風土47
地元老舗の愛される味-お酒の供編-
先月に引き続き、地元老舗の愛される味シリーズで、“お酒の供”です。
冷たいビールに合いそうな沖縄のおつまみや、九州の焼酎に合いそうな肴など、ご当地色満載のラインナップ。その地方のお酒と合わせて楽しみたくなりますよ。
今月は南の県から順に並べました。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈那覇市・㈱オキネシア〉
不思議と手が出る ぴりんぱらん(40g 237円)
あとひくうまさ 琉球かつお豆(38g 194円)
せつないうまさ ナンチチ(50g 345円)
 これ、おいしかったです。沖縄の素材を活かしたモノ作りに取り組んでいるオキネシアの豆菓子のシリーズだ。深炒りピーナツやマカダミアナッツの香ばしさ、サクサクとした衣の食感、絶妙の味付けなど、食べた瞬間、「お!」と小さな感動を覚える。どれも素材にこだわっていて、海洋深層水塩、沖縄県産の島唐辛子や加工黒糖、コーラルカルシウムなどを使用している。コーラルカルシウムは、長い年月をかけて風化したサンゴの骨で、まさに沖縄の海の恵みと言える。
 中央の「ぴりんぱらん」では、アメリカ産皮つき生豆を直火焙煎し、沖縄県産の加工黒糖、食塩、唐辛子、カルシウム、ガーリックで味付けしている。ハーブの働きでニンニク臭は控えめだ。食物繊維やカルシウム、鉄分なども豊富で、カロリーもそれほど高くない。ぴりんぱらんはおしゃべりの様子やよくしゃべる人を指して使う言葉で、1970年代の沖縄で流行したという。
 左のかつお豆は、深炒りピーナツを、国産カツオ節粉末を練り込んだ生地で包んで香ばしく焼き上げてある。右のナンチチはマカダミアナッツを胚芽入り小麦粉で包んでこんがり焼き上げたもの。ナチュラルチーズの風味で、ワインにぴったりだ。
ぴりんぱらん|琉球かつお豆|ナンチチ
おび天|おび揚げ(ごぼう天)
〈日南市・㈱元祖おび天本舗〉
おび天(3枚 324円)
おび揚げ(ごぼう天)(100g 324円)
 江戸時代に伊東氏飫肥(おび)藩5万7000石の城下町として栄えた日南市の飫肥は、今も武家屋敷などが残り、九州の小京都とよばれる風情ある町並みが見られる。城下町としてさまざまな文化が栄え、伝承されてきたが、食文化の一つがこの“おび天”。江戸時代から作られてきた歴史ある郷土料理だ。
 魚のすり身に豆腐や味噌、黒砂糖を加えて揚げたこの天ぷらは、やわらかくて風味がよく、栄養も豊富。コクがあるので、焼酎にはぴったりの肴。
 ㈱元祖おび天本舗ではこだわりの伝統製法を守っている。宮崎県産大豆を使った自家製豆腐と味噌、黒砂糖をつき混ぜ、手のひらで葉型に整えてこんがりキツネ色に揚げる。黒砂糖を使用しているので、こっくりとした美味しそうな色に揚がる。甘さがとにかく焼酎に合います。ゴボウ入りも美味。
〈岡山市・岡山県漁業協同組合連合会〉
かきのマリネ(50g 350円)
 試食販売をしたら大人気だったと、店長さんが紹介してくれたのがこの商品だ。「カキというと広島県が有名ですが、実は生産量第2位(平成25年度)は岡山県なんです」と店長さん。特に日生(ひなせ)湾で養殖されるマガキは、周囲の島々から流れ出す豊富な栄養分とカキの成長リズムにあった海水温の変化によって、ふっくら大粒、風味豊かに育つという。日生ではカキをたっぷり使ったお好み焼き“カキオコ”が岡山県のご当地B級グルメとして有名だ。
 その岡山産のカキをマリネにしてある。「汁が多めなので、新玉ねぎを漬け込んで一緒に食べるとおいしいですよ」と言われ、岡山県産の新玉ねぎ(1個50円)を一緒に購入してその通りにしてみた。酢でさっぱりと仕上がっているが、カキを噛むとまったりとした舌触りと濃厚なうまみが口に溶け出てくる。カキのエキスを吸った玉ねぎもおいしい。よーく冷やした白ワインやビールと合いそうです。
かきのマリネ
牛肉夏しぐれ
〈桑名市・㈱柿安本店〉
牛肉夏しぐれ(80g 756円)
 これもおいしかったです。三重県桑名市に本社がある柿安本店の商品。惣菜事業やレストラン経営などでも有名な柿安本店だが、基礎となったのが、明治4年(1871)に桑名で開業した牛鍋屋。それまで日本になじみのなかった牛鍋は、文明開化、新時代の象徴として大人気を博したという。創業者である赤塚安次郎氏は、秘伝のタレを開発。さらに牛肉の肉質は血統、環境、飼料で決まることを突き止め、農家との二人三脚で研究し、最高品質の牛肉作りを目指したという。
 柿安本店の看板商品といえば「牛肉しぐれ煮」だ。しぐれ煮は桑名地方で約250年前から受け継がれる伝統の調理方法。もとは蛤を醤油や酒、砂糖にショウガを加えて炊き上げたものを指していた。
 これは豆板醤を使った季節限定商品。袋を開封した途端、牛肉の甘い芳香があふれ出し、それだけで「参りました」という感じ。とにかくいい匂い。口に入れれば、肉の旨味とほどよい甘辛の味付け、最後に品よくピリリと効いた辛みで大満足。お気に入りのお酒と一緒にゆっくり味わいたい老舗の名品です。
〈湯沢市・㈱雄勝野きむらや〉
いぶりがっこ 短切(3個 556円)
 秋田の名産品の一つとして有名ないぶりがっこ。ご飯のおかずとしてもおいしいが、クリームチーズと合わせてワインのおつまみにしたり、サラダに使用したりと、活用の幅が広がっているという。ネットを見ても多くの方がそれぞれ工夫したレシピを公開している。ショップの担当者の方も「コンスタントに売れています」と話し、店内でも前面に並んでいた。
 いぶりがっこは、漬物として使う干し大根が凍ってしまうのを防ぐために、大根を囲炉裏の上に吊るして燻していたことから発生した雪国秋田の伝統的な漬物。秋田の方言で漬物のことを「がっこ」と言うそうだ。
 メーカーによって少しずつ味が異なる。雄勝野きむらやは、燻製が深いのが特徴だ。製法は、細ひもで編んだ大根を漬け屋の天井に吊り下げ、ナラ、サクラ、ケヤキなどの広葉樹を夜に日に燃やし続ける。4~5日経って、香りよく、キツネ色に干し上がった大根を米ぬかと塩を主体に漬け込む。自然な風味にこだわり、保存料、着色料、酸化防止剤、調味料(アミノ酸)は使用していない。安心して食べられる素朴な味。店の方にうかがった「水菜とあぶった油揚げと薄く切ったいぶりがっこのサラダ」を作ってみたら美味しかったです。
いぶりがっこ 短切
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い(http://tabipen.net/report/nakamoto01.html