風土47
寒い季節だからこそおいしい 冬の食卓を彩る一品
よく言われることですが、日本は四季折々のおいしい食材に恵まれていますね。
今月は冬の食卓を彩ってくれる商品の特集です。
冬の味覚の王様「フグ」をはじめ、脂ののった寒ブリの昆布巻き、新物の大根を漬けたいぶりがっこなど、この季節だからこそ味わいたい食品ばかり。
おいしく食べて寒い季節も元気に過ごしましょう。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
各ショップお勧め「冬の食卓を彩る一品」
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
 また、商品の価格は掲載時のものですので、変動があることをご承知おきください。
大仙市・㈲奥州食品
特選一本漬けいぶりがっこ(1本 810円)
 「秋田の冬といえばきりたんぽといぶりがっこです」と主任のKさん。“がっこ”は秋田で“漬け物”のことを指し、中でもいぶりがっこはその代表格。秋に収穫した大根を漬けた新物が入荷する冬が旬だ。
 いぶりがっこは、大根を燻製乾燥という独特の乾燥法で燻製にし、糠(ぬか)漬けにする。昔は大根をひもで編んで天井に下げ、囲炉裏でナラやサクラの木を燃やすことで燻製にしたという。晩秋から初冬にかけて晴天の日が少なく、天日乾燥で干し大根を作れなかった秋田の人たちが生んだ生活の知恵だ。
 香ばしくておいしい。噛むごとに滲みでる大根の甘みとほどよい塩分。ご飯にぴったりだが、最近、人気なのがクリームチーズと合わせる食べ方だ。薄くスライスしてクリームチーズをのせ、オリーブオイルをかけると、全く別物に変身。ワインや日本酒に合うのでぜひお試しを。
特選一本漬けいぶりがっこ
三宅島のあしたば
三宅村・三宅ハート会出荷組合
三宅島のあしたば(1束 150円)
 明日葉(あしたば)はセリ科の多年草。今日摘んでも明日にはまた芽が出るといわれるほど生命力が強く、滋養の多い野菜として知られている。八丈島や三宅島など伊豆諸島の名産品でもあり、ショップには明日葉茶などの加工品が数多く売られている。
 旬はいつなのだろう?と思ったら、今から春にかけてだそうだ。独特の苦みがあるが、β―カロテン、ビタミンC、ミネラル、食物繊維が豊富。鍋料理に春菊の代わりとして使ってみてはいかがだろう。おひたし、炒めもの、天ぷらなどでもいい。
 三宅島のものが販売されていたが、茎の太い御蔵島(みくらじま)産のものも入荷していた(写真後方)。ショップ併設のレストランでも味わえるので、ぜひお試しを。
珠洲市・NPO法人能登すずなり
能登寒鰤昆布巻(1本 630円)
 とにかく中身のブリがおいしい。分厚い昆布を切ると、ボリュームたっぷりの太めのブリが顔を出す。ほどよい甘さの味付けもよく、箸が進む。
 使われているのは、奥能登で獲れた寒ブリだ。回遊魚であるブリは南の海で生まれ、北海道まで北上。秋に南下を始めて、初冬から真冬にかけて一番脂がのった時期に北陸沖にやってくる。産卵期前で脂がのり、しかも日本海の荒波にもまれて身が締まった寒ブリは、冬の北陸ではなくてはならないご馳走だ。刺し身やブリしゃぶ、煮物、焼き物でもいいが、昆布巻にしてもおいしいのだと納得。昆布は“よろこぶ”にあやかる縁起物だし、新年にぴったりかも…。
能登寒鰤昆布巻
家伝にゅうめん
桜井市・㈱三輪そうめん山本
家伝にゅうめん(1食分・84g 378円)
 これは簡単でおいしい。450mℓの湯を沸かして3分間麺を茹でるだけ。そこにだしつゆと薬味を加えて出来上がり。鍋を使うのが面倒なら、電子レンジでも作れる。
 インスタントなので、味が不安だったが、そうめんを茹でて作るにゅうめんと一緒。さすが三輪そうめんの老舗、インスタントでもおいしい!と感心しました。
 三輪そうめんといえば、言わずと知れた手延べそうめんの代表格。桜井市を中心とする三輪地方はそうめんの発祥地ともいわれ、寒冷な気候と清らかな水、冬に晴天が多いことなどが、おいしい手延べそうめんを生み出してきた。そうめんは夏のイメージが強いが、あったかいにゅう麺もおいしい。お正月の御馳走疲れの胃にもやさしくておすすめ。
下関市・㈱日高食品
ふくちりセット(あら300g、切り身120g 2100円)
 冬の山口といえばフグ。地元では“ふく”と濁らずに呼ばれる。
 「てっさやてっちりなど冬はフグの商品が並ぶけど、今年は新しく入荷したこれがおすすめ」と店長さん。てっちりセットは、今まで切り身だけの少量のものが多かったが、これはあらが300g、切り身が120g入って、2~3人で食べられる。あらがたっぷりで、だしがよく出るので野菜もおいしく食べられる。ぽん酢ともみじおろしも付いているので手軽だ。2100円で食卓にてっちりが並べば、心もお財布も温かい。
 この価格なのですべて国産とはいかず、あらは国産トラフグ、切り身には中国産のシロサバフグを使用している。ショップにはいろいろな種類のフグ製品があるので、ぜひ覗いてみよう。
ふくちりセット
石垣島塩ぽん酢
石垣市・ふたばや本舗
石垣島塩ぽん酢(150mℓ 580円)
 冬といえば鍋料理、ということで、おいしいぽん酢はいかがだろう。
 石垣島塩ぽん酢は、石垣島産の自然海塩「石垣の塩」と沖縄産のシークヮーサーを使用し、カツオ節と昆布の風味を活かしてある。風味豊かでさっぱりとした味わいが全国的にも人気で、かつてカルビーのポテトチップスのフレーバーにも採用されていた(現在は販売終了)。
 開発のきっかけは、京都出身の男性が石垣島に移り住み、ぽん酢をつけるたこ焼きを売っていたところ、ぽん酢がおいしいと評判になって販売するようになったという。波照間(はてるま)島産の黒糖を使用した「黒ぽん酢」や、「島唐辛子ぽん酢」などもある。塩ぽん酢は海ぶどうやモズクなど海産物との相性が抜群なので、魚系の鍋におすすめ。