風土47
開けてニッコリ! お弁当の友
爽やかな季節になりました。
行楽シーズンでお弁当を作る機会も増えることでしょう。
…ということで、今月はお弁当のおかずの特集です。
お値段も手ごろでおいしいものがそろいました。
新年度からお弁当作りを始めた方の応援にもなればうれしいです。
取材/撮影 中元千恵子(トラベルライター 日本旅行記者クラブ、日本旅のペンクラブ会員)
※ご紹介した商品は品切れしている場合があります。在庫を各アンテナショップにてお確かめください。
*記載の商品価格は、2014年4月の消費税増税後の税込み価格になっております。
〈伊達市・山吉青果食品㈱〉
黒胡麻ごぼう(150g 206円)
 最初から超おすすめ商品の登場だ。お弁当のおかずというと、どうしても野菜が不足しがち。そんなときに強い味方になってくれるのがこの商品。
 「調理してあるので、お弁当の空きスペースに入れるだけ。食物繊維が豊富なゴボウが加わることで、お弁当の栄養バランスがぐっと良くなると思いますよ」と、ショップの方。まさにおっしゃる通り。
 この「黒胡麻ごぼう」をはじめ、レンコンや生姜などを煮て黒ゴマであえた山吉青果食品「温体野菜シリーズ」はショップでも人気で、中でも一番人気がゴボウだという。
 やわらかく煮てあり、ピリ辛で酸味もあって、さっぱりと食べられる。
 ゴボウといえば、食物繊維のほか、ナトリウムを排出するカリウム、コレステロールを減らす働きがある不溶性食物繊維リグニンなどを含む。そして黒ゴマは肌を整えるビタミンEや高い抗酸化作用のあるゴマリグナン、不飽和脂肪酸、セサミン、鉄分など栄養素が豊富。毎日少しずつでも食べたいですね。
黒胡麻ごぼう
吉野田舎あげ
〈吉野町・林とうふ店〉
吉野田舎あげ(3枚入り 320円)
 「吉野田舎あげ」は、地元でも、奈良まほろば館でも大人気の商品だという。
 厚さ2、3センチはある厚揚げで、焼けば外はカリっと香ばしく、中はふっくら。煮れば野菜などほかの素材の味に深みを与え、自分もおいしい出汁をたっぷりと含む。
 焼いて、ネギやショウガをのせ、醤油をかけて食べてみたら絶品だったが、お弁当ということで、よく熱が通るように三つ葉との煮びたしに。
 これはもう、メインのおかずになる存在感だ。豆腐のうま味と揚げの香ばしさ、コクが一体になって、奥深い味わい。
 製造しているのは、このコーナーでも何回か商品が登場している林とうふ店。山桜で有名な吉野町にある豆腐店で、併設する食事処も大人気だそうだ。一度行ってみたいと思っていたが、この田舎あげを食べて、ますますその思いは強くなった。揚げたてはさぞおいしいだろうなぁ。
〈出雲市・新日本食品㈱〉
ベーコン(150g 432円)
 このベーコン、おいしいです。
 店内の商品をよく知るベテラン職員の方が「切って焼くだけで、ご飯のおかずにもお酒のおつまみにも活用できます。火をしっかり通せばお弁当のおかずにもいいですね」と紹介してくれた。
 お弁当のおかずだから炒め物にしようかな、と考えたけれど、取り出してあまりに立派なベーコンなので、そのまま焼いてみた。じんわりにじみ出る脂が甘くて、でもしつこくなくて、美味。塩味がきつくないのもいい。
 製造元の新日本食品㈱は、「しまね和牛」や「出雲ハム」など食肉関係の商品を多く扱っている。国産素材を厳選し、大量生産ではない、熟練した職人によって作られるそうだ。
 パッケージはいたってシンプルで、知らなければ見過ごしてしまいそうな商品。なので、おいしいものを知りたいときはお店の方に聞くのが一番ですね。
ベーコン
オリーブ豚 自家製手ごねハンバーグ
〈まんのう町・丸剛産業㈱〉
オリーブ豚 自家製手ごねハンバーグ(180g 378円)
 このハンバーグもおいしかった。噛むたびに豚肉のうま味と甘みがにじみ出てくる。ソースを作ったけれど、むしろ無い方が味の良さが際立つ。牛肉のハンバーグよりあっさりしているので、中高年層でも食べやすい。それでいて厚さ4センチほどあってボリュームもたっぷりなので、育ち盛りの男の子のお弁当に入れても喜ばれそう。
 「オリーブ豚」は、香川県名産であるオリーブの実の絞りかすを食べさせて育ったブランド豚のこと。麦類を8%以上含む飼料にオリーブ飼料を0.5%以上混ぜた餌を30日間以上与える、などの規定が設けられている。オリーブの実にはオレイン酸やポリフェノールなど抗酸化成分も多く含まれる。その効果か、オリーブ豚は肉質がやわらかく、脂は甘いのにしつこくなく、赤身にはコクがあるそうだ。
 製造する丸剛産業の社長さんはもともとオリーブ豚農園で働いていたが、初めて食べた人に「こんなにおいしい豚肉、食べたことがない」といわれるオリーブ豚を販売したいと起業したという。ぜひお試しを。
 
〈読谷村・沖縄ハム総合食品㈱〉
沖縄ラフティ 皮つき豚角煮(150g 453円)
 「ラフティ」は豚の角煮のこと。沖縄県では、琉球王朝時代に宮廷料理として作っていたころからの歴史があるそうだ。沖縄に旅行に行かれた方なら、ゴーヤチャンプルーやソーキそばとともに必ず目にしたことのあるおなじみの郷土料理だ。
 銀座わしたショップの店頭にも、たくさんの種類が並んでいる。なかでも人気なのがこの商品だという。皮付きの豚バラ肉を、沖縄の黒砂糖と泡盛を使用した特性たれでじっくり煮込んでいる。
 やわらかい。脂身も多いが、泡盛の効果なのかさっぱりとしている。甘さも控えめでほどよい。温めるだけで食べられるので、簡単にお弁当のメインのおかずができるのがうれしい。
 煮物にしたり、玉ねぎとサッと煮て「ラフティ丼」にするのもおすすめ。
沖縄ラフティ 皮つき豚角煮
中元千恵子
中元千恵子 旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。 『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。(朝日新聞デジタル連載記事