風土47
冬の食卓を彩る逸品 Part Ⅱ
フグ、カニ、アンコウ、カキ、寒ブリ……。
冬は、寒さこそつらいですが、この時期ならではのおいしい味覚も数多くあるシーズンです。
そこで、今月は冬をおいしく楽しく過ごすために、この季節ならではのおすすめの一品を集めました。
これを肴に熱燗でいっぱい、あるいは鍋に入れてアツアツを頬張る……。
お好きな食べ方で冬の食卓を楽しんでください。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈戸沢村・戸沢の庄 食彩源氏沢〉
雪ん中ひろっこ(80g 382円)
 「ひろっこ」は最上地方の冬の伝統野菜だという。山形県の内陸北部に位置する最上地方は、日本海から最上川に沿うように流れてきた雪雲が奥羽山脈にぶつかり、多くの雪が降る豪雪地帯。例年、1~2mの積雪があるが、ひろっこは、その積もった雪の下から収穫される。雪のせいで畑は凍らないため、土の中で真っ白なひろっこが育っているのだ。
 1分ほど茹でて、酢味噌をかけて食べてみた。軟らかい。少しぬめりがあり、ネギのような風味がある。エグミはまったくなく、ほんのりと甘い。清らかで清新で、生まれたてのネギの赤ちゃんをいただいているような感じ。昔、最上地方では長い冬の間、野菜が不足がちになったという。その時、雪の下で育ったこのひろっこを味わうことはどれほどの歓びだったか、想像に難くない。
雪ん中ひろっこ
牡蠣の潮煮
〈石巻市・末永海産㈱〉
牡蠣の潮煮(170g 800円)
 「宮城の冬といえばカキですね」と、ショップの女性スタッフ。「でも、生のカキの入荷はないので、通年あるこちらの商品で冬の味覚を味わっていただくしかないですが」
 通年販売しているといっても、旬のおいしいカキを使っていることに変わりはない。早速買って帰って鍋に入れてみた。
 パッケージに「むきたての牡蠣に何も足さず何も引かず、牡蠣本来の旨味をたっぷりとじこめた漁師直伝の牡蠣の潮煮製法で作りました」とある。調理は不要で、鍋にもシチューにも入れるだけ。パスタなど他の料理にもいろいろに使える。身はプリッと弾力があって、味も濃い。個装ごとに数は異なるだろうが、8粒ほど入っていたので量もたっぷり。
 近年、殻付きの牡蠣を焼いて食べるカキ小屋が大人気だが、外食する時間がない時に、手軽に味わえるのはうれしい。
〈三宅島・三宅村商工会女性部MA〉
あしたば炊きこみごはんの素(95g 510円)
 女性副店長が「おいしいですよ」と勧めてくれたのがこのあしたばを使った炊き込みご飯の素だ。あしたばは日本固有の植物で、伊豆半島や房総半島、三浦半島などに自生している。“今日摘んでも明日には新しい葉が出る”といわれるほど生命力を感じさせる植物で、豊富なビタミンやミネラル、そしてタンパク質も含んでいる。流通の乏しかった江戸時代にさえ、健康食品的な利用がなされ、大変貴重な植物として扱われていたという。
 栄養豊富なあしたばを食べて、寒い冬を元気に乗り切りたい。作り方は簡単で、中身を2合のお米に混ぜて炊くだけ。炊き上がりが近づくと醤油が焦げる香ばしい匂いがして、食欲をそそる。匂いの通りご飯にしっかり醤油がしみておいしい。フキのようなあしたばの茎とタケノコが食感のよいアクセントだ。あしたばの葉は苦みがあって少しクセのある味だが、いかにも身体によさそう。
あしたば炊きこみごはんの素
まりひめ
〈紀の川市・JA紀の里いちご部会〉
まりひめ(1パック 7442円)
 まりひめは、和歌山県で生まれたブランドイチゴ。早生で実り豊かな「章姫(あきひめ)」とコクのある「さちのか」を掛け合わせたという。粒が大きく丸みがあり、果肉は鮮やか紅色をしている。“糖度に比べて酸味が低いのが特徴”と書かれていたが、確かに酸味が少ない。そのためか、やわらかで素直な甘みが口いっぱいに広がる。香りも爽やかでおいしい。
 このまりひめが、「資生堂パーラー銀座店サロン・ド・カフェ」で行われる“2015こだわりの苺フェア”に使用される。このフェアは、2015年が100年に一度の“15(イチゴ)の年”であることに因んで開催。期間によって福岡産あまおうなど各地のイチゴの名品を使ったパフェが味わえる。「まりひめのスペシャルストロベリーパフェ」(2380円)が味わえるのは、2月3日~3月1日。まりひめ8個をソース&トッピングに使っているそうだ。2380円……。でも食べてみたいですね。
〈境港市・境港センター冷蔵㈱〉
紅ずわいがに爪肉(300g 821円)
 冬の山陰はカニ一色、といっても過言ではないだろう。港が真っ赤に染まるほどカニが水揚げされ、各温泉の旅館や食事処に運ばれる。そして、カニ料理を目当てに多くの観光客が訪れる。
 でも、山陰は遠いし、松葉ガニは高いなぁ……という時にこれはどうだろう。新橋駅前で手に入る。しかも、境港で水揚げされた紅ズワイガニの爪肉が300gも入って821円という価格だ。殻がきれいに取ってあるので、解凍してそのまま鍋やみそ汁に入れたり、フライや天ぷらにしてもいい。
 カニ酢につけて食べてみたが、予想以上に味が濃かった。気軽にカニの風味が楽しめるのはうれしい。個装によって違うだろうが、今回は25個入っていた。少しずつ解凍して、いろいろな食べ方が楽しめる。
紅ずわいがに爪肉
葉にんにくのたれ 甘口
〈須崎市・㈱アースエード〉
葉にんにくのたれ 甘口(130g 540円)
 高知では“葉にんにくのぬた”が調味料代わりによく使われるという。知ってました? 私は初耳だった。
 葉ニンニクは、一般にはニンニク葉とよばれるユリ科の香味野菜。高知ではすき焼きなどによく入れるそうだ。同時に、よく作られるのが葉ニンニクを細かく刻んでペースト状にして、味噌や酢、砂糖を加えた“ぬた”だ。“ぬた”というと一般的には酢味噌で食材を和えた料理のことを指すが、高知ではこのペースト状のそのものをぬたというらしい。
 これを冬はブリにたっぷりつけて食べるという。「冬のブリは脂が多いですが、緑のぬたを付けてさっぱりといただきます」と高知出身の店長さん。焼肉や唐揚げなど油分の多い料理に合うそうだ。
 ブリに付けて食べてみた。本当にさっぱりとする。このぬた自体は強い味はしない。ほのかにニンニクの香りがする程度で、ニンニクの辛みも味噌の塩味もなく、緑の葉のペーストを食べている感じ。味がマイルドでメレンゲのような軽さがあるので、たっぷりつけられる。魚と一緒に野菜も取っている感じがして、身体にもよさそうだ。
◆今月のおまけ
牡蠣の潮煮
〈石巻市・末永海産㈱〉
牡蠣の潮煮(170g 800円)
 前出の牡蠣の潮煮を、炊きこみご飯にもしてみました。汁もかなりたっぷり入っているので、汁を使うには炊き込みご飯もおすすめです。カキの旨味がご飯に行き渡り、これもおいしかったです。
 クリームシチューに入れてもおいしそうだな、と思いました。いろいろな食べ方が楽しめます。
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い(http://tabipen.net/report/nakamoto01.html