風土47
一度食べてみて!ショップおすすめの一品PartⅤ
各ショップのスタッフが「あまり目立たないけど食べたらおいしいよ。ぜひ一度食べてみて!」とすすめる商品の紹介、第5弾です。
例えば、いわて銀河プラザはちょっとしたスーパー並みの広さで、商品は約1800品種。その中から今回すすめられたのは小さなクッキー。確かに自分では手に取らないかもしれないけれど、食べてみたら、すごくおいしい!
そんなお得な6品です。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
各ショップお勧め「一度食べてみて!」
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
 また、商品の価格は掲載時のものですので、変動があることをご承知おきください。
<盛岡市・ガレット>
ココアクッキー(200g 693円)
 これはおいしかった。見た目はちょっとおしゃれな普通のクッキー。でも食べてみると「サクサク、ホロリ……」というあまり経験したことのない食感だ。軽い口どけなのに、パサパサしてなくて、ココアの深い味わいもしっかり。 ありそうでない口あたりと甘さ控えめの大人の味がクセになる。知人にあげたら「今までの人生で一番おいしいクッキー。最高峰」と絶賛した。そこまで?とは思うが、確かにおいしい。
 盛岡市内にあるパン屋さんが作るクッキーだという。原材料はいたってシンプルで、小麦粉、砂糖、バター、乳化剤、香料、マーガリン、ココア。あまりに不思議な食感だったので、生産者の方にお電話して聞いてみた。 「材料の配合に秘密があるんです」と、いかにも誠実そうなご主人の声。「まねして作ってみたけど同じようにできない、とよくお客さんに言われます」。作るのはあきらめて、盛岡か、いわて銀河プラザで買いましょう。
ココアクッキー
ミニ豆腐かすてら
<横手市・㈲渡辺食品工業>
ミニ豆腐かすてら(170g 280円)
 「一度食べてみて」と、すすめてくれたのはショップの兼子さん。あったかいお人柄の秋田おばこです。豆腐かすてらは、県南の横手市を中心とするエリアの郷土料理で、昔からお茶うけや冠婚葬祭の御膳を飾る口取り料理として親しまれてきたという。 「豆腐と付くけど料理はせず、切ってそのまま食べます」
 味は豆腐そのものだが、ほんのり甘い。硬めのもめん豆腐をさらにしっかりさせたような食感で、かじると大豆の風味と甘みが口に広がる。かすかにふわっとするのと、見た目の黄金色の美しさは卵の効果だろう。
 歴史は古く、江戸時代にはすでに食べられていたとか。栄養満点な大豆と卵、それを貴重な砂糖で味付けした豆腐かすてらは、昔は大変なご馳走だったろう。砂糖が加わることで保存性もよくなる。
 余談だが、兼子さんが高齢の買い物客のカゴに商品を詰めるのを手伝っていた。アンテナショップはほのぼのと温かい雰囲気の店が多い気がします。
<和歌山市・㈱グローイングカンパニー>
和歌山ブランデーケーキ(400g 1365円)
 これもおいしかった。我が家では大好評だったが、お酒をたっぷり使った商品なので、好き嫌いが分かれるかもしれない。
 和歌山市にある「ラッフィナート」というイタリアンレストランで作られるパウンドケーキ。"食べるお酒"をイメージしたというだけあって、オリジナルのブランデーを贅沢に染み込ませてある。食べた途端にジュワっとあふれだすほどだ。 生地には、梅酢を飲んで育った紀州うめどりが生む「紀州うめたまご」を使用。セミドライの紀ノ川いちじくも入っている。地元にこだわった逸品だ。
 食べ始めのころは甘さよりもお酒の味が勝っているので、「苦い」と思うのだが、しだいに生地のほのかな甘みといちじくの酸味、ブランデーの深い味わいの調和が心地よくなる。生地のしっとり感もいい。冷蔵庫で保管するうちに、しだいに味がまろやかになる。 味の変化も楽しめる大人のデザート。
和歌山ブランデーケーキ
しらすぞうすい
<伊予市・㈱オカベ>
しらすぞうすい(5食入り 525円)
 国産のしらすと8種類の雑穀を使った雑炊で、ショップ新登場だという。雑穀は、白米、玄米、はだか麦、押し麦、みどり米、黒米、赤米、ういろう豆の8種で、国産100%。
 ヘルシーで便利な商品だ。
 とにかく簡単にできる。お椀に乾燥した雑穀としらす、オニオンスープの粉末を入れ、お湯を注ぐだけ。できあがりまでわずか1分! かき混ぜるとしだいに雑穀がやわらかくなるので、好みの硬さで食べ始めよう。
 雑穀自体は素朴な味わい。歯ごたえのある品種もあり、しらすとともに、噛みしめるたびに滋養ある味がにじみ出てくる。オニオンスープは味がよく、あっさりしたしらすや雑穀とよく合う。
 ネットで調べたら、ダイエットに使用している人もいるらしい。1食45kcal。歯応えがあるので、1杯でもしっかり食べた感じがする。手軽でおなかにやさしく、夜食や朝食にもおすすめ。
<熊本市・合同会社北印度会社>
ひご野菜コロッケ(3個・165g 5900円)
 熊本の伝統野菜「ひご野菜」を使った手作りコロッケ。熊本市にある専門店「ひご之すけ」が作る熊本でもオンリーワンのコロッケだという。
 ひご野菜は、生産地域や歴史などの観点から15種類が指定されている。熊本京菜、水前寺もやし、ひともじ、春日ぼうぶらなど、熊本の食文化を担ってきた野菜たちだ。
 このコロッケは、それぞれの野菜の味を生かし、上手にアレンジしてある。例えば、熊本赤なすを使った「赤なすの麻婆コロッケ」は、少しの辛みと豚肉を加えることでナスの甘みとトロっとした食感が引き立つ。「シャキシャキれんこんコロッケ」はれんこんのシャキシャキともっちりの2通りの食感が楽しめ、さらに生姜を加えてさっぱり味。「熊本いんげんの若草色コロッケ」は豆の味が濃い。色もきれい! 野菜の旬の時期が限られるので、四季折々の味が楽しめるのが魅力だそうだが、ぜひ全種類食べてみたい。
ひご野菜コロッケ
沖縄ぜんざい
<那覇市・㈱あさひ>
沖縄ぜんざい(90g×4 525円)
 沖縄でぜんざいといえば、金時豆を使ったこの沖縄ぜんざいを指すそうだ。
「沖縄では本当によく食べます。夏はかき氷をのせて、冬は温めて」と男性の副店長さん。「かき氷?」「ええ。とても甘いので、夏はかき氷をのせるとさっぱりしてちょうどいいんですよ」。
 どんな味なのか……冷やしたのをそのまま興味津々でひと口……。なるほど!甘さの効いた金時豆の煮ものの味。でも、押し麦やタピオカなどそれぞれの味が加わるので、味にアクセントがあって変化も楽しめる。"沖縄黒糖仕込み"とあるように、黒糖の甘さが最後に舌に広がる。かき氷に合いそうだ。温めてもおいしそう。冬は好みでお湯を加えて甘さ調節をするのもいいかもしれない。
<おまけ>
ジンジャーシロップ
 今月の揃い踏み"瓶詰めPartⅡ"に登場している宮崎県の商品は、このジンジャーシロップだ。数年前から生姜が大ブレイクして、新商品が続々登場。ジンジャーシロップもいろいろあるが、こんなに美しい商品は初めて。 ジュレ状の液の中で生姜の破片が光を反射して、まるで宝石のようだ。
「味や品質はもちろんですが、まずは手に取ってもらえるようにと、外観にもこだわって商品開発したようです」と、ショップの縣さん。若い女性社員たちの意見を取り入れ、ボトルにまでこだわったそう。内容物を沈殿させないのもひと苦労だったらしい。
 冷水を加えて飲んでみたが、さっぱりしておいしい。水でもお湯でもジュレがさっと解ける。体が冷えるこれからの季節はぜひホットで。きんかん入りなど3種類ある。
ジンジャーシロップ