだろう。
京都市・三味洪庵
ちりめん山椒(43g 630円)
 ちりめん山椒も京都の名産品のひとつ。山椒と一緒に炊くことによって、ちりめんの鮮度を落とさずに保存できるという生活の知恵が生きた商品だ。
 京都館では2種類を置いているが、今回は文久元年(1861)創業の老舗の商品を選んだ。瀬戸内海など国内産の厳選されたちりめんを使い、やわらかい山椒の実と一緒に伏見の清酒で炊き上げ、3種類の醤油などで味を付けているという。保存料は使用していない。
 おいしい。ちりめんがしっとりとやわらかく炊き上げてあり、中までよく味が染みて、それでいて醤油味も山椒の香りもマイルド。
 京都館の2種類を食べ比べてみたが、それぞれ味や食感が全く違う。もう一社の方は、山椒の香りが高く、歯ごたえがある。どちらもおいしい。あなたの好みはどっち?
ちりめん山椒
あご野焼
松江市・長岡屋 茂助
あご野焼(小) (400g 1260円)
 山陰地方ではトビウオのことを「アゴ」と呼ぶ。アゴが落ちるほどおいしいから、という説もあるそうだ。実際、ダシにしてもすり身にしてもとてもおいしい。
 そのアゴの身をすりつぶして、地酒と混ぜ合わせて焼き上げたのが、島根名物の「あご野焼」。鳥取県や兵庫県にもアゴのちくわはあるが、島根では野焼と呼ばれる。
 5~8月の旬に収穫したアゴのすり身を平らに延ばし、心棒にヘラで巻き付け、心棒を回しながらじっくり丁寧に焼き上げる。
 いい味だ。上品なうまみとプリっとした食感。わさび醤油でいくらでも食べられる。店頭にはいろいろな種類が並んで価格も幅広いが、ぜひちょっと高くでもおいしそうなものを選んでみてください。
高知市・加用物産
四万十の青のり(原藻)(4g 220円)
 “最後の清流”と呼ばれる四万十(しまんと)川で採れた青のりの原藻。原藻とは、海苔として平らに延ばす前の、採れたてそのままのもの。
 店頭の商品の中でも、驚くほど鮮やかで濃い緑色が目を引いた。「みそ汁に入れてもいいし、地元では軽く煎って醤油をかけてご飯のおかずにする。原藻が出回るって珍しいでしょ。人気の商品だよ」とコウチ・マーケットの社長さん。
 さっそく帰って試してみると、海苔の味が濃い! 香りも濃い! いかにも体に良さそうで(実際、カルシウムや鉄、ビタミンAなどが豊富に含まれるそうです)私は気に入ったが、家族の中には「香りがちょっと強い」「食感が、お茶の葉っぱを食べているみたい」という意見も。あなたは気に入るでしょうか?
四万十の青のり(原藻)
やせうま
由布市・由布製麺
やせうま(125g 350円)
 やせうまは大分全域で食べられる郷土料理。名前からは痩せた馬を連想させるが、由来はまったく違っている。
 平安の昔、大分の片田舎に八瀬(やせ)という乳母に連れられた幼君がいた。幼君がおやつをほしがるたびに、八瀬は小麦粉をこねて薄く伸ばした団子にきな粉をまぶして食べさせた。その素朴な味を幼君は大変喜び、「やせ、うまうまが欲しい」とせがんだ。この幼君の言葉がやせうまの語源だという。
 食べる前は半信半疑だったが、意外においしい。何といってもこのメーカーの麺が美味。幅広で歯ごたえがあり、もっちりしている。ショップでは、きな粉ではなく、みそ汁や鍋に入れて食べるシリーズも売っていたが、そちらの方がおいしいかもしれない。今度試してみようと思う。