風土47
あったまるな~ 鍋、煮込みに、この一品
一気に寒くなりましたね。
そうすると恋しくなるのが鍋ものや温かい煮込み料理です。
本格煮込みが手軽に食べられるレトルトパックや、鍋料理に欠かせない定番素材、その県ならではご当地野菜など、各ショップおすすめの商品をご紹介します。 冬も温かいごはんで元気に過ごしましょう。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅のペンクラブ、日本旅行作家協会会員)
各ショップお勧め「鍋や煮込みの一品」
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
 また、商品の価格は掲載時のものですので、変動があることをご承知おきください。
<石狩市・佐藤水産>
ブリ大根(180g 550円)
 北海道の天然ブリを使ったブリ大根。これはおいしかった。ブリがしっとりとやわらかく、大根なんてとろけるよう。ブリの甘さと脂が上手に行き渡って、本当においしかった。
 数々ある北海道の水産加工品メーカーの中でも、佐藤水産の商品はおいしいという評判だ。北海道でブリのイメージはあまりなかったが、近年、ブリの漁獲は年々増加しているという。ブリは脂が多いため加工商品にするのは難しい面があるそうだが、道産ブリは本州産に比べ脂が半分程度で、加工品にしやすいそうだ。本州産より身が引き締まり、歯応えがあるという。
 お店の方によれば「たった一人の腕のいい職人さんが作っているらしく、あまり数量が出回らない商品だそうです」。見つけたら、ぜひ試してみてください。
ブリ大根
生芋こんにゃく | 生芋しらたき
<富岡市・㈱アイエー・フーズ>
生芋こんにゃく(220g 158円)
生芋しらたき(180g 158円)
 こんにゃくは群馬県の特産品。しらたきも含め、鍋や煮込み料理には欠かせない食材だ。
 女性にうれしいのは、こんにゃくは保湿成分であるセラミドを多く含むこと。特に“生芋こんにゃく”は多く含むという。一般的なこんにゃくは、こんにゃく芋の皮を除いて乾燥し、粉状にした「こんにゃく精粉」を原料としている。でも昔ながらの皮ごとこんにゃく芋をすりつぶして作る「生芋こんにゃく」の方がセラミドが豊富だそうだ。味ももちろんおいしい。
 先月発表された2013年のゆるキャラグランプリで第3位になったぐんまちゃんのイラストが描かれ、同じ買うならこの生芋こんにゃくを、と思える。ついでに、産地の富岡市では富岡製糸場が来年、ユネスコの世界遺産へ登録されるのではないか期待が高まっている。ご祝儀に !? 買いたい品です。
<坂井市・㈲谷口屋>
谷口屋のおあげ(1枚 525円)
 大きい。縦横は約14㌢、厚さ約3~4㌢ほどもある。重さもずっしり。福井名物として有名なこの油揚げは、坂井市にある大正14年創業の老舗豆腐店「谷口屋」の看板商品だ。
 霊峰白山の伏流水、国産高級大豆、最高級の一番搾り菜種油、越前の海で採取した天然にがりを一冬寝かせた「越冬にがり」など、厳選した材料を使用。熟練の職人が約1時間かけて、揚がり具合を見ながら100回以上手作業でひっくり返しながらじっくり揚げるのだという。
 こんがり焼いて薬味と食べるのもおいしいが、野菜や鶏肉などと煮込んでも美味。出汁をたっぷり吸ってジューシーだ。野菜にも揚げのうま味と甘みがしみ込む。鍋にも煮込みにおすすめの品。
谷口屋のおあげ
越後豆腐 木綿・絹
<魚沼市・㈱ゆのたに>
越後豆腐 木綿・絹(400g 178円)
 鍋料理に欠かせない豆腐。この越後豆腐はエンレイという国産大豆と天然にがり、奥只見の伏流水を使って作るという。
 エンレイは漫画『美味しんぼ』では「つややか(艶)で美しい(麗)」大豆ということから、漢字で「艶麗(エンレイ)」と紹介された。豆が柔らかく、成分バランスがよいのが特徴。豆腐も白くつややかに仕上がり、大豆本来の甘みとなめらかな食感が楽しめる。
 湯豆腐にしたが、確かに味が濃くておいしかった。なめらかな舌ざわりながらずっしりと重量感がある。寒い夜に熱燗を傾けながらゆっくり豆腐を味わいたい方におすすめ。
<小林市・JAこばやし>
京いも(1個 約250円~700円)
 宮崎名産の“京いも”は里芋の一種で、その形状からたけのこいもの別名がある。宮崎県産が東京市場で90%、大阪市場で98%を占める希少価値の高い特産野菜だそうだ。皮がむきやすく、煮くずれしにくいことから、おでんや煮物に向くとされる。
 初めて食べたが、ちょっと硬い里芋という感じ。粘り気が少なく、身がしっかりしているので食べやすい。宮崎ではおなじみの食材だそうで、煮っ転がしのほか、揚げたり、バター炒めなどにしてもおいしいそうだ。
 宮崎のブランド認定を受けているJAこばやしの京いもは、おいしさを高めるために収穫後にさらに15日以上土の中で貯蔵して追熟し、完熟させるという。畑に幅150㎝、深さ40㎝の溝を掘り、一度収穫した京いもを1本ずつ逆さまにして伏せ込む。初冬に大変な仕事だ。9月中旬から3月まで収穫できるが、11月~3月が食べごろだという。
京いも
広島れもん鍋のもと
<呉市・よしの味噌㈱>
広島れもん鍋のもと(160g 420円)
 昨年の冬くらいからレモン鍋が流行っているそうだ(数年前から山口県でミカン鍋が人気だと聞いて「へぇ~」と思っていましたが、何でもありになってきましたね)。
 本来のレモン鍋は、だし汁に塩麹やしょう油で味を付け、皮ごと輪切りにしたレモンを加えるそうだ。そのレモン鍋が手軽に作れるのがこの商品。4~5倍に薄めて、野菜やキノコ、豆腐、鶏肉などを入れて煮るだけ。
 最初は、酸っぱさと最後に残るレモンの風味が際立って「う~ん、どうなんだろう…」という感じだったが、しだいにいろいろな味が溶け合って、味もまとまりおいしくなった。なによりさっぱりして食べやすいのがいい。塩麹にやさしい甘みがあるので酸味が際立ちすぎることはない。不足しがちなビタミンCやクエン酸を補い、油っぽい具材でもあっさり味わえる。特に女性に喜ばれそうだ。
◆今月のおまけ
<呉市・よしの味噌㈱>
広島れもん鍋のもと(160g 420円)
 れもん鍋の続きです。パッケージだけだと分かりにくいかもしれませんが、スプーンの中を見ていただくと分かるようにかなり麹が浮いています。この麹が効いて、肉が軟らかくなります。ただ、白菜があっという間に黄色くなり、漬け物のような味になったのには驚きました。豚肉や鶏肉、タラなどに合いそうです。
広島れもん鍋のもと
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、 『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事