風土47
新米をより美味しく!炊きたてごはんのおかず Part Ⅴ
新米の季節がやってきましたね。
今月の特集は、毎年11月の恒例となった“ごはんに合うおかず“です。
これがあれば炊き立てのごはんがもりもり食べられる、という品ばかり。
貴方の好みのおかずはどれですか。
食欲の秋です!
お気に入りのおかずで、新米をさらにおいしく召し上がってくださいね。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈函館市・㈱布目〉
本数の子黄金松前漬け(230g 1134円)
 美味しかった。これはご飯がすすむこと間違いなし!
 松前漬けは、函館や松前を中心とした道南地方に古くから伝わる郷土料理。名前の通り、松前藩の人たちが保存食として食べたと伝えられている。スルメや昆布、数の子を、古くは塩で漬け込んでいたが、現在は醤油ベースの調味料で漬け込んだものが増えた。
 数ある松前漬けの商品の中でも、おいしいと評判なのがこの㈱布目の「本数の子黄金松前漬け」だ。これほど数の子を贅沢に使ったものはめずらしいそうで、大ぶりのものがゴロゴロッと5、6本入っていた。プチプチとした数の子の歯ざわり、細く切ったスルメと昆布の旨み、そして醤油ベースに甘みと辛味をほどよく効かせた味付け。それらが昆布のぬめりで一体となり、ご飯がすすむこと、すすむこと。ご飯によーく合います。
本数の子黄金松前漬け
ダイエットハンバーグ
〈昭和村・㈱あかぎチキン〉
ダイエットハンバーグ(130g 300円)
 群馬県の名産品の一つがコンニャク。中でも、昭和村はコンニャク芋の生産量が日本一を誇る。その昭和村で作られるダイエットハンバーグには、もちろん生コンニャク芋が入っていた。説明書きを見ると、なんと!1個66キロカロリー。同社の通常ハンバーグと比べ、カロリーと脂質は4分の1。さらに食物繊維3倍、カルシウム5倍だという。カロリーを抑えただけでなく、上州牛や奥利根もち豚を使い、化学調味料、保存料、着色料は無添加というから、作り手の心意気が伝わってくる本格的ハンバーグだ。
 食べてみると、まずふんわりと軟らかい。でも肉の食感や旨味はしっかりと感じる。最後の後味は通常のハンバーグよりあっさりしていて、このハンバーグの方が食べやすいと感じる人も多いかもしれない。あっさりしている分、ソースの味付けがしっかりしていて、ご飯にもよく合う。量も充分あって、66キロカロリーとは思えない満足感。カロリーが気になるけど、ハンバーグでご飯をたっぷり食べたい、という方におすすめ。
〈若狭町・風呂セントラル木材㈲〉
焼サバ 塩味(1切 324円)
焼カラスガレイ(1切 350円)
 今、福井のショップで売れているというのがこの『味付き焼き魚』シリーズの商品。サバやタイ、カレイなどを遠赤外線効果で炭火焼風に焼いて、味付けをして真空パックしてある。湯煎で約5分、あるいは少し開封してレンジで約1分加熱するだけで、手軽に焼き魚が味わえる。「ご年配の一人暮らしの方がまとめて買っていかれます。あとはお弁当を作るお母さんたちにも人気ですね」と女性店長さん。確かに、焼き魚が食べたくても、一人分だと魚焼きグリルを洗う億劫さに負けて、ついつい他のおかずにしてしまいがち。でも、これがあれば、簡単に焼き魚が味わえる。
 ご飯にも合う。焼サバの塩加減がちょいどよい。カラスガレイは脂がほどよくのって美味しかった。もう少し濃い味を想像していたが、上品な味付けで、さすが古くから都の台所といわれた若狭と感服。味は、塩、醤油、西京焼、幽庵焼など。賞味期限が60日間あるので、買い置きもできる。サバを使ったお弁当シリーズもあって、“生姜&ゴマ油”“味噌マヨ”“カレー”などさまざまな味があって、こちらも便利そうだ。
焼サバ|焼カラスガレイ
ごぼう醤油漬
〈京都市・野村治郎助商店〉
ごぼう醤油漬(100g 432円)
 これも「さすが、京都」と思ってしまった品。正直に言って、あまり期待せずに食べたが、想像以上に美味しかった。個人的には、ご飯がすすむ、という意味では、今回の特集の中でも上位だと思う。
 季節の野菜を使った漬け物シリーズで、これは名前の通り、ゴボウを醤油味で漬けている。まず、食感がいい。パリッポリッと、まるで若梅のような歯切れのいい噛み心地。味も、醤油と酸味がほどよく効いているが、どちらも勝ち過ぎることなく上手に混ざり合っている。かすかに残るゴマの風味と酸味が心地よく、つい、もっと…と手が伸びる。炊き立てのご飯と本当に良く合った。
 味に感動してメーカーを調べてみると、なんと明暦元年(1655)創業の老舗。錦市場と並んで、“京都の台所”といわれる問屋町に店を構え、漬け物を始めたのは慶応年間だという。伝統の味、おそれいりました。
〈三木町・㈱マルシン〉
オリーブ牛 旨飯だれ(200g 594円)
 ここ数年、「みかん鯛」「かぼす平目」「ゆず鰤」「ハーブ鯖」など、エサに柑橘類を混ぜて育てる“フルーツ魚”が話題になっている。魚なのに、ほのかにミカンやカボスの風味がして、食べやすい。
 そして、日本のオリーブ発祥の地である香川県小豆島では、ついに魚ではなく「オリーブ牛」なるものが登場した。オリーブ牛は、オリーブの搾り果実を讃岐黒毛和牛に与えて育ったプレミアム和牛。油を搾って捨てていたオリーブの果実を、牛のえさに活用した。抗酸化作用のあるオリーブを食べて育つ黒毛和牛は、旨味や軟らかさが増し、もちろん抗酸化成分も他の和牛より多い。
 この商品は、そのオリーブ牛と玉ネギ、ネギ、味噌、もろみ、生姜、にんにく、ゴマ油などを混ぜたもの。肉は少量しか使っていないが、旨味はしっかり溶け出ている。ふたには、黒毛和牛の証明である個体識別番号まで明記されている。ネギの風味が食欲をそそり、油のコクもある。味がそれほど濃くないので、ご飯よりうどんや焼いた肉、海鮮丼などのトッピングにしたら美味しそう。いろいろな料理との相性が楽しめそうだ。
オリーブ牛 旨飯だれ
レトルト馬ホルモン味噌煮込
〈熊本市・フンドーダイ㈱〉
レトルト馬ホルモン味噌煮込(150g 540円)
 桜肉(馬肉)は熊本の名物。ただ、県の担当者によれば「名物として馬刺しが有名ですが、実は地元ではそれほど頻繁には食べません。馬ホルモンの方が一般的で、よく食べますよ」とのことだ。
 その、熊本県民も大好きという馬ホルモンを味噌味で煮込み、レトルトパックにしたもの。これも手軽でおいしかった。ホルモンということで、もう少し脂っぽいものを想像していたが、あっさりしていて、しかも軟らかいので食べやすい。味噌風味なので、肉の臭みなどもまったく感じない。味つけも濃くなくてちょうどいい。
 馬肉は低カロリーで高タンパク。鉄分やグリコーゲン、必須アミノ酸なども効率的に含み、健康食品といわれている。馬肉そのものは熊本に行かないとなかなか食べる機会がないが、これなら買い置きして、すぐにご飯のおかずにも酒の肴にもなる。
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事