風土47
簡単、便利!ご当地インスタント食品 Part Ⅱ
今月もご当地インスタント食品の特集です。
アンテナショップの取材をしていると、食品が常に簡単、便利、安心、安全、そしておいしく進化しているのが分かります。
以前は“インスタント食品”というと体に悪いのでは? という懸念がありましたが、今はそんな心配はないようです。
あっという間に作れて便利。買い置きしたい品が勢揃いしました。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈石巻市・本田水産㈱〉
金華さば漬け丼(70g[サバ50g、たれ20g]×2袋 880円)
 早速ですが、世界三大漁場ってご存知ですか? ノルウェー沖、それからカナダ・ニューファンドランド島沖のグランドバング、そして三陸の金華山(きんかざん)沖なのだそう。
 三陸の金華山沖では、寒流と暖流がぶつかること、そして沿岸に連なるリアス式海岸や島々が魚の絶好の居場所となるため、豊富な種類の魚介類が水揚げされる。リアス式海岸は山地が海の間近まで迫るため、森のミネラルたっぷりの水が絶えず海に流れ込み、栄養豊富な海となるという。
 さて、前置きが長くなりましたが、その金華山沖で獲り、石巻港で水揚げした脂ののった真さばを使用している。それを醤油や砂糖、昆布エキスや発酵調味料などのたれに付け込み、冷凍。解凍してそのままご飯にのせるだけでおいしい漬け丼になる。
 アツアツのご飯にのせると、サバの脂が溶けて身全体に行き渡り、とろりとした食感に。まろやかな醤油味もご飯によく合う。ネギやゴマをのせるといっそうおいしく食べられました。
金華さば漬け丼
うんめぇ 三条カレーラーメン
〈吹田市・エースコック㈱〉
うんめぇ 三条カレーラーメン(68g 194円)
 「新潟県は知る人ぞ知るご当地ラーメンの宝庫なんです。ラーメンのレベルは高いですよ」と、自身もラーメン好きという副店長さんが話してくれた。ご存知でしたか?
 調べてみると、確かに“新潟五大ラーメン”なる項目を発見した。新潟市は煮干しで出汁をとった細麺のあっさり醤油味、燕市は背脂チャッチャのこってり極太麺、長岡市の生姜味、そして新潟市には濃厚味噌ラーメンもある。そして、もう一つ有名なのが三条市のカレーラーメン。“ものづくりのまち三条”で、鍛冶職人さんたちに古くから愛されてきたという。これをカップラーメンで有名なエースコックが商品化した。チキンをベースに数種類のスパイスと魚介を効かせたカレースープに、カツオ節などのうま味を加えてある。
 カレーの風味がしっかりするのに、味がまろやかなのは魚介出汁の効果なのだろう。あっさりしていておいしい。何といっても3分でご当地グルメが味わえるのは魅力だ。
〈京都市・㈱愛京家倶楽部〉
おつけもんとカレーどす。(カレー200g、しば漬20g 540円)
 「京女は、甘ったれたらあきまへん! カレーは、しば漬とお食べやす。」
 パッケージに書かれたこのインパクトある言葉に引き込まれて、思わずかなり長い商品説明を読んだ。それによると……、お汁粉に塩昆布、辛いカレーに甘い福神漬け、というように味の異なる組み合わせは飽きない。それなら、味わいまろやかな京風カレーには「ちびっと酸味のあるしば漬がよう合うんどす」とのことだ。
 言葉通り、レトルトカレーとともに、かなりたっぷりのしば漬が別袋で同封されている。カレー自体もすごくおいしいし、しば漬も本格的。確かに一緒に食べてもいいかもしれない。このカレーは特性スパイスに和風だしを加えてまろやかに仕上げてある。そこにしば漬を合わせると、コリコリとした食感とほどよい酸味がうま味を引き立てる。
 ご当地レトルトカレーは800円近くするものも多いので、この味でしば漬付きで540円ならお得です。
おつけもんとカレーどす。
冷やし中華酸辛油
〈雲南市・㈱出雲たかはし〉
冷やし中華酸辛油(2人前 411円)
 にほんばし島根館の店頭には冷やし中華がずらりと並んでいた。島根といえば出雲そばが有名なように、麺文化が根付いているらしい。
 この冷やし中華のこだわりも半端ではない。まず麺は“冷熟麺”といって、低温で熟成された麺。常温で熟成するのに比べてコシが強く透明感のある麺になるという。この冷熟麺は地元の天然水を使い、低温の熟成庫でじっくり熟成させたのでコシと透明感、しかもプリプリとした弾力のある麺になっている。
 “酸辛油ダレ”と名が付いたスープは、基本の酸味にレモンなどの柑橘類を使用し、後味のキレをよくする辛味として豆板醤を使用。麺に絡みやすくし、味のバランスをよくするためにゴマ油を加えている。
 思ったよりも辛みも酸味もまろやかで、やさしい味。でもゴマ油の効果でコクもあり、一杯で大満足。プリプリの麺もおいしい。これからの季節におすすめです。
〈都城市・ヤマエ食品工業〉
ひや汁の素 (25g×2袋 108円)など全11種類
 宮崎県を代表するヘルシーなインスタント食品といえば「冷や汁」だ。
 冷や汁の作り方を簡単に説明すると、まず、すり鉢でゴマをよくすり、そこに素焼きしたサバの身をほぐしたものを入れて混ぜ、さらに味噌を加えてよくすり混ぜる。これをヘラですり鉢の内側の壁に広げ、コンロで軽くあぶり、味噌の生臭さが飛んで香ばしさが出たら、少しずつ水を加えて伸ばしてゆく。これを冷蔵庫か氷を入れて冷やし、キュウリや大葉、ミョウガ、つぶした豆腐などを入れ、熱いご飯にかけて食べる。
 夏の食欲のない時でも魚の香ばしさやキュウリの食感、大葉の香り、冷たい汁でさらりと食べられる。サバや豆腐などのタンパク質、キュウリや大葉などの夏野菜、味噌やゴマでも栄養が補給でき、栄養的にもバランスが取れている。先人の知恵はすばらしいと、本当に感動してしまう。
 ショップには、簡単に作れる冷や汁の素が11種類もそろい、しかもイートインコーナーでは600円で食べられます。おいしかった~。猛暑が続く夏は必需品ですよ!
ひや汁の素
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事