風土47
ショップスタッフのマイブーム品 Part Ⅲ
すっかり人気が定着したアンテナショップですが、今年に入って日本橋長崎館と日本橋とやま館がオープンし、ここに来てまた新たなブームとなっているようです。
今年6月にオープンしたばかりの日本橋とやま館が「今月の特集」に初登場。
注目の第1回商品は……?
今月は工芸品や酒肴、お菓子などバリエーション豊かにそろいました。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈久慈市・㈱小袖屋〉
鮭ジャーキー(20g 324円)
 岩手県久慈市の小袖海岸は、雄大な断崖と岩礁が続き、景色の美しさもさることながら、魚介の宝庫として知られる。
 そして何と言っても有名なのが、NHK朝の連続ドラマ『あまちゃん』のモデルにもなった“北限の海女”たちの活躍だ。昔から、遠洋漁業に出かけた夫の留守中、家族や子どもの面倒を見ながら、生計をたてるために行われていたという。
 その小袖海岸に因んで名を付けた小袖屋は、ウニやアワビ、ホタテ、ツブ貝など、三陸の海の幸を使った商品をふんだんに作っている。
 海女さんたちが冷えた身体を温めるために飲んだといわれる、ウニ、ホタテ、ツブ貝を使った「海女の磯汁」や、ウニとアワビという贅沢な組み合わせの「海女のいちご煮」など、人気商品も数多い。
 その小袖屋の新商品が鮭ジャーキー。脂ののった鮭の身をスパイシーな調味液に漬け、乾燥させたもの。低温熟成なのでしっとりやわらかいのが特徴だ。すすめてくれた男性スタッフは、「夏のビールによく合います」。
 まさにその通りでした。
鮭ジャーキー
最上川あわゆき(あんこ・ずんだ)
〈尾花沢市・㈲ぱんどら〉
最上川あわゆき(あんこ・ずんだ)(各1個 130円)
 女性スタッフの一人が大好きと話してくれたのがこの「最上川あわゆき」だ。
「冷凍で販売しているので休憩時間の少し前に買って解凍しておきます。休憩時間にはひんやりふわふわで、ちょうど食べごろなんです」とうれしそう。分かるなぁ。実は私も山形のショップの中で、…いや、全アンテナショップの中でもベスト3に入るほど大好きなお菓子だ。
 上質な生クリームと北海道産の皮むきあん、あるいはちゃ豆のずんだを使ったクリームを、メレンゲで作ったやわらかいスポンジで挟んでいる。すべてがふわふわ、そして上品な甘み。舌の上でふっと溶けていくやさしい感覚は、まさに降ったそばから消えて行くはかなげな春の淡雪のようだ。
 作っている「ぱんどら」は、スタッフのほとんどが女性だという。“良質で低価格なお菓子”を作ることがモットー。あわゆきも保存料や着色料を一切使用せず、手作りにこだわって作っている。取材日は売り切れていたため撮影できなかったが、和栗161円も絶品です。ぜひお試しを。
〈富山市・㈲桂樹舎〉
名刺入れ(1個 1,944円)
ブックカバー 文庫版(1枚 1,404円)
メモ帳(1冊 702円)
ポケットノート(1冊 1,296円)
 今年の6月、日本橋三越本店新館の向かいにオープンした日本橋とやま館は、白亜の入り口がホテルのよう。初めて訪れた人の多くが「えっ、これがアンテナショップ?」と驚くようだ。館内ではさらに驚きが深まる。立山杉をふんだんに使ったゆったりとした空間に工芸品が並べられ、美術館かギャラリーのよう。奥にはバーもレストランもあり、もちろん食品も約400種を販売している。
 女性スタッフがお気に入りと紹介してくれたのが、八尾和紙を使った商品。「名刺入れやメモ帳を愛用しています。使うごとに和紙がしなやかになって手になじみます」と見せてくれた。ほんと、使い込むとまた独特の風合いが出て素敵。
 八尾和紙は、「おわら風の盆」で知られる富山市八尾町で作られている。もともと字を書くための紙ではなく、加工する紙として製造されたので強度がある。昔は富山の薬売りのカバンなどに使用されていたという。
 和紙に柄や模様を刷り込むために「型染め」という独自の技術をあみだして継承してきたのも特徴だ。レトロな柄が鮮やかな色で染められ、モダンな印象。値段も手ごろなので、ちょっとした贈り物にも便利だ。
名刺入れ|ブックカバー|メモ帳|ポケットノート
畳縁 切れ端
〈倉敷市・高田織物㈱〉
畳縁 切れ端(1巻 194円)
 畳縁(たたみべり)とは、畳の長手方向に付けられた布のこと。今、この畳縁の端切れがとっとり・おかやま新橋館で大人気なのだという。
「手芸をする方や外国の方が買っていかれます。丈夫なので、小物入れやペンケース、ブックカバーなど、いろいろなものを作って活用できます。縁の処理をする必要がないので手早く簡単に縫い合わせられるのも便利で喜ばれます」と女性スタッフ。水玉や花柄、パンダ、ダルマなどさまざまな模様もおもしろい。1巻は約1.5mだという。
 メーカーは倉敷市児島にある高田織物。1900年ころからの歴史があり、現在は日本のシェア35%以上をもつ畳縁のトップメーカだそうだ。
 倉敷市の児島はもとは瀬戸内海に浮かぶ島だったが、しだいに陸続きに。そして児島の干拓地に、塩分に強い綿が栽培されたことから、児島は繊維の町として発展した。
 “現在の畳縁は、ポリエチレン糸、ポリプロピレン糸、ポリエステル糸、艶付け綿糸を組み合せて使用した世界に類の無い貴重な織物である。”とメーカーのHPに書いてあったが、確かに独特のツヤと強さ。おもしろい布です。
〈つるぎ町・㈲白滝製麺〉
半田名産 手延べそうめん(300g 391円)
〈吉野川市・あぐり工房三郷〉
すだち果汁(100mℓ 300円)
 「半田そうめんを茹でて、麺つゆにすだち果汁をたっぷり入れて食べてみてください。徳島では何にでもすだちを使いますが、そうめんにもぴったりです。さっぱりしておいしいですよ」と女性担当者。
 えっ、麺つゆにすだち果汁をたっぷり?
恐る恐る試したところ、「おいしい!」。ほどよい酸味が効いて、本当にさっぱりする。柚子ともレモンとも違って、和風でマイルドなすだちだからこそできる食べ方かもしれない。酸味が尖らずに、全体になじんでくれる。どぼどぼ、というくらい、たっぷり入れた方がおいしかった。
 そして、やはり半田そうめんのおいしいこと。半田そうめんは1.3~1.7mmくらいの太さがあり、コシが強いのが特徴の手延べそうめんだ。麺が太い分、小麦粉の甘みも充分に味わえる。吉野川の清らかな水と、西日本第二の高峰・剣山から吹き下ろす「寒風剣山おろし」がおしいしいそうめんを育むという。
 いやぁ、おいしかったです。この100%のすだち果汁もあっという間に使ってしまいそう。そういえば「冬はすき焼きを生卵の代わりにすだち果汁で食べてみてください。これもおいしいですよ」とご担当者。えーっ!? と思いましたが、試してみようと思います。
半田名産手延べそうめん|すだち果汁
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い(http://tabipen.net/report/nakamoto01.html