風土47
-健康は食から- パン派のあなたへ
朝食にはパンを、という方も多いでしょう。
雑誌やTVでパン屋特集をよく見かけるように、ここ何年もパン人気が続いていますね。
今月は、お気に入りのパンをよりおいしく食べられる品を選びました。
パン好きの方は必見です!
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈弘前市・(有)岩木屋〉
嶽きみの食べるスープ(180g 432円)
 このスープをひと口食べて、思わず出た言葉が「甘い!」。もちろん、それはトウモロコシの甘み。そこに玉ネギの甘みやベーコンのうま味が加わって、「おいしい、甘い、濃い」の三拍子がそろっている。トウモロコシの実もたっぷり入って、贅沢感のあるスープだ。これにトーストがあれば、十分な朝食になりそう。
 “嶽(だけ)きみ”は、青森県弘前市の岩城山麓の嶽高原で獲れるブランドトウモロコシのこと。標高400~500メートルの嶽高原では、昼と夜で約10℃も温度が違うことがあるほど寒暖差が激しく、そのために実がプリプリとして糖度が抜群に高い最高級のトウモロコシができる。糖度18度以上にもなるので、生でも食べられるといわれるほどだ。よく味わって食べたい一品です。
嶽きみの食べるスープ
クリーミ-スプレッド・仙台いちご
〈蔵王町・一般財団法人蔵王酪農センター〉
クリーミ-スプレッド・仙台いちご(120g 565円)
 宮城ふるさとプラザの店内には、蔵王酪農センターが作る「蔵王チーズ」ブランドの乳製品がたくさん並んでいる。バターやヨーグルト、チーズ、チーズケーキなど、多種多彩。
 「蔵王チーズ」の製品は、牧場での一貫生産で作られるそうだ。乳牛を飼い、育て、搾りたての牛乳が牛舎に隣接するチーズ工場へ運ばれる。そこで熟練の職人たちによっておいしい商品へと加工される。
 蔵王連峰の豊かな自然が育んだ牧草を食べ、湧き出る天然水を飲んで育った乳牛は良質な牛乳を生み出す。その新鮮な牛乳を使った乳製品がおいしくないはずがない。
 どれもパンに合いそうだが、中でもおすすめはこの仙台イチゴを使ったクリームチーズ。ふんわりとなめらかな口当たりで、パンにも塗りやすい。まろやかな甘みとかすかな酸味のバランスが良く、イチゴ特有の芳香が食欲をそそる。食べると幸せになる一品です。
〈金沢市・金沢ふくら屋 ㈱シンヤ〉
MONAKA.de.soup(クラムチャウダー)(1個 270円)
 これ、おいしかったです。パンにとっても合うので、ぜひお試しください。
 金沢ふくら屋は、北陸3県で古くから作られてきた「たらの子缶詰」や、加賀の郷土料理「じぶ煮」、ゴリやクルミの佃煮など、金沢をはじめ石川県内の名産品を販売している。商品ラインナップには、最中の皮の中にお吸い物の材料を入れ、お湯を注ぐだけで本格的な味が楽しめる「懐石最中」もあるが、この「MONAKA.de.soup(モナカ・デ・スープ)」はその発展型のようだ。
 マカロンのようなかわいらしい色と形の最中の中に、フリーズドライのスープと具材が入っている。作り方はお湯を注ぐだけと簡単。アサリのうま味たっぷりのスープを吸った皮が、しだいにもちもち、とろとろになる。この皮は最高級ブランド「新大正米」というもち米を製粉して、金型に一つ一つ型に入れて職人が焼いているそうだ。オニオンやコーン、トマトなど4種類の味があるので、日替わりで楽しめる。
MONAKA.de.soup(クラムチャウダー)
島原ハム ポークソーセージ
〈島原市・㈱大光食品 島原工房〉
島原ハム ポークソーセージ(200g 432円)
 島原半島にある大光食品は、「島原工房」のブランド名で、ハムやソーセージ、ハンバーグ、雲仙しまばら豚や島原手延そうめんなど、地元の名産品を製造販売している。社屋の背景には眉山と平成新山がそびえ、目前には有明海を望む自然豊かな環境だという。
 温泉や湧き水でも有名な島原半島は、長崎県でも有数の農畜産地で、元気な野菜や豚、鶏などが育つ。大光食品では、吟味された飼料を与えることから始まり、地元島原や九州産、国産の原料にこだわって半島内の工場でさまざまな加工品を製造している。
 このポークソーセージもその一つ。大きくてずっしりとした重量感だ。カットして焼くとジュワッと甘みのある脂が染み出てくる。外はカリッ、中はふっくら。香辛料がしっかり効いて、パンチのある味。パンにもご飯にも、おつまみとしても活用できます。
 
〈佐伯市・(同)漁村女性グループめばる〉
ごまだし[エソ](200g 810円)
 今月の「日本全国逸品探訪」でもご紹介している「ごまだし」は、大分県佐伯市の海辺の一部の地域だけで、長年受け継がれてきた郷土の味だという。
 骨が多くて食べにくいエソという魚を焼いて骨ごと摺りつぶし、ゴマや醤油と合わせた保存食。茹でたうどんにごまだしをのせてお湯を注げば、手軽においしく栄養たっぷりな漁師飯が出来上がる。夫婦とも忙しい漁師の町が生んだ生活の知恵だ。
 それを商品化したのは、漁師町である佐伯市鶴見の女性たち。漁師の奥さん5人が中心となって、魚をもっと食べてほしいと製造販売している。
 ごまだしの魅力は、和風だけでなく、洋風にもアレンジできること。サラダのドレッシングやバーニャソースに使えるし、パンにも合う。オリーブオイルを混ぜてそのままバゲットにつけてもおいしい。オリーブオイルを混ぜたものをパンにつけて焼いてみたが、それも香ばしかった。魚のうま味と塩味、ゴマのコクが効いて、いろいろなアレンジが楽しめる万能調味料です。
ごまだし[エソ]
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事