風土47
私のそばに! 常備品
「そういえば、いつも我が家には○○があるなぁ」という物、ありますか?
食品なら、ある程度保存が効いて、料理の応用範囲が広くて、何かの時に「そうそう、あれがあった」と活用できるもの。
食品以外だったら、自分の体質や好みにあって、定期的に使う物が多いでしょう。
身近かな愛用品……今月はそんな品のご紹介です。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈札幌市・㈱HPI〉
羅臼磯のりとろろ汁(80g 864円)
〈札幌市・㈲札幌食品サービス〉
ねこぶまんま(40g 540円)
 北海道のショップで見つけたのは、便利でおいしいこの2品。
 羅臼磯のりとろろ汁は、カップにこの品をスプーン2杯入れ、お湯を注げばあっという間においしい吸い物ができる。使用しているのは知床半島の東側沿岸で採れる羅臼昆布。北海道名産の昆布の中でも、羅臼昆布はコクのあるだしが取れることから“だしの王様”ともいわれる旨味の多い昆布だ。その羅臼昆布の粉末やとろろ昆布に、鰹やネギ、白ごまを合わせている。とろりとした汁の中で存在感を示すのが磯のり。厚みがあって風味豊か。香りもいい。おいしい。
 ねこぶまんまは、北海道東部地方でしか採れない天然の“ねこあし昆布”を使用。海の深場で採れるため、とても珍しく、強い粘りがあるのが特徴だ。手すきしたねこあし昆布に羅臼昆布や、鰹節、白ごまが加えてある。ふわふわと綿毛のような軽やかさで、繊細な食感。でもしっかりと旨味があって、噛むと絶妙の粘りが出てくる。ご飯はもちろん、冷やっこや厚焼き玉子、おひたし、納豆、みそ汁、何にでも合う万能ふりかけだ。保存料など無添加なのもうれしい。
羅臼磯のりとろろ汁|ねこぶまんま
伊豆大島の生のツバキ油ハンドクリーム
〈大島町・㈱C&WORLD〉
伊豆大島の生のツバキ油ハンドクリーム(60g 500円)
 これからの季節に重宝しそうなのが、この椿油を使ったハンドクリーム。しかも普通の椿油ではなく“生”の椿油が使われている。近年は、この生ツバキ油を使ったスキンケア商品が大人気だという。
 椿油は、花のあとに付く実の黒い種を搾ったもので、日本では平安時代から髪の手入れなどに愛用されてきた。その主成分は、酸化しにくい特性を持つオレイン酸。オレイン酸は、ヒトの皮膚の表面にあって保湿や保護の役割をする皮脂にも多く含まれる成分だ。つまり椿油は皮脂に近いオイルと言え、肌になじみやすく、潤いを保つ。通常は独特の臭いやベタつきをなくすために、熱と圧力を加えて精製しているが、この方法だと一部、性質の変化なども起きてしまう。そこで、非加熱の精製を行うのが生ツバキ油だ。手間も時間もかかるが、より肌にやさしい製品に仕上がる。椿油は高価だが、このハンドクリームなら手ごろな値段で生ツバキ油の効果が実感できそう。ショップでもよく売れているという。
〈京都市・㈲みすや忠兵衛〉
おでかけセット(1個 2700円)
 華やかなちりめんの柄が目を引く、がまぐち型の可愛らしいポーチに入っているのは、ソーイングセットだ。針刺しや鋏カバー、糸巻きまで本格的なちりめん製。こんなに素敵なソーイングセットを持っていたら、外出先でのほつれ直しやボタン付けも苦にせずに行えそうだ。色や柄もさまざまな種類があって、好みのものが選べる。
 実は、何気なく入れられているこの針がすごい。“みすや針”といって、平安時代からの歴史があり、その縫いやすさで着倒れの町・京都の服飾文化を支えてきた。製作する「みすや忠兵衛」は文政2年(1819)創業。京都みすや針本舗・三栖屋権兵衛に見習い奉公をし、その後、「京都みすや針本舗・三栖屋忠兵衛」として独立。以来、針一筋に伝統を守ってきた。ここのみすや針は、針先が細く、堅さと粘りがある。そして細い針に、正円に近い糸通しの針穴があいている。糸通しの穴は正円に近いほど糸がよじれず、糸切れを防げるのだという。なるほど。京都の商品にはいつも奥深い伝統文化を感じて敬服してしまう。
 そんな伝統文化の宝庫・京都を身近かに感じられる京都館では、10月1日~11月5日に移転9周年記念を開催。特別な工芸品やスイーツなども揃うそうなので、ぜひお出かけを。
おでかけセット
エキストラバージン・オリーブ油 手摘み
〈小豆島町・東洋オリーブ㈱〉
エキストラバージン・オリーブ油 手摘み(182g 3980円)
 これを常備品にできたら幸せだ。パンや野菜にそのまま付けて、あるいはマリネやドレッシングに使用し、まろやかで奥深い味が楽しめる。緑がかった美しい黄金色や、リンゴに例えられる芳香も魅力的だ。
 小豆島の名産品として名高いオリーブ。この商品は、その完熟したオリーブのみを使用して作られる。果実に傷がつくと劣化しやすいので、それを防ぐために一粒一粒、手摘みをする。そうして丁寧に搾られたオリーブオイルはまろやかでクセの無い味となる。
 オリーブの収穫は、例年9月末から10月末にかけてで、エキストラバージンオイルが出荷されるのは12月か1月ごろ。この商品、なかなか高価だが、ファンは多く、コンスタントに売れ、例年、秋頃には品切れになるそうだ。味はもちろんだが、美容や健康によいというイメージもオリーブオイル人気の要因だろう。今年104歳になられる聖路加国際病院名誉院長・日野原重明さんが「毎朝、スプーン一杯のオリーブオイルを飲んでいる」と発言されたころからオリーブオイルの人気がさらに高まったような気がする。
 香川県では、オリーブオイルの品質評価基準を定め、品質を表すロゴマークシールを張っている。写真の丸いシールがそれ。基準に裏打ちされた高品質なものが選べて安心。ぜひお試しを。
〈立山町・農事組合法人食彩工房たてやま〉
かんもち・塩(200g 540円)
 かんもちは“寒餅”と書き、餅を寒い時期に自然乾燥させたもの。保存が効く便利なおやつとして昔から食べられてきたという。
 富山県の内陸部、立山連峰のお膝元である立山町では、食の伝承グループ「食彩工房たてやま」によって、寒の入りの1月上旬から寒明けの2月上旬にかけて、昔ながらの手作りでかんもちが作られる。富山県で開発された最高級の“新大正もち米”を100%使用し、餅をついて寝かせ、堅くなったら薄く切る。それを一枚一枚、紐で編んで屋内に吊るして干しあげる。クチナシやヨモギ、赤ビート、シソなど天然色素によって色づけされた餅は色鮮やかで、目も楽しませてくれる。
 実は、食べ方で悩んでしまった。メーカーのHPには、「電子レンジで2分」と書いてある。しかし、小さい頃からよく食べていたという方に聞くと「低温の油でゆっくり揚げる」という。前者で作るとおもしろいように膨らんで簡単におかきが作れるが、ちょっと物足りない味に。そこで油で揚げてみると、おいしい! ただ大きいままだとなかなか揚げづらい。かんもち初心者の私が簡単においしく食べられたのは、少し小さく割って揚げる、という方法でした。おいしかった。おかき好きにはたまりません。ビールによく合います!
かんもち・塩
かんもち・塩
〈立山町・農事組合法人食彩工房たてやま〉
かんもち・塩(200g 540円)
 かんもちですが、電子レンジで約2分熱するとこうなります。むくむくと膨れてびっくり。あっさりした味になります。
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い(http://tabipen.net/report/nakamoto01.html