風土47
内緒にしておきたかった?店長、スタッフの「私のお気に入り」
毎日たくさんの商品を目にしている店長やスタッフに、「私は断然、これが好き!」というものを挙げてもらいました。
お店の方針も世間の評価も関係なし。本心では「品切れになって自分が買えなくなるのは困る。だから本当は教えたくなかった」と、それほどに好きな品。
いつにもまして、ショップの皆さんの商品説明に力が入っていました。
さて、どんな商品が登場するのでしょう?
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
各ショップお勧め「私のお気に入り」
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈呉市・㈲天明堂〉
鳳梨萬頭(おんらいまんとう)(1個 115円)
 「呉市では絶大な人気を誇る銘菓なんです。最初はショップに置いてなかったんですが、『買えますか?』というお問い合わせが多くて。いよいよ入荷することになってFacebookでご紹介したら、その反響も大変なものでした」。そう力説してくれたのは、誠実で爽やかな若きイケメン店長。
 けれど、最初は半信半疑。なんだか薄っぺらい(ごめんなさい!!)お饅頭ですけど…。
 「パイナップルジャムが入っていて、生地も餡もしっとり。この軟らかさはほかではなかなか真似できないそうです」。
 萬頭はもともとは中国のお菓子で、クッキーのような生地に餡やジャムを挟んだもの。鳳梨はパイナップルのことだそうだ。
 確かに生地も軟らかくてしっとり。ジャムも甘すぎず、最後にパイナップル独特の酸味と芳香が湧き上がって混ざり合う感じ。何個でも食べられそうなお菓子です。
鳳梨萬頭
南部せんべい
〈八戸市・㈲マルコーいずもり〉
南部せんべい(16枚 238円)
 南部せんべいは、青森と岩手にまたがる南部地方に古くから伝わる煎餅。南北朝時代に陸奥を訪れた長慶天皇に、食事として提供したのが始まりとされる。材料は小麦粉と塩と膨張剤といたってシンプルだ。でも、パリパリの食感といい、絶妙の塩加減といい、ついもう1枚と手が伸びる。良質の小麦粉を使っているのだろう、甘みも感じる。
 「これに、クリームチーズと生ハムをのせたり、ピザソースを塗ってとろけるチーズをのせてオーブンで焼いたり、アレンジしてお酒のおつまみにしています」と話してくれたのは、とてもお孫さんがいるとは思えないほど若々しく、かわいらしい女性スタッフのHさん。すると、当サイトの社長Hさんも加わって、「もう少し小さい南部せんべいにバターを挟んで冷やすのもおいしいおつまみですよ」と、酒好き二人でおつまみ談義に。
 私はクリームチーズをのせて、マーマレードとハチミツをかけておやつにしてみた。塩味が効いて、油っぽさがなく、市販のクラッカー(ごめんなさい!!)より断然おいしい! 我が家でも常備品になりそうです。
〈福井市・国見えのき協同組合〉
ジンジャーえのき(300g 355円)
 「エノキ自体がしっかりしてるし、とにかく味付けが絶妙なんです。あったかいご飯にのせて食べると最高ですよ。大根おろしと和えて食べるのもおいしいです。今、はまってます!」と力説してくれたのは、いつも明るく元気な女性店長さん。
 越前の福井市国見地区はエノキの名産地。荒波寄せる日本海を前に、「なるべく自然環境に近い状態で」と栽培されたエノキは、カサも茎もしっかり。シャキシャキとした歯ごたえと、エノキ特有の甘みのある味わいが深い。
 おすすめ通り炊き立てのご飯にのせて食べると……、ほんとだ、おいしい。エノキの甘みで醤油も生姜風味もまろやかになって、エノキのぬめりで煮汁がよくからむ。瓶詰めのエノキ(本当にごめんなさい!!)より、断然おいしい。唐辛子入りのピリ辛味と、歯ごたえのある茎ワカメ入りもある。
ジンジャーえのき
ハーブサラダセット
〈新潟市・松田農園〉
ハーブサラダセット(1パック 230円)
 「新潟市の松田農園に行って、畑で試食させてもらったとき、野菜の味の濃さにびっくりしました。ルッコラは、濃いゴマのような味がしました」。説明してくれたのは、二人のお子さんを持つという女性スタッフ。
 「この商品は、1袋に8種類のハーブが入っていて、量もたっぷり。洗って、ちぎって、盛るだけで、豪華なサラダになります」今までの取材の経験上、“働くお母さんスタッフ”が愛用する食品は、“おいしい、安心、便利”の三拍子がそろっていて、間違いない。今回の取材中も、何人ものお客さんがこの商品を買っていた。
 家に帰って袋を開けると、ボリュームにびっくり。元気な野菜が盛り上がってくる感じ。ちぎってのせると、大皿3杯分くらいありそうだ。一つ一つの葉がしっかりとして、色も味も濃い。袋には、グリーンウェーブ、レッドファイアー、グリーンマスタード、ルッコラセルチュ……などの種類が書いてある。食べると血液がキレイになる気がしました。
〈臼杵市・臼杵市せんべい加工協同組合〉
臼杵煎餅(32枚 1296円)
 「私の故郷、臼杵(うすき)で長年愛されている銘菓です」と、推奨してくれたのは、6年間、ずっと取材の窓口を担当してくださっているTさん。仕入れもされているので、商品知識が豊富。そして、元バスガイドさんのためか、説明がとってもお上手。そのTさんが、この商品についてだけは、言葉少なだ。「小さいころから家にもたくさん置いてあって、またこれかと思っていたけど、故郷を離れてみると懐かしい味です」。そう、懐かしい味は、理屈なしですよね。
 でも、このお煎餅は味もいいです! 小麦粉、砂糖、卵、膨張剤などを混ぜて焼いた煎餅に、生姜砂糖を塗って焼き上げてある。軽く曲げた形は、臼を表すのだとか。臼杵で長―く愛されているだけあって、おいしい。1箱に4パック入っていて、ちょっと人に差し上げるのにも便利です。
臼杵煎餅
べじ太ノンフライりんごちゃん
〈川場村・野菜のスイーツべじ太〉
べじ太ノンフライりんごちゃん(15g 185円)
 「これ、かなりお気に入りです」と紹介してくれたのは、いつもにこやかなみなかみ町出身の女性スタッフHさん。かなりの酒豪という噂なので、お菓子系のお気に入りは意外だったが、食べてみて納得。スイーツと言っても、砂糖も油も保存料も無添加。凝縮されたリンゴの自然な甘みだけが口に広がる。
 生産地の川場村は、日本百名山の一つに数えられる武尊山(ほたかやま)の南麓に広がる自然豊かな山村地帯。4本の一級河川が村内を縦断していることが村名の由来だそうだ。リンゴを始めとするフルーツの産地でもあり、規格外のフルーツの商品化を推進する取り組みが進んでいる。
 この「りんごちゃん」もその一つのようだ。乾燥させることで、甘みもうま味もギュッと濃縮される。香りも同様で、袋を開けた途端に広がるリンゴの芳香にうっとり。1枚でリンゴ半分は食べたような満足感がありました。
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、 『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い(http://tabipen.net/report/nakamoto01.html