風土47
炊き立てごはんのお供
新米のおいしい季節ですね。
今年の新米の出来は、全国的に順調で豊作だそうです。
農林水産省が発表した2012年産米の作況指数は「やや良」。
「やや良」となるのは、2008年以来、4年ぶりだとか。
そこで、今月はごはんがさらにおいしくなる品をそろえました。
どれもご飯がすすみます。あまりにパクパク食べ過ぎて、感想を書く段になって「あれ?おいしかったことしか覚えてない」と焦った商品も……。ぜひご覧ください。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
各ショップお勧め「ごはんのお供」
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
 また、商品の価格は掲載時のものですので、変動があることをご承知おきください。
<柴田町・豊屋食品工業(株)>
青唐辛子みそ(200g 577円)
 ショップの店員さんたちが「これ、目立たないけどおいしいんですよ」と、今まで何回も教えてくれていた商品。満を持してご飯のお供として登場です。
 確かにいい味。ベースになるのは、赤みその代表格である仙台味噌。出汁文化がなかった仙台では、味噌が料理にうま味を加えていた歴史があるという。なので、仙台味噌はうま味が濃厚だ。
 この商品では、宮城県産の「ミヤギシロマメ大豆」と「ひとめぼれ米」で作った贅沢な仙台味噌を使用。そこにほどよい甘みとピリッと辛い青唐辛子を加え、絶妙のバランスに仕上げてある。ネギを加えて焼きおにぎりを作ってもおいしそう。いろいろに使えそうだ。
青唐辛子みそ
ムロメンチ
<八丈町・八丈島漁業協同組合女性部>
ムロメンチ(5個 450円)
 八丈島の海で獲れたムロアジを使ったメンチカツ。漁業協同組合の女性部、つまり、島のお母さんたちが作った名物だ。
 ムロアジは、伊豆諸島では名産のくさやの干物の原料として名高い。そのムロアジをミンチにし、国産の玉ねぎやパン粉を混ぜて形を整え、冷凍して売っている。揚げればすぐ食べられる手軽さがうれしい。
 熱した油に入れるとしだいにふっくらと膨らんで、キツネ色になってくる。揚げたてをひと口かじると……、おいしい。魚の臭みはまったくなく、アジの風味と玉ねぎのしゃきしゃき感、パン粉のふっくらとした感じほどよくミックスしている。ケチャップやソースの味がほんのりとして、どこか懐かしい家庭の味だ。お母さんたちが集まって、「ケチャップを入れてみようか」などと話し合いながら試作した様子が目に浮かぶ。ほのぼのとご飯が味わえる一品です。
<高岡市・(株)家室>
白えび入黒とろろこんぶ(40g 315円)
 富山湾でしか獲れないという貴重な白えびと、黒昆布を使った新商品のふりかけ。口に入れると黒昆布のうま味が口いっぱいに広がる。歯応えがしっかりしているので、ついついよく噛み、そのたびに少し酸っぱさのある昆布や白えびの香ばしさがにじみ出てくる。塩味も効いているので炊き立てのごはんによく合う。
 昆布をよく食べるのは富山県のご当地文化だという。その昔、北前船の中継地点であった富山では、北海道からやってくる昆布を食べる風習が今も根強く残っている。富山の風土を感じながら味わいたい。
白えび入黒とろろこんぶ
奈良漬
<奈良市・(株)森奈良漬店>
奈良漬すいか(2個 840円)
奈良漬大和三尺きゅうり(170g 1050円)
奈良漬瓜(190g 945円)
<奈良市・漬菜栄吉>
なら漬きゅうり(2本 945円)
なら漬うり(半個 557円)
なら漬守口大根(半切り 557円)
 奈良漬は1300年の歴史があるという。ウリやキュウリ、スイカなどを塩漬けにし、酒粕で何回も漬けかえるという手間のかかる漬け物だ。パリパリ、コリコリとした歯触りと、酒粕の芳醇な香り、バランスのいい自然な甘みや辛みが食欲をそそる。ごはんのお供として、酒肴として人気が高く、奈良まほろば館にも数種類が並ぶ。
 製造店によって味が異なるのも特徴だ。東大寺大仏殿前にある老舗「森奈良漬店」では、酒粕と天然塩だけで漬け込む昔からの手法を守る。酒粕分の効いた辛口の奈良漬。「漬菜栄吉」の商品は、酒粕とみりん粕、砂糖、塩で漬け込み、ほんのり甘口。好みの味を見つけよう。
<萩市・松村産業(株)>
かさご開き(1尾 890円)
 三方を海に囲まれた山口県は、魚介類が豊富。おいでませ山口館にも、多くの魚介製品が並んでいる。
 ごはんに合いそうな干物もいっぱいある。その中から、店長さんがすすめてくれたのがカサゴの開きだ。冬に味がよいといわれるカサゴは、山口県の日本海に面した海で獲れる。天然礁があって大陸棚も続き、多種の魚が生息するあたりだ。
 新鮮なカサゴを開いて塩を振り、軽く干してある。焼いて食べると、引き締まった身が淡白。脂がのった魚ではなく、あくまでカサゴ独特の白身の味わいと香りを楽しむ干物。塩の加減がちょうどよく、噛みしめるたびに魚の味と塩がほどよく混ざって食欲そそる。
 1尾がかなり大ぶりだが、あっという間に食べてしまった。ちょっと高価だが、白身好きはぜひお試しを。おいしいです。
かさご開き
黒豚ロースみそ漬け
<鹿屋市・農事組合法人南洲農場>
黒豚ロースみそ漬け(100g 683円)
 これもおいしかった。生産者は黒豚生産ひと筋、という南洲農場。大隅半島で育った黒豚の上質ロース肉を、島根県井上醤油店の雲州味噌三倍糀に漬け込んでいるという。
 黒豚肉は、肉質がきめ細かくうま味成分が多いのが特徴。味噌との相性は抜群で、糀の効果で肉はいっそう軟らかくジューシーになる。
 かなり大きな一枚を、フライパンにアルミホイルを敷いて焼いてみた。しだいに味噌が焦げて香ばしい匂いが漂い、食欲全開。ちょっと焼き過ぎたかな、と思ってかじったら、肉が驚くほど軟らかく、甘みのある脂がジュワっとにじみ出てきた。脂の質がいいのと味噌の効果で、脂っぽさを感じない。間違いなくごはんがすすむ一品。
<おまけ>
貴醸酒
 いきいき富山館を取材中、店頭でこのお酒の試飲会を行っていた。ボトルや美しい色にひかれてよく見ると、300mℓ1470円という高価さにびっくり。
 「仕込みの際、水の代わりに日本酒を使っています。まさに"日本酒で作った日本酒"ですね」と蔵元の方。しかも右の茶色のお酒は30年くらい熟成させているのだとか。
 飲むと紹興酒のような味わいだ。とろりとまろやかで、かすかに甘みがある。深く芳醇な味わい。食前酒として少し味わったら、そのあとの料理もさぞおいしいことだろう。めずらしい贅沢なお酒に出合えました。
貴醸酒
            
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、 『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い(http://tabipen.net/report/nakamoto01.html