風土47
えっ、知らないの!? うちの県では当たり前… 知られざる人気商品 Part II
季節の変わり目 健康を保つ お弁当の友 Part III がんばろう!東北 知られざる人気商品 Part I
今月は、先月に引き続いて各県の知られざる人気商品のご紹介です。
ご好評につき…、というよりは、取材している私たちが楽しいので…というのが続編の本当の理由かもしれません。
この取材、とにかく担当者の方がアツく語ってくれます。子どものころの思い出話も飛び出して、故郷の風景が浮かんできます。
郷土で長く愛される味って、やっぱり貴重です。
先月の「愛のスコール」(宮崎県)を超えるお気に入りが見つかるか、私も心弾ませて取材しました。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
 また、商品の価格は掲載時のものですので、変動があることをご承知おきください。
札幌市・雪印メグミルク
ソフトカツゲン(500ml 168円)
 「北海道の人なら知らない人はいない」、そして「道産子はこれを飲んで育ったといっても過言ではない!?」というほど北海道では広く知られた乳酸飲料だそうだ。(でも、本州では見かけたことがないですよね? あるんですねぇ、こういう地域限定の超有名商品が…)。
 一緒に取材したサイト運営者のH社長(北海道での勤務長し)も「懐かしいなぁ」とゴクゴク。誕生は昭和13年ころと言われ、以来、愛され続けているロングセラー商品だ。
 乳酸飲料といっても酸味が少なく、甘みもほどよくて飲みやすい。かすかにレモンのような味がするのが味のアクセントになっている。カルピスほど酸味が強くなくて、マミーよりも甘さ控えめ。ヤクルトより全体的にマイルド…。なかなかおいしくて、「活源(かつげん)」のとおり、元気が出そうな一品です。
ソフトカツゲン
いかの黒作り
富山市・蛯米水産加工
いかの黒作り(130g 462円)
 “イカの黒作り”は、イカ墨を加えて熟成発酵させてた塩辛のこと。約300年前、塩辛の冬期保存食として作ったのが始まりで、富山県でしか作られていない珍味だそうだ。イカ墨独特の香りと防腐効果を生かした、まさに先人の知恵が生んだ郷土の味。
 「富山では塩辛より黒作りの方が一般的。県外に出た人が『今度富山に帰ったら黒作りでご飯が食べたいなぁ』って、そう思う味よ」と、いきいき富山館の名物アドバイザー、大谷さん。家庭でも作るのかと思ったが、イカ墨の扱いが難しいのか、それはないとのこと。でもあちこちで売っているそうだ。
 おいしい。塩辛独特の生臭さが消えていて、味もマイルド。あったかいご飯によく合う。富山県の方たちの気持ちが分かりました。
桜井市・三輪そうめん山本
そうめんふし 藤兵衛(1袋 315円)
 このそうめんの“ふし”は、奈良の名産「三輪そうめん」を作るときにできる切れ端の部分。
 手延べそうめんは、ひも状に練った麺を2本の管にかけて引き伸ばして乾燥させるが、この管ぎわの曲がった部分が“ふし”あるいは“かんざし”と呼ばれている。粘り気が強くて、塩味も濃いめで、通人の間では昔から好まれてきたという。
 「県内の人は“ふし”と言ったらみんな知っていると思います。みそ汁によく入ってますよ」と、担当のTさん。
 いわゆるカステラの切り落とし部分のようなものだろう。形は悪いけど、安価でおいしい。スープや雑炊に入れたり、サラダにしてもいいそうだ。そうめんの名産地ならではの人気商品。
そうめんふし 藤兵衛
松山あげ
松山市・程野商店
松山あげ(55g 220円)
 明治15年創業の程野(ほどの)商店が作るこの油揚げは、約100年、県内で広く愛されてきたという。
「みそ汁にはよく入ってますね。あとは炊き込みご飯や煮物にも使います」と、担当の方。
 普通の油揚げと違って、中までサクサクに揚がっている。豆腐を厚さ3ミリほどにスライスし、水分を抜いて、たっぷりの菜種油でじっくり揚げて作るそうだ。そのため、保存がきいて、使うときは油抜きが不要。
 火を通すと驚くほど粘り気が出て、歯ごたえがある。大豆の味が濃くて、ほんのり甘い。油抜きをしないせいかコクも出る。
 なんといっても保存がきくのは便利で、つい毎日、みそ汁や煮物に使ってしまう。“おいしい+便利”は日常生活で愛される大きな要因なのだろう。添加物も不使用で安心。
萩市・柚子屋本店
飲む橙(720ml 1575円)
 県産の橙(だいだい)と夏みかん、柚子(ゆず)の果汁を飲みやすくブレンドした果汁100%の果実酢。地元ではおなじみだが、最近は県外にもファンが増え、ショップにも橙の酢を目指して買いに来る方もいるそうだ。疲れをとるといわれるクエン酸やビタミンCを多く含み、これからの暑い時期にはますます人気が出そう。
 冷水で割って飲んでみたが、果実酢でありながらツンとくる酢の刺激がなく、爽やかで飲みやすい。レモン果汁などと違って、和風の、鄙びたというか懐かしい柑橘系の味がする。保存料や添加物を使用していないので雑味がなくてあと味もよく、ストレートでも飲める。
 冷水や炭酸で割ってドリンクにするほか、焼酎に加えたり、酢の物やドレッシングなどの料理に使っても風味がいい。
 “毎日飲める。酸っぱいけどおいしい…”というキャッチフレーズどおりの品でした。
飲む橙
スコールホワイト、ヨーグルッペ
熊本市・味屋製菓
あられ(55g 130円)
 “熊本の知られざる人気商品”というテーマで、これが登場するとは思わなかった。太平燕(タイピーエン)かいきなり団子か、あるいは南関あげか…というさまざまな予想を裏切って、担当のYさんが迷わず指名したのがこの「あられ」。
 「熊本の人間にとっては本当に身近な味です。たまに無性に食べたくなりますね」とYさん。子どものころ、夏休みのプールのあとにアイスとこのあられを食べるのが楽しみだったとか。小さいころからなじんだ味なのだ。
 厳選した小麦粉を使い、良質の植物油でカラッと揚げてある。名前も作りもいたってシンプルだが、地元では昭和38年から愛されるヒット商品。当時から味もパッケージも変わっていないそうだ。
 とにかく食感が軽い。パリッとして、脂っぽさがなく、そして塩味も香ばしさも控えめなのがいい。1つ味見を…と思ったら止まらなくなって、気付いたら袋はスカスカ。慌てて写真撮影。残りもすぐなくなりました。